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パリの料理家が直伝、ふだんづかいの美味しいヴィーガン・レシピ

心と身体に気持ちいい暮らしのために「植物由来のごはん」はいかが? 肉好き家族にもよろこばれる、本当に美味しいヴィーガン・レシピを、パリの料理家・室田HAAS万央里さんの著書『パリの菜食生活 ふだんづかいのヴィーガン・レシピ』から三つご紹介。

「ヴィーガン」の敷居は高くない

美容や健康、ダイエット、そして環境や動物のためといった理由で「ヴィーガン」を選択するも、継続するのが意外とむずかしいと感じたことはないだろうか。日本の飲食店ではヴィーガン料理の選択肢がそもそも少なく、はたまた上司との会食や友人からお呼ばれしたホムパ、パートナーや家族が「肉食派」など……。相手に気を使ってしまう場面は多いもの。

パリに20年住む人気の料理家である室田HAAS万央里さんは「フランスではここ5年ほどでベジタリアンやヴィーガン・チョイスの広がり、パリではだいぶ市民権を得てきたと感じる」と言う。

そんな室田さん自身は2年前まではほぼベジタリアン、いまはほぼヴィーガン。「ほぼ」というのは、一人で食べるときは植物性のものしか食べなくても、家族のために動物性の食材を使った料理も作るし、人に招待された席などではお肉も食べるから。このスタイルが今の室田さんにとって「しんどくならず人と一緒に楽しく食卓を囲みながら、ずっと続けていけるヴィーガンの食生活」なのだ。

がんばって100%ヴィーガンでなくてもいい、1週間に1回だけのヴィーガンでもいい。大切なのはまず、動物性の食品を食べないという経験をしてみること。室田さんは、ヴィーガンではない家族にも「美味しい」と思ってもらえるレシピをふんだんに初のレシピ・エッセー本『パリの菜食生活 ふだんづかいのヴィーガン・レシピ』(青幻舎)で紹介している。

「毎日ヴィーガンと葛藤しつつ、中途半端だけどありのままの自分を読者の方に知ってもらうことで、心軽く野菜中心の食生活を送る方が増えてくれること、もっと気軽に環境問題や動物性の食品を消費するとはどういうことなのかを考えるきっかけになったらうれしい。ヴィーガンにちょっぴり興味があるけど、なんだか敷居が高いなあと思ってる人、またはまったく興味のない人にもぜひ読んでもらいたい。私の大好きなレシピのみ、ぎゅうぎゅうに詰め込みました!」(室田さん)

ではさっそく、室田さんの著書から美味しい3レシピを紹介する。

もりもり食べるぞ!「キャベツとおからの焼き餃子」

「キャベツとおからの焼き餃子」
「おからが優しい味わいのいくらでも食べられてしまう餃子です。おからがない時は厚揚げ100gを手で細かく崩して入れても」(室田さん)

キャベツとおからの焼き餃子
キャベツとおからの焼き餃子(『パリの菜食生活 ふだんづかいのヴィーガン・レシピ』より)

<材料/普通サイズの皮 約25個分>
干し椎茸 7g 420㎖の水で戻しておく
キャベツ 1/8玉(140g)
ニラ 1/2束(40g)
えのき茸(または舞茸、椎茸など) 70g
春雨 30g
おから 100g
生姜 7g
ニンニク 1片
(あれば)顆粒ヴィーガン中華出汁小さじ1+椎茸戻し汁50㎖に溶いておく
玉ねぎ 1/2個(100g)
植物油 大さじ1(野菜炒め用)+大さじ2(餃子焼き2回用)
醤油 小さじ1と1/2
ヴィーガンオイスターソース(本書参照または市販のもの) 小さじ1
胡麻油 小さじ1(味つけ)+適量(焼き用)

胡椒
市販の餃子の皮 25枚
片栗粉 大さじ1と1/2
椎茸戻し汁 300㎖/蒸し焼き用2回分

<作り方>
① 全ての野菜をみじん切りにする。春雨は袋の表示に従って戻し、よく水気を切り2㎝の長さに切る。
② 植物油と生姜、ニンニクをフライパンに入れ熱し、良い香りがしてきたら玉ねぎを入れて炒める。透き通ってきたら、キャベツ、きのこ類を入れ、塩ひとつまみ(分量外)を加えしんなりするまで炒め、最後にニラを入れ、顆粒だし+椎茸戻し汁を入れ、野菜に吸わせるように混ぜながらひと煮立ちさせる。
③ ボウルに、炒めた野菜、春雨、おからを入れよく混ぜる。醤油、ヴィーガンオイスターソース、胡麻油、胡椒、塩少々で味をつける。
④ 餃子を包む。片栗粉を椎茸の戻し汁300㎖に溶いておく。
⑤鍋に油大さじ1を中火で熱し、餃子半量を並べる。餃子の底に薄っすら焼き色がついたら、片栗粉汁の半量を回しかけて、蓋をする。5分蒸し焼きにして蓋を取り、水分が蒸発し、金色の羽根になるまで待つ。お皿を鍋にかぶせ(外れにくそうならフライ返しを差し込み、底をはがしてから)、えいっとひっくり返す。
⑤ タレはお好みの酢醤油に、生姜辣油(本書参照)を加えてもいい。または、サッパリしたこの餃子によく合うタレを以下にご紹介。茹で餃子にもよく合う。

柚子胡椒玉ねぎだれ
<作りやすい分量>
醤油 50㎖
酢 40㎖
みりん 20㎖
胡麻油 小さじ1
玉ねぎ 80gすり下ろす
柚子胡椒 適量

全てを小鍋に入れ、沸騰したら中弱火で2分弱。玉ねぎに火が通ったら柚子胡椒をお好みで加えて出来上がり。冷蔵庫で3週間はもつ。

関連情報

Profile

室田 HAAS 万央里(ムロタ ハース マオリ)

東京生まれ。17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て2003年に渡仏。モード界で働いた後、ケータリング業に転身、料理教室や出張料理をパリで行う。現在は主にオンラインでのヴィーガン料理教室、企業へのレシピコンサルティングなどを手がける。ハム好きな4歳の娘、ほぼベジタリアンな夫と暮らしながら「みんなが喜ぶヴィーガン料理」をInstagram@maorimurotaで発信している。2019〜2021年、朝日新聞デジタル&W で「パリの外国ごはん そのあとで。」を連載。著書に“Tokyo Les recettes culte”, “Cuisine Japonaise maison” (ともにフランス、Marabout 社)がある。

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