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ボディーと服の関係を緩やかなフォルムで提案。シンプルでエレガントなディオール【2023年秋冬コレクション】

オートクチュールやパリ、ミラノコレクションの取材を続けているファッション・ディレクターの萩原輝美さんによる最新コレクションリポート。今回は、1950年代を再解釈し、カトリーヌ・ディオール、エディット・ピアフ、ジュリエット・グレコという3人の女性たちに焦点を当てることでフレンチスタイルをさらに掘り下げた「ディオール」について。

「ディオール」は、チュイルリー公園に特設テントを設置して、コレクションを発表しました。会場には薄暗いブルーの照明に照らされたジョアナ・ヴァスコンセロスによる巨大なオブジェが置かれています。その作品は、今回のコレクションで使われた残布やレース、刺しゅうを接いで作られたそうです。

白シャツに黒のタイトスカート、ソックスにストラップパンプスというシンプルなスタイルでスタートしました。50年代メイクとロング手袋がエレガントな大人らしさを演出しています。

ウエストを絞ったプリーツスカートのドレスは「ディオール」らしいアイテムですが、今シーズンはキャップスリーブが特徴で、優しさを加えています。ムッシュ・デイオール時代からのアイコン、千鳥格子のジャケットのウエストシェイプは緩やかになり、全体にシワ加工した生地が優しいフォルムを作ります。キルティングのブルゾンを重ねるレイヤード提案が新鮮です。クリエイティブ・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリが探るボディーと服との関係は、緩やかなシルエットで表現されています。

インナーには黒いブラトップ、アクセントにはネクタイを使うなど、フェミニンとマスキュリンのコントラストを加えています。リアルに着ることができるニットが多く登場し、レオパードやチェックなどモヘアのアンサンブルニットがコーディネートの幅を広げます。

メタリックを施した大胆なぼかしプリントのドレスや、全面に黒のビーズを刺しゅうしたドレスは、ブランドのクチュール技が光ります。ブラックからグレー、グリーン、ブルーとグラデーションの色彩が美しいコレクションでした。

text: Terumi Hagiwara

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