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Lifestyle

立秋・粟餅所 澤屋の「粟餅氷」【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、町家のたたずまいはそのままに、細部までこだわった内装で訪れた人を温かく迎え入れる。2017年の開業以来、和の情緒を満喫できる宿として人気だ。そんな「karigane」を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチします

京都の夏が最も暑くなるのは 8 月の上旬。うんざりしてしまう暑さが続く中、立秋と聞くと「この気温で、どこが秋なの」と思うのも私だけではないはず。しかし、厳しい暑さも上旬まで、あとは徐々に気温が下がってゆくと考えれば、夏が去る前にしておきたいことを思い出すものです。

粟餅所・澤屋(あわもちどころ・さわや)さんの粟餅氷(あわもちごおり)はそんなときに思い出す筆頭株。北野天満宮の門前にあり、5 代将軍綱吉の時代に創業。名物の粟餅は長細い形をしたきな粉と、丸い形のあんこがセットとなり、味比べを楽しめます。昔ながらに注文が入ってから仕上げられる粟餅は、ほのかに暖かく、驚くほど柔らか。

澤屋さんへは北野天満宮の大鳥居より西へ
粟も、いまは珍しいものとなり、値段は餅米のなんと三倍にもなるそう

そんな澤屋さんで夏の暑い盛りになると出てくる人気メニューがかき氷です。宇治粟餅氷を頼めば、まずはお抹茶の色の鮮やかさにきっと驚くはず。というのも蜜は作り置きせず、直前に茶筅でお抹茶と蜜を点てて合わせたもの。

抹茶が香高く、氷の芯まで蜜が染みわたって、たまらなく美味

スプーンを差しこむと、さくりと良い音。そっと口へ運べば、すっと儚く消えて、抹茶の風味が心地よく残ります。ガリガリとした歯触りで頭がキーンと痛くなるようなかき氷がある一方で、澤屋さんのかき氷はとても繊細。そのくちどけの秘密を聞けば、「昔の電気を使わない冷蔵庫がありますでしょ、それを使っているんです」と 13 代目当主・森藤哲良(もりふじ・てつろう)さん。貯蔵用にはバックヤードの冷凍庫を用い、使う前には冷蔵庫に移して少し“あたためて”そのくちどけを生み出しています。

13 代目ご当主の森藤哲良さん(右)と14 代目の森藤淳平さん(左)。粟餅作りは親子の連係プレーで
木製で愛らしい昔の冷蔵庫

器の底にはあんこの粟餅がふたつ。運ばれてきた直後にはほのかにあたたかく、氷で冷えるにしたがって粟餅独特の粒々感が楽しめます。繊細な氷と相性のいい滑らかなこしあんは、翌日用に毎日炊き、一晩寝かして仕上げます。そのため数に限りがあり、売切次第終了。先週末には予想以上にお客様が来られたため、午後 2 時には閉店してしまったそう。

お抹茶椀で点てた出来立ての抹茶蜜をくるりくるりとまんべんなく氷にかけます

粟餅氷は梅雨明けから、9 月の上旬頃まで。京都でも最も遅くはじまり、最も早く終わってしまうかき氷とも言われています。一番美味しい瞬間を食べてもらうために、粟餅もあんこも蜜も作り置きはせず、氷にも心配りをする澤屋さん。短い販売期間にも「かき氷が最も美味しい旬の時期のみに提供する!」そんな心意気を感じます。

8 月の北野天満宮は七夕神事の他、御手洗川足つけ燈明神事や萬燈会も行われます

北野天満宮では 6 月の下旬から、旧暦の七夕の 8 月上旬まで七夕の笹飾りが境内を彩ります。お参りに合わせて、夏の京都へのご旅行の際には是非食していただきたいかき氷です。

【SHOP DATA】
粟餅所・澤屋
住所:京都市上京区紙屋川町 838-7
電話番号:075-461-4517
営業時間:9:00~17:00
定休日:木曜・毎月 26 日

photos:下岡広志郎

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。 karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/ Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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