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「アートと湯宿に泊まる」。創業122周年山中温泉 花紫にデザイナーズスイート誕生

明治35年(1902年)、前身である山田屋の誕生から122年。ここ石川県加賀温泉郷にある「山中温泉 花紫」にパリのOGATA、東京・八雲茶寮を手がけたSIMPLICITYによる1部屋限定のデザイナーズスイートが新たに誕生する。10月1日(火)の宿泊スタートに先駆け、その中身を紹介したい。

「山中温泉 花紫」とSIMPLICITYとの出会いは、リニューアル構想が立ち上がった頃にはじまった。最初の依頼からコロナ禍を経て、3度目の正直でSIMPLICITY代表・緒方慎一郎氏のyesを得た。念願のSIMPLICITYによるリニューアルは、ロビーや共用スペースなどにわたる。それからも両者のつながりは深く、今秋、SIMPLICITYによるデザイナーズスイートが誕生することとなった。


デザイナーズスイートの名前は、アートスイート「夏の5」。まるでパブリックなスペースと見間違えるほどに広々とした、142㎡の広さを持つ特別室だ。ドアを開けると、金沢を拠点に活動するアーティスト 佐々木類氏によるガラスタイルが静かな暗さの中に浮かぶ。山中温泉の自然を探索し、そこで自生する草木を収集し、モチーフにしたもので、透ける自然との調和が美しい。

アートスイートという別名だけあって、この部屋には石川県を拠点に活動をするアーティストによる作品が部屋に静かに存在する。壁にはロエベ財団Craft Prize 2020のファイナリストに選ばれた金沢の漆造形作家 鵜飼康平氏による漆のオブジェ。能登半島地震の被害に遭った漆に関わる人々の支援を目的に制作され、オークション形式で販売された作品だという。

また、部屋の中央に鎮座する1.5mのメインテーブルもまた漆によって作られたもの。金沢の作家 杉田明彦氏が空間に合わせて用意したもので、柔らかく気品のあるテクスチャーが部屋のコンセプト「アートと湯宿に泊まる」にしっかりと寄り添っている。

伝統を現代的に解釈した作品がたたずむ部屋の半分を占めるのは、プライベートサウナと露天風呂、水風呂を完備した浴室エリアだ。松尾芭蕉が名湯と讃(たた)えたことでも知られる、さらりとした肌ざわりの湯を何度も堪能でき、ゆっくりと思うままに、ウェルネスに浸ることができる。


夕食はさまざまな懐石が何種も用意されている。中でも「山中温泉 花紫」独自の懐石として好評なのが、アラカルト懐石だ。季節ごとに異なるおよそ50種類のメニューから、一人ひとりの趣向に合ったものを自由に組み合わせて楽しめるというもの。ペアリングの種類も豊富で、杉田明彦氏の漆のテーブルで心ゆくまで石川の豊かな風土から生まれた食材を味わい尽くしてもらいたい。

なお、「山中温泉 花紫」にはデザイナーズスイートと合わせ、同様のコンセプトを持った90㎡のデザイナーズ Jr.スイートも1室限定で誕生。こちらは、客室に露天風呂とベランダを備えた開放感のある空間で、コンパクトながらデザイナーズのエッセンスを楽しめる。

さらに今秋からは、花紫・6代目オーナー 山田耕平氏と巡る工芸とアートの旅もスタートする。この土地で生まれ育ち、地元の工芸作家や農家、商店と連携しコミュニティを築いている山田氏が客の要望に合わせて地域の魅力をオーダーメイドで伝える。新たに誕生したデザイナーズスイートの宿泊とあわせて訪れれば、より本質的な石川県の奥深い魅力に触れる旅になるに違いない。

text: Aoi Nakamura, edit: Mio Koumura

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山中温泉 花紫
https://www.hana-mura.com/

花紫オーナーと巡る、工芸とアートの旅概要:
料金:¥50,000(税込)/人 
定員:3名まで  
※利用は2泊以上から

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