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【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】6月 夏至。今宮神社の「夏越の大祓式」とかざりやの「あぶり餅」

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、町家のたたずまいはそのままに、細部までこだわった内装で訪れた人を温かく迎え入れる。2017年の開業以来、和の情緒を満喫できる宿として人気だ。そんな「karigane」を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチする

夏の邪気を祓って平穏を祈る

こんにちは、kariganeおかみの下岡です。皆さまいかがお過ごしでしょうか?

夏至は、一年でもっともお昼の時間が長くなる時期ですが、梅雨の雲に覆われてどんより暗く、不快で体調を崩しやすい気候になりがちです。そんな「夏の邪気」を祓い、平穏無事に過ごせるよういのる儀式が、夏越の大祓式(なごしのおおはらえしき)です。

6月になると、京都各地の神社におおきな「茅の輪」が設置されます。参拝者はそれを8の字に3度くぐり、邪気を祓います。特に6月30日は大祓式のクライマックス。神社によっては、大祓の詞(ことば)を唱え、神職さんを先頭に参拝者が一列にならんで、茅の輪くぐりを行います。

京都に数多ある神社の中で、特に今年おすすめしたい神社を2つご紹介いたします。

まずは、北野天満宮。学問の神様として名高い菅原道真公は、災いをもたらす恐ろしい祟り神としての顔を持ちあわせておられます。特に6月25日は道真公のお誕生日。北野天満宮で道真公に祈りを捧げて、無病息災をお願いしましょう。

北野天満宮の茅の輪

そして、今宮神社。古代の日本人は、「疫神」と呼ばれる神様が病をもたらすと考え、「疫神」をもてなすことで病の平癒を願いました。今宮さんには、平安建都以前から疫神を祀る社があったとされ、茅の輪くぐりに最適の神社です。

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今宮さんの東門前には、一和(いちわ)さんとかざりやさんという、2つの風情あるお茶屋さんがあります。

両店ともに、あぶり餅という和菓子が名物です。きな粉をまぶした串餅に白味噌のあまじょっぱいタレがかかった、どこか懐かしさを感じる素朴な和菓子です。

お餅をあぶるのは炭火

京都では、「私はかざりやさん派」「私は一和さん派」と、どちらで食べるかを決めていらっしゃる方も多いそうです。kariganeのお客様には、2つのお店をはしごして食べ比べる方もいらっしゃいます。どんな味の違いがあるのか…は、実際に食べくらべしてお楽しみください。

今回はかざりやさんのあぶり餅を頂きました

今宮さんへ参拝し、あぶり餅を食べる。日常と旅行の「あわい」のような、私たちのお気に入りの京都です。

なお、今宮神社にて茅の輪が設置されるのは、6月下旬(昨年は20日ごろ)から30日。感染予防対策をしてお出ましください。

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photos:下岡広志郎

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。 HP:https://rokushou.net/karigane/  Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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