「光る君へ」で脚光。滋賀・大津に残る、紫式部と源氏物語のルーツを巡る

NHK大河ドラマ「光る君へ」により、紫式部と彼女が書いた「源氏物語」が脚光を浴びている。30歳前後の頃、夫の藤原宣孝(ふじわらののぶたか)の死を乗り越えるため筆をとり、悲しみとともに滋賀県大津市にある「石山寺」に参籠。琵琶湖にゆらめく月を見つめ、構想を得たとも言われている。そんな、日本初の長編小説となる「源氏物語」ゆかりの地・滋賀県大津を1日で巡った。

NHK大河ドラマ「光る君へ」により、紫式部と彼女が書いた「源氏物語」が脚光を浴びている。30歳前後の頃、夫の藤原宣孝(ふじわらののぶたか)の死を乗り越えるため筆をとり、悲しみとともに滋賀県大津市にある「石山寺」に参籠。琵琶湖にゆらめく月を見つめ、構想を得たとも言われている。そんな、日本初の長編小説となる「源氏物語」ゆかりの地・滋賀県大津を1日で巡った。
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JR「京都駅」から約20分、京阪石山坂本線三井寺駅が最寄り駅。京都と大津を結ぶ水路、「琵琶湖疏水」沿いを歩くこと10分、仁王門へと辿(たど)り着く。
ここ、天台寺門宗の総本山「三井寺(園城寺)」は、式部の父である為時が晩年、出家したと伝わる一家にとって縁深い場所。式部の異母兄弟もこの三井寺の僧侶となっていたそうだ。父・為時は和歌、漢学、漢詩に秀でた歌人であり、その詩の才能により当時の一条天皇の心を動かし任を得た人物。娘・式部の中にその文学的な素養を見出し、漢文や詩歌などを教え、多大な影響を与えた存在だ。

兵火により再三、焼失しながらも、豊臣家や徳川家により再興され、貴重な寺宝を守り続ける三井寺は、不死鳥の寺とも呼ばれている。仁王門を進めば、国宝・三井寺の総本堂 金堂が現れる。


国宝・金堂。この中で紫式部関連の展示も開催されている。
この本堂では「令和六年 大河ドラマ『光る君へ』放映記念「紫式部と三井寺」が開催中。本堂では静かに祈りを捧(ささ)げ、寺所蔵の式部に関する史品を眺められる。


「御伽草子(おとぎぞうし)」の中の一つ、滋賀・三上山での大ムカデ退治の伝説「俵藤太物語(たわらのとうたものがたり)」でお礼に送られたとされる「弁慶の引き摺り鐘」、琵琶湖を一望する、西国三十三所観音霊場の第十四番札所 観音堂など見どころ満載、スタート地点として相応しいはずだ。
◼️三井寺(園城寺) 推奨所要時間:約1時間半
住所:〒520-0036 滋賀県大津市園城寺町246
電話:077-522-2238
拝観時間:8時~17時(16時30分受付終了)※10月1日からは、9時~16時30分(16時受付終了)に変更
入山料:大人¥600(個人)、¥550(団体)/ 中高生 ¥300(個人)、¥250(団体)/小学生 ¥200(個人)、¥150(団体) ※30名以上は団体扱い ※障害者手帳提示にて本人のみ拝観料免除
HP:https://miidera1200.jp/

三井寺から歩くこと10分。三井寺でのほどよい疲れと余韻とともに、昼食へ。京の名店「草喰なかひがし」出身の店主・田中敬治氏が2015年に独立し、その後現在の地へと移転。昼のお食事は、4,500円と6,000円のおまかせ2コース(金額の差は近江牛による)。

ご夫婦で切り盛りする様子が伺えるちいさなカウンター席に座り、せっかくなので、近江高島の地酒・清酒「萩乃露」の純米吟醸「福のしずく」の冷酒を1合。この特別ラベルは、「光る君へ」で衣装人物画のデザインを担当した日本画家・諫山宝樹氏によるもの。

八寸、白味噌椀(みそわん)、焼き物(この日は鮎)、炊き合わせが続く。お碗(わん)にひとくち盛られた米が店主から「ご飯に変わる前の米です」と差し出され、それが「煮えばな」であることを教わる。

