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唯一無二の和菓子は京都にあった。お取り寄せも可能な名店紹介【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

御倉屋の銘菓・夕ばえ

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」を夫とともに営む下岡莉香さんが、地元ならではの旬な京都をご紹介。今年の母の日は5月8日、プレゼント選びの真っ最中という方も多いのではないでしょうか。そこで、お母さんへの贈り物にもぴったりの京都の和菓子を、おかみに教えてもらいました

昔ながらの製法にこだわって

立夏を前に、京都は汗ばむ陽気になってまいりました。

今回ご紹介するのは、1947年創業の洛北の菓匠、御倉屋(みくらや)さんです。

御倉屋の店頭(上)と店内(下)

創業者である初代・後藤常三さんはアイデアマンだったそうで、多くの文化人に愛される銘菓を生み出しました。

「旅奴(たびやっこ)」は、一口サイズのぼうろに黒糖をまとわせたお菓子。いくつでも食べられる味と食感で、その名の通り旅のお供にもぴったりです。

「美久良かん」は、瑞々しく大粒の小豆がぎっしり詰まった羊羹。上品な甘みで、小豆本来の味や香りを楽しめます。白小豆をつかった「白美久良かん」は、甘いものが苦手な方が、お酒のお供にされることもあるそうです。

「夕ばえ」は、黄身しぐれ好きな私が特におすすめしたい一品です。黄身しぐれが蒸して仕上げる和菓子であるのに対し、こちらは窯で焼き上げて仕上げられています。

写真右上から時計回りに、夕ばえ、旅奴、美久良かん

「夕ばえは、御倉屋の菓子の中でもいちばん難しい菓子。気温や天候、その年の豆の出来などにあわせて、力加減とか火加減とか水加減を調整しています。自分の好きな夕焼けの空をイメージしながら成形し、毎回ワクワクしながら窯を覗き、焼け具合や割れ目の様子を確認します。夕ばえが窯の中で夕焼けのように染まっていく様子がとても好きです」とは、御倉屋の若女将・後藤昌子(ごとうまさこ)さんのお話。

ちなみに「夕ばえ」というお銘は、広辞苑の編纂者として有名な言語学者の新村出さんにより「きみしぐれを超越する和菓子」という意味を込めて命名されたんだとか。時雨の後に訪れる美しい夕日、というイメージでしょうか。

その口どけ感は、降ったばかりの初雪をそっと丸めたような優しさで、上質な甘みが絹のシーツを広げるように口の中を伝わっていきます。夕ばえは、素朴な黄身しぐれとは似て非なるもの、御倉屋さんでしか味わえない唯一無二の和菓子です。

御倉屋さんの和菓子

昔ながらの作り方にこだわる御倉屋さん。デパート等には出品されませんが、HPよりネットで販売されています。日頃から頑張る自分へのご褒美や、母の日のプレゼントとして、御倉屋さんの和菓子はいかがでしょうか。

詰め合わせ2個ずつセット 2736円

撮影・構成:下岡広志郎

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お問い合わせ先

【御倉屋(みくらや)】 住所:〒603-8416 京都市北区紫竹北大門町78番地 TEL:075(492)5948 営業時間:9時〜18時 定休日:毎月1日、15日、8月16日、1月2日3日 オンラインショップはこちら

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。 karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/ Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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