「ディーゼル」CD、グレン・マーティンスが贈る“ポジティブメッセージ”
2023.6.6
2023.6.6
毎シーズンのコレクションを通して発表するメッセージにも大きな責任が付随するというグレンが、2023-24年のコレクションでテーマに掲げたのが“セックス・ポジティブ”だ。今年2月にミラノでお披露目されたランウェイショーでは、会場にコンドームの箱で作った大きな山が! その周りを最新作に身を包んだモデルたちが颯爽(さっそう)と歩いた。今季は、世界で一番売れているコンドームブランド、デュレックスとコラボレーションし、カプセルコレクションも発表して話題に。
「遊ぶことにも真剣に取り組むブランドだからこそ、互いを尊重したセーフセックスを啓蒙(けいもう)していきたい。今、再び、HIVの患者数は増えているんだ。若い世代にも自らの身を守ること、そしてコンドームの重要性を認識してほしい」。
最新作でも「ディーゼル」が得意なデニムはもちろん、職人技を駆使したクラフト感溢れるハイエンドなピースも披露。「ストリート感のあるカジュアルスタイルも『ディーゼル』らしい。でもショーでは、商業ベースには乗らなくてもハンドクラフトを活かしたクチュールテイストの作品があってもいいと思う」
「ディーゼル」とは、最新ファッションを提案する役割以外も担っていると彼は語る。
「ライフスタイルからメンタリティまで、広い視野でメッセージを発信している。『ディーゼル』とは、生きるアティチュードそのものなんだ。未来を作るクリエイティブな人々から、最先端のファッションを望む人たち、さらには日々の暮らしに『ディーゼル』のカジュアルウェアを取り入れてくれる世界中の多くの人たちまで、とても幅広い層にアプローチするのがこのブランドの魅力だと思う。
僕は、この仕事についてから、本当に色々なタイプの人たちと話をするようになった。多彩なセクシャリティ、さまざまな宗教の人、お金持ちやそうじゃない人、流行に敏感な人から、ファミリー層まで、本当にたくさんの人たち。僕はこの状況をとても幸せに思っているし、ディーゼルらしいレイヤードのあるクリエイションにつながっていると思うよ。これからもデニム、ユーティリティ、ポップ、そしてアルチザンという4つの要素を柱に、着ることで人生が楽しくなるようなコレクションを皆さんに届けることができたらいいね」
「ディーゼル」以外にもパリのブランド「Y/プロジェクト」のクリエイティブ・ディレクターも務めているグレンは多忙を極めている。
「でも、すべての仕事を楽しんでいるし、堪え性のない僕にはぴったりなんだ。歴史を学ぶことも大好きだし、好奇心旺盛なタイプだから、ベルリンのクラブに15時間いることもあるし、ヴァチカンの美術館に10時間滞在することもある。時には、スコットランドの自然の中でハイキングをして、テントで眠る。日本に行ったら、美味しいものを食べて、老舗旅館で寛ぐなどなど。僕は何でも体験してみたいタイプ。僕以外の『ディーゼル』のスタッフたちも同じで、人生を仕事だけに費やしてはいない。そんな我が道を行く僕たちが発信するポジティブなメッセージをこれからも多くの人に伝えていきたいと思っているよ」
text: Tomoko Kawakami、edit: Miyuki Kikuchi
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DIESEL RUNWAY COLLECTION : https://www.diesel.co.jp/ja/fashion-show/fw23/
グレン・マーティンス /「ディーゼル」クリエイティブ・ディレクター
1983年生まれ、ベルギー出身。
キャリアをジャン=ポール・ゴルチエでスタートさせ、2013年よりパリのブランド「Y/Project」の クリエイティブ・ディレクターを務める。
2017年、OTBがサポーターの一員でもあるANDAM賞を獲得。
2018年には「ディーゼル」の実験的カプセルコレクション「DIESEL RED TAG」のゲストデザイナーとしてコラボレーションを手掛ける。
2020年10月より「ディーゼル」のクリエイティブ・ディレクターとして、ブランドのスタイル、コミュニケーション、インテリアデザインなど幅広いクリエイティブを統括。
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