土鍋は、滋賀・彦根の「一志郎窯」。最後の水物に至るまで、しみじみと美味く身体へと沁みる料理が味わえる。
◼️自然坊たなか 推奨所要時間:約2時間
住所:〒520-0046 滋賀県大津市長等2丁目7-22
TEL:080-6143-0301
営業時間:ランチ 12:00~15:00(入店は12:30まで)、ディナー 18:00~22:30(入店は18:30まで)
定休日:火曜日
URL:https://jinenbo-tanaka.com/


自然坊たなかから京阪びわ湖浜大津駅までの道すがら、まだ甘いものを食する余裕が胃袋にあれば茶菓 山川へ。小さな店のなかには氷やパフェなどの、甘味のメニューが並び、思わず小休憩を挟みたくなる。
自家自然栽培で大切に育てられた小豆やよもぎから作られるよもぎ餅や生菓子は、土産にもよい。木・金・土曜、そして第二と第四日曜と営業日が限られているため、事前に確認してほしい。
茶菓 山川
住所:滋賀県大津市長等2丁目10-5
電話番号:077-527-0088
営業日:木・金・土・日曜日のみ第二、第四
営業時間:10:00〜18:00
HP:https://saka-yamakawa.net/

京阪石山坂本線・京阪石山寺駅に降り立つと、駅が紫色に染まっている。「源氏物語」の3場面をモチーフにつくられた噴水「紫式部の泉」を横目に、石山寺へは瀬田川沿いを歩く約10分の道のり。

東大門から石畳を進むと、岩山がそびえ立つ「石山寺」が現れる。その名の通り、硅灰石(けいかいせき)の山の上に本堂が立っている。

当時、中宮彰子の命により、式部は7日間の石山寺参籠を行い、本堂の一角にある「源氏の間」で筆を取ったという。文学の寺として、式部につづく女流文学者、また江戸時代以降は芭蕉、与謝野晶子、谷崎潤一郎、三島由紀夫などの文学者が石山寺を詣り、題材にしてきた。



平安貴族による石山詣は盛んに行われた。人々は明け方に京の都を出発し、逢坂の関を越え、打出の浜より船に乗り、石山詣に出かけたという。近江八景のうちの二つ、瀬田唐橋から望む「瀬田の夕照」、そして「石山の秋月」を楽しむまでが、このコースの醍醐(だいご)味。
石山寺から琵琶湖の湖面に映る中秋の名月を眺めた式部は、「今宵(こよい)は十五夜なりけり」と書きはじめた。今年の中秋の名月は、9月17日(火)ということから、9月17日(火)・18日(水)の2日間は石山寺 秋月祭も行われる。「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」での展示と「源氏物語 恋するもののあはれ展」が同時開催中だ。

平安貴族ではないが、京都を出発し、滋賀をまわる石山詣への旅。琵琶湖に揺れる秋の月を眺め、1000年の時を経てなお現代人のこころも動かす源氏物語の誕生を感じたい。
◼️大本山 石山寺 推奨所要時間:1時間半
住所: 〒520-0861 滋賀県大津市石山寺1丁目1−1
電話番号:077-537-0013
入山時間:8:00〜16:30 (※最終入山 16:00)
入山料:入山: ¥600、内陣拝観: ¥500、豊浄殿: ¥300入山+内陣セット: ¥1,000、入山+内陣+豊浄殿セット: ¥1,100(豊浄殿開館期間のみ)※いずれも大人料金 ※大河ドラマ館は別途料金
HP:https://www.ishiyamadera.or.jp/
◼️満月寺 浮御堂


湖に浮かぶ浮御堂は、「源氏物語」に登場する僧侶・横川の僧都のモデルとされる比叡山横川の恵心僧都源信が、湖上交通の安全と人々の救済を願って建てた。こちらも近江八景の一つ、天から浮御堂へ一群の雁(かり)の群れが舞い降りる情景を指す「堅田の落雁」の舞台となる。
住所:〒520-0242 大津市本堅田1-16-18
電話番号:077-572-0455
営業時間:8:00~17:00(12月のみ16:30)
拝観料:¥300
◼️中川誠盛堂茶舗

日本茶発祥の地ともいわれる滋賀。近江、朝宮茶の老舗。店の前には香ばしい香りが漂う。自家製の釜で炒られた赤ちゃん番茶は、ほうじ茶とは異なるさっぱりとした甘味が特長で、古くから滋賀では親しまれたお茶。ティーパックになった赤ちゃん番茶は土産にすすめたい。
住所:〒520-0043 滋賀県大津市中央3-1-35
電話番号:077-522-2555
HP:https://seiseido.com/
text: Aoi Nakamura, edit: Mio Koumura
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