暮らしを豊かにする英国のステーショナリー&レザーグッズの「スマイソン」
イギリスのステーショナリー&レザーグッズのブランド「スマイソン」。イギリス王室御用達であり、世界のセレブにも数多くの愛用者がいる。デジタル時代だからこそのコミュニケーションツールとしてのステーショナリーは暮らしに豊かさをもたらしてくれる。2025年、日本でEコマースをリニューアルオープンしたほか、伊勢丹新宿店メンズ館にもショップがオープンし、存在感も高まりそう。スマイソンの魅力などについて、パオロ・ポルタCEOに語ってもらった。
パオロ・ポルタCEO
フランク・スマイソンがロンドンのボンドストリートにステーショナリーの店を開いたのは1887年。ビクトリア女王の各邸宅の文房具の製作を依頼されるようになる。1900年代に入ると、初めてのハンドバッグを販売。その後、英国王室御用達となる。ヨーロッパの王室のほか、グレース・ケリー、デヴィッド・ボウイなどのセレブも愛用するブランドだ。また製品や箱などに使われているスマイソンブルーも特徴のひとつだ。
生活の記録に、旅の記録に
──ブランドとしての特徴はどんな点にあるのでしょうか。
スマイソンの役割は時代によって変わってきています。100年前であれば、唯一の連絡手段として手紙を書くという方法しかありませんでした。しかし、今はデジタルの時代。何かを書くにもデジタルツールを使っています。そのような時代においてのスマイソンの新しい役割としては、特別な機会に特別なものを書く時に使っていただくことだと思っています。自分の時間を楽しむために何かを書くということもあるでしょうし。
仕事のスケジュールはスマホで管理するけれども家族の行事予定などはダイアリーに記録する方々も多いでしょう。たとえば日曜日に子供が寝静まったあとに日記を書いたりする人たちも。
羽根のように軽いフェザーウェイトペーパーを使用
旅も大切な要素です。スマイソンが創業した19世紀は海外に長い時間をかけて旅することが始まった時期でもあります。そのときに使われたのが、「フェザーウェイトペーパーダイアリー」です。フェザーウェイトとはその名の通り、羽根のように軽いということ。当時使われていた紙の2分の1の重さで非常に薄い。こうした高品質の紙を開発しました。
これが開発された理由は、人々が旅にでる機会が増え、軽くて薄い紙ならば、同じ重さのダイアリーを作ったとしても、今までよりも2倍の量が書ける。つまり2倍長く使っていただけるということがあったからなのです。
ノートやカードはイギリスで生産
──生産はイギリス国内で行っているのでしょうか。
ものづくりについてですが、ノートブック類とステーショナリーに関してはすべてイギリスで作られています。工場では職人の技が代々受け継がれています。伝統的な製法を行いつつも、新しい技術も取り入れています。
カラフルで、時にユーモアもあるカードの数々
例えばステーショナリー類に刻印を押すという作業は、昔から使用している刻印器を使っています。一方で、ノートの表紙などに印刷をする際、印刷の質を高め、すてきな色で印刷するためにデジタルプリンターを取り入れています。最新の技術を取り入れることによって、いままでできなかったクリエイティブなものが可能になり、それによって楽しい絵柄ができてお客様にさらに喜んでもらえるようになりました。
──革製品はスマイソンにおいて、どのように位置づけられているのでしょう。
レザーグッズやゲーム類なども充実
レザーグッズのコレクションは大きくふたつのカテゴリーにわかれます。ひとつはビジネストラベル。このカテゴリーにはパスポートカバーなども含まれます。ふたつめがライフスタイル。自宅で楽しむものが中心となり、ホームアクセサリーやゲーム類などが含まれます。商品を開発する際に大切にしていることは、スマイソンがこれを作りたいから作るというのではなく、お客様がほしがっているもの、その要望に応えるということです。
進化したアイテムのひとつとして、昨年7月に英国ではノートンバッグというシリーズがデビューしました。バッグに使われている素材としてリサイクルナイロンとレザーを組み合わせています。スマイソンならではの美しさを損なわずに、モダンな形で進化した製品です。
──お客様のニーズはどのように読み取っているのでしょうか。
スマイソンは比較的リピートする顧客の比率が高いブランドです。例えば、ダイアリーに関しては、5、6万人が毎年購入しています。
ノートも様々な用途に合わせてサイズや色が選べる
また、パーソナライゼーションのサービスも行っているため、お客様とのつながりがとても強いと思います。お客様の要望や気持ちを読み取りながら製品が提供できているというのは重要なポイントです。
──お客様とのコミュニケーションの中にいろいろなヒントがあるということですね。
例えば、ダイアリーにポケット付きのものがありますが、実はこれは2、3年前にお客様から「ポケットのついたダイアリーがほしい」という声が寄せられたことがきっかけとなりました。一部のお客様はとても気に入ったのですが、他方、絶対にいやだというお客様もいたので、ポケットありとなしの2種類を作ることになりました。価格は据え置きです。
伊勢丹新宿店にショップオープン
──日本市場をどうとらえていますか。
日本はとても大切な市場です。Eコマースの出荷対象地になっていたので、日本のお客様は買うことができましたが、すべてロンドンを拠点に対応し、出荷するという形をとってきました。
1月8日にはオンラインストアがリニューアルオープンし、日本をベースとしたEコマースが立ち上がりました。すべて日本語で、出荷の拠点も日本国内となります。支払いなども代引きなどが可能になります。
ノートのバリエーションも豊富
今まではロンドンから出荷していたので時間がかかっていましたが、国内からの発送となりますので、注文してから商品を受け取るまでの時間も大幅に短縮されます。日本限定の製品もあります。
また1月29日には伊勢丹新宿店のメンズ館1階にショップがオープン。さらに2月13日にはGINZA SIXでの期間限定店舗もスタートします。
──スマイソンのステーショナリーは触ってみてこその良さがありますよね。
その通りです。だから1、2店舗だけではなくて、もっと多くの店舗でお客様に実際に触っていただき、商品やブランドを体験し、発見をしてもらえるような機会を提供していきたいと考えています。
持っているだけでも楽しくなる色のノートブック
スマイソンはイギリスのブランドであって伝統を背負っているのと同時に、楽しさやユーモアを大切にしています。ユーモアについていえば、意外性のある色を使ったり、カードなどもキュートなデザインが採用されていたりとか。使う人が個性を表現する、あるいは自分の表現したいことがきちんと伝えられるツールになっているはずです。
text: Izumi Miyachi(マリ・クレールデジタル編集長)
・デザイナー中村三加子の初の著書「美しい服 MIKAKO NAKAMURA 長く愛される価値ある本物」。
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