ファッションPRから料理家へ転身。杉山絵美さんが次世代に伝えたいこと
2023.8.31

人生100年時代と言われる昨今、働き方や家族のあり方、学び方など生き方そのものが多様に変化してきている。人生の転機をチャンスに変えた人たちは、次のステップをどう踏み出したのだろう? そんな先人たちの話を聞く連載「ネクストステージ」。第9回は、料理家の杉山絵美さんにフォーカス。
2023.8.31
人生100年時代と言われる昨今、働き方や家族のあり方、学び方など生き方そのものが多様に変化してきている。人生の転機をチャンスに変えた人たちは、次のステップをどう踏み出したのだろう? そんな先人たちの話を聞く連載「ネクストステージ」。第9回は、料理家の杉山絵美さんにフォーカス。
[INDEX]
クリスチャン ディオールの広報として勤務後、ラグジュアリーブランドを扱うPRエージェンシーを設立し、その後、料理家へと転身。新たなチャレンジを続けながら、活躍の幅を広げている杉山さん。“サードキャリア”の今は、本当にやりたいことに挑戦できるステージにいると感じているという。そんな杉山さんの人生の“履歴書”をひもときながら、今後の夢についてもお話を伺った。
両祖父が文化勲章受賞者である日本画家の杉山寧氏と建築家の谷口吉郎氏、伯父は、建築家の谷口吉生、作家の三島由紀夫という、芸術家の家系で生まれ育ったという杉山さん。幼少期に抱いた夢とは?
「子供の頃、私の中のアイドルが『キユーピー3分クッキング』のお料理の先生だった時期があって。音楽が耳に残ることもあり、あの番組の先生になりたいと思っていたのが、小学校に入る前のことだったと思います」
その夢を叶(かな)えたといえる杉山さんが料理好きになったきっかけは、ご親戚の影響もあったとのこと。
「母が料理上手で、一緒にお料理したり、お菓子を作ったりした3歳のときの記憶もあって、すごく楽しい思い出になっています。あと、お正月は伯父の三島由紀夫邸に行くのが恒例行事でしたが、伯母がすごくお料理上手で。おせち料理を本当にたくさん作っていました。キッチンでお手伝いしたこともあったと思います」
「大学時代はスタイリストのアシスタントとしてラグジュアリーブランドやドン小西さんのところで、アルバイトを通してファッションの世界にふれられたのがすごく楽しかった。ショーのスタイリングを手伝ったり、パーティを企画したり。イベントを作っていくという作業がとても面白くて、勉強になったので、ファッションに関わる仕事をしたいなと思うようになりました」
どんな職種があるのだろうと調べてみて、杉山さんが興味を持ったのはPRというお仕事。「就職試験をいくつか受けましたが、自分が志望していたブランドには落ちてしまった。その理由を考えたときに自分に足りないものは語学だなと。英語の勉強をしたい、そのために海外に留学したいと思ったんです」
「これからは英語だけでは武器にならない。留学するなら、英語以外のものも学ばないと時間がもったいない」と考えたという杉山さん。フラワーアレンジメントを技術的に勉強することに決め、英国王室御用達である、コンスタンス・スプライ・フラワースクールに通うことに。
「そのフラワースクールは王室御用達で、フィニッシングスクールも併設されていて。質の高いクッキングのコースがあったので、お料理も学びました。学校の寮のご飯といえば、それはもう不味(まず)かったですけどね(笑)。それからロンドンでいろいろなフラワーショップをめぐって、当時、本当に素晴らしいと感銘を受けたのがケネス・ターナー。自分でポートフォリオを作って持っていき、学ばせてもらえるようお願いしました。エリザベス女王主催のパーティの装飾に携わることができたのは、貴重な体験でしたね。100人規模のパーティで、テーブルクロスはシルク。お花だけでも驚くような予算で、スケールが違いました。本当にあの空間はとても美しかった! 爆弾を仕掛けていないかどうかというレベルのセキュリティチェックも経験できて、とても面白かったです」
ちょうどその頃、クリスチャン ディオールがPRアシスタントの仕事ができる女性を探しているとのことで、知り合いを紹介してほしいと日本から電話があったそう。
「私がやりたいので来月まで待ってくださいと話をして。帰国後、トントン拍子で入社が決まったのが24歳になった直後。当時は日本代表事務所という名称で、私は5人目の社員でした」
杉山絵美
料理家。ライフスタイルナビゲーター
慶応義塾大学卒業後イギリスに留学。英国王室御用達である、コンスタンス・スプライ・フラワースクールにてディプロマ取得。ケネス・ターナーに師事し、エリザベス女王主催の晩餐会の装飾のアシスタントなどを経験。帰国後、クリスチャン ディオールに広報として勤務する。2005年に独立し、PRエージェンシーSTEP inc.を設立。ラグジュアリーブランドのPRを手がける。料理好きがこうじて、世界中を食べ歩いて研究したレシピをもとに料理教室を開催。2020年には株式会社FOOD LOSS BANKを友人と共同設立し、食品ロスの問題にも取り組む。Oisixのミールキットをはじめ食のプロデュースを数々手がける。ファッション誌『マリ・クレール』『VOGUE JAPAN』『mi-mollet』などで連載中。初の料理レシピ本「おうちで作るセレブごはん」(中央公論新社)が2023年2月に発売となる。両祖父が文化勲章受賞者である日本画家の杉山寧氏と建築家の谷口吉郎氏、伯父は、建築家の谷口吉生、作家の三島由紀夫。
Instagramアカウント:@emisugiyama530
YouTubeアカウント:Emi Sugiyama
リンクを
コピーしました