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【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】6月 芒種。上加茂神社のホタルと紫野源水の水無月
2021.6.5 / marie claire
京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、町家のたたずまいはそのままに、細部までこだわった内装で訪れた人を温かく迎え入れる。2017年の開業以来、和の情緒を満喫できる宿として人気だ。そんな「karigane」を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチする
大徳寺の門前町で、おかみをやっています
はじめまして、下岡莉香と申します。京町家を使った一日一組限定のちいさな宿「karigane」で、おかみをやっております。
まずは簡単に自己紹介を。私は2014年の秋、脱サラして夫の広志郎とともに、1年5ヵ月の世界一周旅行をしました。南米やアフリカの大自然、ヨーロッパや中東の街並み、中国やインドの歴史。忘れることができない思い出ばかりです。しかし同時に、日本の文化の素晴らしさについても改めて気づく旅にもなりました。
2016年に帰国した私たちは、もっと多くの人に日本の魅力を伝えたいと思い、京都で宿を始めることにしました。「karigane」は、大徳寺という茶道で有名なお寺の門前町にあります。観光地として人気の祇園や嵐山からは離れた、ちょっとレトロな商店街のある静かなエリアです。
上賀茂神社の境内を流れる清らかな御手洗川。梅雨の時期には蛍を見ることができます©️Shimooka Koshiro
さて今日は6月5日。1年を24の季節に分ける日本の暦「二十四節気」では、6月初旬を指す「芒種」にあたります。梅雨に入り、大地がうるおい、農家さんが田植えをはじめ、夜にはホタルがとびかう季節です。
京都は人口147万人を超える大都市ですが、実はホタルの名所がたくさんあります。例えば、世界遺産にも登録されている上賀茂神社と下鴨神社。両社とも、森に囲まれた美しい小川が境内を流れ、夜はホタルが舞い、非常に幻想的です。
都市部であれば哲学の道や白川巽橋付近、郊外であれば大原や貴船鞍馬なども有名です。
この季節のお楽しみは、もちもちとしたういろう上に甘い小豆がのった和菓子、水無月です。6月になると、和菓子屋さんの軒先には必ずと言っていいほど水無月がならびます。ご近所さんから手作りの水無月をお裾分けしていただくことも。
紫野源水さんの水無月。
私のお気に入りは、紫野源水さんのもの。ういろうではなく葛餅、その上に丁寧に炊かれた小豆が上品に散りばめられています。氷を模した葛餅の透明感と、小豆のリズム感がここちよい緊張を生み、じめじめした鬱陶しい季節に清涼感をもたらしてくれます。
今後も月に2回程度、記事を書かせていただきます。ガイドブックに載っている京都や、インスタグラムで人気の京都とは一味違った、京都の風景をお届けしたいと思っております。これからもよろしくお願いいたします。