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ファッションPRから料理家へ転身。杉山絵美さんが次世代に伝えたいこと

本当にやりたいことをやる、サードキャリアに選んだのは“料理家”

「ファーストキャリアは、仕事で成功しようと頑張って、ときにはやりたくないこともやる覚悟で立ち向かわなくてはいけない。セカンドキャリアもその延長線上。自分が本当に好きなことを仕事にするのがサードキャリアだと私は思っていて。何が一番、本当にやりたかったことなのかなと考えました」。そこで杉山さんが出した答えが、『料理』。

「マリ・クレールの料理連載がリニューアルのタイミングで、編集長に『やってみる?』とお声がけいただいたときは、『いいんですか?』という感じで。連載を始めるにあたり、自分らしさを一枚の写真の中に表現したい! と思いついたのが、お花と料理を一緒に撮ること。背景も黒で統一して、今の自分のスタイルができました」

杉山絵美 ネクストステージ

料理本を出版することが私の夢のひとつ

どこでも手に入る素材で、10分で簡単に華やかなご飯が作れることが友人たちの間で話題に。その世界観を一冊の本として楽しめるのが、杉山さんの著書「おうちで作るセレブごはん―とっておきの“魔法”を教えます」だ。手軽に作れて“魔法のように美味(おい)しい”お料理のレシピが、美しいお花に彩られた華やかな写真とともに、ずらりと紹介されている。

「みんなで一緒に美味しいご飯を囲んで、おしゃべりしたり、コミュニケーションをとったりするなかで、何か新しいことが生まれるわけで、食べることはすべての人が共有できることだと思うんです。“食”は生きていく上でなくてはならないのはもちろん、そこから喜びを得られるものでもあり、人生を豊かにしてくれるもの。とても大切なものだということを広く伝えていけたらと思いました」

食を通じて、次世代に何を、いかに残していけるか

本を出版し、レシピの開発やプロデュースも手がけ、フードロス問題にも取り組み、料理家という枠を超え、幅広く食の仕事に携わっている杉山さん。どんな未来予想図を描いているのだろう。

「52歳になって感じるのは、今は“ボーナス”を生きているようなものだということ。100年前の日本人の平均寿命は43歳。その倍の人生を生きることになるわけで、その分、たくさんチャンスがあるし、何か新しいことをするのに遅すぎることはない。今の世の中、それを自分自身で体現できますよね。コロナ禍を経て、働き方や仕事のスタイルも大きく変わって、今後はフォースキャリア、フィフスキャリアもあるかもしれない。仕事に限らず、趣味も家庭も、同時にもっといろいろなことにチャレンジできる時代がやってきたのかなと思っています。昔のファッション業界は、何かを諦めて働いている人が多く、私はそこで、この人みたいな人生を歩みたい! と憧れる女性に出会えませんでした。でも今は何かのために何かを諦めるわけではなく、たくさんわらじを履いてもいいんじゃない?という風潮になってきた。だから私はもっと人生を楽しみながら、いろいろなことを欲張っていきたいなと。そして今の20代、30代の女性たちに、こういう人生もあるという一例を示せればいいなと思っています」

そう考えるようになったのは、人気YouTuberヘラヘラ三銃士の番組に出演したことがきっかけだったそう。

「彼女たちのYouTubeは自分にとって、ものすごく大きなことでした。番組を見たという若い世代の女性たちに街で声をかけられたり、SNSで『絵美さんみたいになりたい』、『絵美さんみたいなお母さんがほしい』といったコメントをもらったりすることが驚きで。それからは私が次世代に何を、いかに残していけるのかということが、自分の中のメインテーマになったんです」

お仕事の拠点を日本にしてからは、国内各地を駆け巡り、日本の長所もたくさん目にするなかで、ご自分のルーツに立ち返り、本来やりたかったことも明確になったという杉山さん。

「PR時代は海外のものを日本に紹介してきましたが、私は日本人として、日本の文化の一つを作ってきた芸術家の家系に生まれて、今度は日本を海外に紹介していきたいなと。今思えば、もともとそれが一番やりたかったことだから。これまでのキャリアで勉強させていただいたことを糧に、食を通じて日本の文化を世界に伝えていけたらと思っています。

あとはプロデュース。やはり家系なのか、何かを作ることがすごく好きなので、たとえば飲食店を作るようなクリエイティブなことをもっとやっていきたい。自分の企画した“食べ物”でたくさんの人が、楽しい時間を過ごせるようになったらうれしいです」

photos: Yusuke Takeda interview & edit: Miyuki Kikuchi text: Akiko Eguchi

Profile

杉山絵美

料理家。ライフスタイルナビゲーター
慶応義塾大学卒業後イギリスに留学。英国王室御用達である、コンスタンス・スプライ・フラワースクールにてディプロマ取得。ケネス・ターナーに師事し、エリザベス女王主催の晩餐会の装飾のアシスタントなどを経験。帰国後、クリスチャン ディオールに広報として勤務する。2005年に独立し、PRエージェンシーSTEP inc.を設立。ラグジュアリーブランドのPRを手がける。料理好きがこうじて、世界中を食べ歩いて研究したレシピをもとに料理教室を開催。2020年には株式会社FOOD LOSS BANKを友人と共同設立し、食品ロスの問題にも取り組む。Oisixのミールキットをはじめ食のプロデュースを数々手がける。ファッション誌『マリ・クレール』『VOGUE JAPAN』『mi-mollet』などで連載中。初の料理レシピ本「おうちで作るセレブごはん」(中央公論新社)が2023年2月に発売となる。両祖父が文化勲章受賞者である日本画家の杉山寧氏と建築家の谷口吉郎氏、伯父は、建築家の谷口吉生、作家の三島由紀夫。
Instagramアカウント:@emisugiyama530
YouTubeアカウント:Emi Sugiyama

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