「アスティエ・ド・ヴィラット」伊勢丹新宿本店で開催中のクリスマスマーケットで、新作香水をお披露目

3つの伝説的な香りを蘇らせた、新作香水

今回のクリスマスマーケットで、とりわけ話題となっているのが、日本初のお披露目となる、3つの新作香水。伝説として語られる香りを、100%天然由来の原材料を用いて、現代に復元したのだ。不可能とも思えるミッションを可能にしたのは、「歴史からインスパイアされた、今までにない新しい香りを作りたい」というイヴァンとブノワ2人の情熱と、調香師であるドミニク・ロピオン、香水史家で人類学者・研究者であるアニック・ル・ゲレの飽くなき探究心だ。結果、“香りのタイムトラベル”へと誘う、奥深い香りが誕生した。

青い神の意味を持つ「Le Dieu bleu（ル・デュー・ブルー）」は、紀元前4000年、古代エジプトの神に捧げられた香水からインスパイアされたもの。ウッディーなエニシダ、甘くスパイシーなミルラ、青い草の香りのガラードバーム、ナイル川に生い茂るカラマスなどが調和し、神聖で神秘的な香りを放つ。

「Artaban（アルタバン）」は、紀元前3世紀ごろ、古代イラン王朝パルティアの王アルタバンのために作られ、裕福な古代ローマ帝国の人たちの間で流行った香り。シナニッケイ、コスタス、カシア、スチラックスなど24種類ものアロマ、スイートでビターな香りのマジョラム、フレッシュなアニスとスパイシーなカルダモン、アンバーな香りのシストラブダナム、熱を帯びた香りのシナモンを配合。

いくつもの夜を意味する「Les Nuits（レ・ニュイ）」は、19世紀の作家ジョルジュ・サンドが身につけていたという香り。ジョルジュ・サンドの遺品の香水ボトルにわずかに残されていた香水から抽出したフォーミュラを分析し復刻させ、現代によみがえらせた。官能的なダマスクローズ、土や木を感じさせるパチョリ、パウダリーなアイリス、イランイランやベチベーがエッセンスとなった、官能的で誘惑的な香り。また、新作香水3つと本がセットになったコフレも発売中だ。

「香りを説明するのには、言葉が必要なんですよね。だから、私たちは本を作りました。私たちが調香師と話すことで想像力を膨らませ、香りを表す言葉とその奥深さを学ぶように。本が対話の相手となれたら嬉しい」とブノワ。

クリエイションの源となるのは、“好奇心”

「アスティエ・ド・ヴィラット」のアイコンといえば、陶器。パリに唯一残る18世紀のパリ手工芸を継承する陶器工房で、エスタンパージュ装飾技法を現代のテイストで表現した陶器は、一躍、世界中の人々を虜にした。伝統とモダニズムの融合を得意とする彼らは、香水も同じコンセプトでよみがえらせた。次はどのようなチャレンジで私たちを魅了しくれるのだろうか。

「私たちは、いろんなプロダクトをクリエイトしてきたけれど、それは、アスティエ・ド・ヴィラットという、一人の人格なんだ。人は成長するにつれ、パーソナリティを多様化させながら自分の世界観を徐々に構築しますよね。今回の香水も、“今”の「アスティエ」が､昔の香水を再現するのがおもしろいと思ったから取り組んだまでなんです」

「未来のことはわからないけれど、人間でいうところの反抗期は終わり、昔と比べて安定してきた」という、ブノワとイヴァンのふたり。

ブノワとイヴァンが日本滞在中に立ち寄りたいスポット

最後に、今回の来日で楽しみにしているプランを聞いてみた。

「青山のアンティーク生地を扱うショップ『森田』を訪れて、金が織り込まれている昔の生地を見たい。あとは、指圧マッサージかな（笑）」

彼らの物語は続くが、思いもよらない発想でこれからもきっと私たちを楽しませてくれるに違いない。

「アスティエ・ド・ヴィラット」のクリスマス市
期間：～12月25日（日）
場所：伊勢丹新宿店本館2階 イセタン ザ スペース
住所：東京都新宿区新宿3-14-1
電話： 03-3352-1111
open. 10:00〜20:00

text: Seira Yoshimura、edit: Miyuki Kikuchi

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