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「ブシュロン」最高経営責任者 エレーヌ・プリ=デュケンが語るサステナブルな未来

Hélène Poulit-Duquesne / エレーヌ・プリ=デュケン

1858年に創業され、パリのヴァンドーム広場にブティックを構えた最初のハイジュエラーとして名を馳せる「ブシュロン」。160年を超えるその歴史の中で、初の女性CEOに2015年より就任しているエレーヌ・プリ=デュケン氏が3年ぶりに来日。「ブシュロン」の今、そして業界を牽引するサステナブルな取り組みについて語ってもらった。


コロナ禍にも関わらず、好調が続く宝飾業界において、「ブシュロン」の商況はいかがですか?

「ブシュロン」もこの状況下で大きく成長しています。今年の夏からは、世界の主要な市場がすべて好調で、特にヨーロッパで大きな回復が見られます。高額購入者や観光客が戻ってきたことが大きいと思います。そして日本、中東やアジアも好調です。業界全体の好調の理由としては、資産としての投資が大きいと思われます。ゴールドやダイヤモンドなどは永続性があり、資産価値があるものなので、こうした世界的な危機にも強いということが証明されました。一方で、「ブシュロン」が好調である理由は、他のブランドとは異なる独自性を打ち出したブランディングと、イメージやメッセージの発信を続けていることにあると思います。

ブランディングについて具体的に教えてください。

「ブランドとしてどういうストーリーを語るか」ということを重視しています。「ブシュロン」は、長い間大きな投資が行われず、まさに「ヴァンドーム広場の眠れる森の美女」的な存在だったと言えます。美女を目覚めさせて、また新たな人生を切り開くことが重要でした。私が入社した時に、すでにクリエイティブディレクターに就任していたクレール・ショワンヌと2人で、ブランドの進化に取り組んできました。年2回、ハイジュエリーのコレクションを発表するようにした事は、大きな成果をもたらしています。また、日本では来年、パリの本店に次ぐ規模のブティックを銀座にオープン予定で、ブランドのプレゼンスも高まっていることに加え、中国や韓国など他のアジアの地域での売上拡大にも、今後力を入れていきます。

「ブシュロン」を擁するケリング・グループは、SDGsにいち早く取り組んできたことで知られていますが、メゾンのサステナブルなアプローチもジュエリー業界をリードしていますね。

ケリング・グループからのサポートもあり、あらゆる側面からサステナビリティの活動に取り組んでいます。今年は、社会環境負荷レポート「プレシャス フォー ザ フューチャー」を発表し、環境、社会、人という3つの分野における方針を定めました。1つ目は原材料の調達。ジュエリー業界では環境に与える影響の8割がこの原材料関係が起因となっています。2つ目は事業活動における環境負荷の削減。サプライチェーン全体で取り組む必要があり、出張を減らす、使い捨てプラスチックをゼロにするといった課題に取り組んでいます。3つ目のテーマは人材。ダイバーシティとインクルージョンを重視し、上層部レベルでも研修を行い、公平性のある職場を推進しています。会社全体の7割は女性ですし、CEOもクリエイティブディレクターも女性というのは、フランスのジュエラーでは「ブシュロン」だけです。

特に原材料については、2020年に100%責任あるゴールドの調達を達成し、さらに2021年からダイヤモンドのトレーサビリティに着手していますね。

ダイヤモンドテクノロジーにおける世界的なリーディングカンパニーであるサリネ・テクノロジー社とのパートナーシップにより、今年は新作コレクション“エトワール ドゥ パリ”のローンチを機に、ダイヤモンドのトレーサビリティのソリューションを導入しました。4Cによって定義される本来の基準に加え、産地から原石、そして最終的にソリテールで石留めされるまでの工程をすべてたどることができるというシステムです。今後はすべてのコレクションにこのソリューションを広げたいと思っています。

ダイヤモンドのトレーサビリティを実現した新作コレクション“エトワール ドゥ パリ”。人工知能に基づく革新的な技術によって評価された4Cの基準に加え、産地、サイズ、研磨、セッティングに関する詳細な情報を提供。購入者は、インタラクティブなデジタルディスプレイで、購入したジュエリーの各工程を追跡することが可能に。

“エトワール ドゥ パリ”ソリテールリング[プラチナ×ダイヤモンド、センターダイヤモンド0.3ct~]¥1,042,800~(ブシュロン/ブシュロン クライアントサービス)
お問い合わせ先

ブシュロン クライアントサービス tel: 0120-230-441

関連情報

Profile

Hélène Poulit-Duquesne / エレーヌ・プリ=デュケン

「ブシュロン」最高経営責任者 フランス生まれ。エセック・ビジネススクールを卒業後、LVMHグループでキャリアをスタート。1998年にカルティエ・インターナショナルに入社し、インターナショナル・マーケティング・ディレクターなどの要職を歴任。2015年、「ブシュロン」へ入社し現職に就任。

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