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チョコレートをめぐる問題とSDGs

世界中で愛されているチョコレート。日本でもチョコレートはバレンタインデーに欠かせない、愛情や感謝の象徴です。しかし、カカオ産地にはいくつもの問題があります。チョコレートを味わえるのは、カカオ豆があってこそ。連載の2 回目は、生産国ガーナに行き、その様子を取材してきたチョコレートジャーナリストの市川歩美さんが、産地が抱える課題をお伝えします。

課題その1 気候変動

カカオ豆の世界の主要な生産国は、西アフリカの国、コートジボワールとガーナです。カカオは南・北緯20度以内の、高温多湿なエリアでしか育たないトロピカルフルーツ。それが今、気候変動による影響を受けており、生育範囲が広がっているようです。

リスクは地域によって違いますが、これまでとは異なる病気や害虫の被害が起きたり、伝統的な栽培方法が通用しなくなったりする可能性があります。ガーナでは「気候変動のせいか、カカオの収穫が減った」という声も聞こえました。カカオ産地には小規模農家が多いので、情報やトレーニングの共有も課題です。

課題その2 貧困と児童労働

カカオ豆の、世界の主要な生産国は、コートジボワールとガーナ(西アフリカ)

主な生産国では、カカオ農家の貧困の問題が根深く、児童労働が問題になっています。日本のNPO「ACE」によると、子供が家族から引き離されて労働者として連れてこられるケースも。人身取引は、国際条約やガーナの国内法でもかたく禁じられています。

学校へ行けず、危険な労働に従事する18歳未満の児童は、コートジボワールで79万人、ガーナで77万人というデータもあります(2020年、シカゴ大学NORC)

課題その3 後継者不足

カカオ農家

私がガーナで取材すると、子どもにカカオ農家を継がせることを願う家族は少なく、将来は別の仕事につきたいと話す子どもが大半でした。

カカオ農家は、栽培、収穫、発酵、乾燥と作業が多く、その割に低賃金なのも理由でしょう。労働者不足は、児童労働につながる可能性もあります。後継者不足が心配です。

日本の取り組み

サステイナブル・カカオ・プラットフォーム

日本では、JICA協力の主導で「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」が立ち上がり、2020年から政府関係機関、企業、NGOが枠組みを超えて、情報を共有、カカオ産業の課題解決を目指しています。

メンバーには、森永製菓、明治ホールディングス、ロッテ、江崎グリコ、有楽製菓、不二製油、といった企業のほか、フェアトレード・ラベル・ジャパン、日本チョコレート・ココア協会といった団体も名を連ねています(2024年1月時点)。

明治は2006年から「メイジ・カカオ・サポート」を、森永は、2008年から「1チョコ for 1スマイル」という支援活動を行うほか、製菓用チョコレートメーカー各社も独自の支援に力を入れています。

大きな課題解決のためには、大きな力が必要です。同じ目標にむけて、力をあわせること。そして一時的でなく、継続的な支援が、いつまでもチョコレートを楽しめる未来を作ることでしょう。

text&photos: Ayumi Ichikawa 

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Profile

市川 歩美(いちかわ・あゆみ)

チョコレートジャーナリスト
日本で唯一のチョコレートに特化したジャーナリスト、コーディネーター。365日、日本国内やカカオ生産地をはじめ世界各地を取材し、最新のトレンドをメディアで発信する。チョコレート愛好家歴は約30年。

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