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礼服を現代的に解釈した「ブシュロン」の新作ハイジュエリーコレクション

160年以上の歴史を持つ老舗ハイジュエラーとして知られるブシュロン。勲章、ボタン、刺繍(ししゅう)、飾緒(かざりお)など、礼服の要素にインスピレーションを得たコレクション「The Power of Couture(パワー オブ クチュール)」を発表した。

ブシュロンとオートクチュールの深い関係

パリ・ヴァンドーム広場の本店で行われた発表会では、クリエイティブ・ディレクターであるクレール・ショワンヌさんが直接作品を紹介した。創業者フレデリック・ブシュロンは、織物商の家庭で生まれ育ったバックグラウンドを持つ。「私たちのアーカイブには、シルクやレースなどオートクチュールのアイデアを取り入れたジュエリー作品が数多く存在します。もともと、ブシュロンとオートクチュールは深い関係にあったのです」とクレールさん。彼女が今回のコレクションのテーマに選んだのは、王侯貴族たちがセレモニーでまとった礼服。一見堅苦しく映るコスチュームでありながら、その細部に目を向けると、繊細で洗練された装飾が存在する。「このコレクションでは、礼服とその装飾モチーフを解体、再構築することによって、新たなスタイルを提案しました。装いに合わせて自在に形を変え、何通りもの方法で身に付けることができる、自由なクリエイションです」と、喜びに満ちた表情でクレールさんは話した。モデルがジュエリーの着用方法を変えながら順に登場し、我々を驚かせた。

パリ・ヴァンドーム広場の本店で行われた発表会にて。和やかな雰囲気の中、新作ハイジュエリーを身に付けたモデルが順に登場した

制作のアプローチとして特筆すべきは、透明とホワイトの素材のみを採用し、モノトーンカラーで統一感を出していること。ダイヤモンド、ロッククリスタル、ホワイトゴールドを巧みに使っている。いずれも硬質な素材でありながら、オートクチュールのテキスタイルのような柔らかさが表現されている。

何通りもの着用方法を選べるアイテムの数々

左のモデルが着用しているネックレスは、胸元に着用する勲章を環状に15個連結させて制作したもの。そのうち二つは取り外して、ブローチとして付けることができる。2230時間もの制作期間を要したという。左のモデルがヘアアクセサリーとして、右のモデルがブローチとしてそれぞれ身に付けているシダの葉のデザインの作品は、礼服のジャケットの刺繍による装飾に着想を得ている。礼服に用いられる組み紐(ひも)の装飾である飾緒をクレール氏ならではの視点で捉えたネックレスは、写真のようにブローチとして使うこともできるほか、モチーフを取り外すとイヤリングにも形を変える。右のモデルがブレスレットとして着用している作品は、肩幅を強調する装飾品である肩章を再解釈したもの。ティアラにヒントを得て、肩章にエレガントな要素を追加。ダイヤモンドをらせん状に敷き詰め、繊細なハイジュエリー作品に昇華させた。

クチュールに欠かせないデザイン要素であるリボンをモチーフにした作品は、ロッククリスタル435個とダイヤモンドを組み合わせて作られ、しなやかなテキスタイルのような風合いだ。ロッククリスタルは職人が一つ一つ艶(つや)消し加工を施し、ホワイトゴールドのフレームにはめ込んでいる。リボンの一部をブローチや肩飾りなどとしても使用できる。ダイヤモンドとロッククリスタルで作られたボタンは、ヘアジュエリーとして身に付けられるほか、ボタンホールやネクタイに留めてスタイルにアクセントを加えるなど、無数のアレンジを楽しめそうだ。

リボンモチーフのネックレスを肩飾りに使い、ボタンを首元にあしらったスタイル

編み込み模様をロッククリスタルで再現したネックレス。ロッククリスタルに特殊加工を施してマットな質感に仕上げ、合金ワイヤーでつないだ。まるでニット生地で仕立てられた柔らかい編み地のようなビジュアルに仕上げられている。硬質な素材であるゴールドやストーンで、オートクチュールのようなテキスタイルの柔らかさを見事に表現した。

ハイジュエリーの既成概念にとらわれないクレール氏の自由で挑戦的なアプローチと、そのアイデアを支える職人技が表れていた。

photo: ©Boucheron
text: Shunya Namba @Paris Office

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