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はかない鎧とともに反戦を訴える、「ユイマナカザト」2024春夏オートクチュール

「ユイマナカザト」の2024春夏オートクチュールコレクション。日本人デザイナーの中里唯馬がテーマに選んだのは「UTAKATA」だ。

今年2月にスイスのGrand Theater Geneveで上演されるオペラ「イドメネオ」の舞台衣装の制作と連動したもので、モーツァルトが1781年に作曲したギリシャ戦争下の人間模様を描いた物語にインスパイアされている。衣装デザインのために、中里は物語の舞台であるギリシャのクレタ島を訪問。5000年前の古代遺跡から出土された甲冑の美しさに目を奪われたことがコレクションの原点になったという。

戦うための装いはテクノロジーの発展とともに合理性や機能性がより進化していったが、中里は強靭な鎧ではなく、一瞬で消えてしまう泡のようにはかない鎧を表現。そうすることによって、戦いからの解放や放棄というメッセージを静かに訴えた。

コレクションは、鎧や迷彩服など男性服を再解釈したコートやドレスから始まり、ボリュームのあるケープや彫刻のようなフリル、鎧を思わせるトップスにはセラミックやガラス、陶器やプラチナ製の装飾を用いた。ボンバージャケットやトレンチコートなどの現代的な要素を加えながらも、クチュールの繊細ではかない手仕事の要素を融合させている。

ショーの最後にはダンサーのパウ・アラン・ヒメノが白の衣装で登場。ランウェイを舞いながら中央の赤い液体に身を入れ、徐々に血のように赤く染まって行くパフォーマンスで観客を圧倒した。詩的で力強いコレクションは、観る者たちに定義し難い様々な感情を与えた。

text: Keiko Suyama

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