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【藤井聡太三冠が竜王奪取で最年少四冠!】盤上ゲームの若き天才を描いた名作3選【2】

11月13日、将棋の竜王戦7番勝負で、藤井聡太三冠が四連勝しタイトル奪取。最年少四冠を達成した。将棋界で史上初の10代四冠が誕生したいま、究極の頭脳戦である盤上ゲームに人生を賭ける人々を描いた作品を紹介しています。2作目は韓国で大ヒットした囲碁がキーワードのドラマです

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『ミセン』~プロ棋士への道を絶たれた青年のその後をイム・シワンが好演

将棋も囲碁も、プロ棋士への道は激烈に険しい。日本では、将棋なら21歳までに初段、26歳までに四段になれなければプロの道は絶たれてしまう。囲碁なら養成機関の院生が17歳まで、外来志願者も22歳までに合格しなければならない。年齢制限が設けられているのは韓国も同じ。囲碁組織である韓国棋院の研究生でいられるのは10代後半までで、プロに昇格できるのは選りすぐりの院生約160名のうち毎年上位4名程度という厳しさだ。

プロになれないのは、もちろん才能の限界によるところが大きい。しかし、どんなに才能があってもプロになれるほど腕を磨くには、修業に専念できる環境が必要である。

『ミセン』の主人公チャン・グレは、環境に恵まれなかったため夢を諦めた青年だ。7歳で囲碁を始めてわずか1年後に韓国棋院の研究生となり、小学生にしてプロに勝ち、同期で最初のプロになるだろうと将来を嘱望されていた。しかし、家が貧しかったためアルバイトに時間を割かれるうち低迷し、さらに父親の死が追い討ちとなり、棋士の道を断念した過去を持つ。

チャン・グレを演じるイム・シワン (C)STUDIO DRAGON CORPORATION

26歳になってもアルバイト生活を続けていたグレは、ある人の口利きで大手総合商社のインターンになる。しかし、会社員経験がないため電話の応対もコピー機の使い方もわからない。課長からデータファイルの分類を命じられ、これは棋譜を整理してきた経験を活かせると自信を持ってやったものの、独りよがりだと否定されてしまう。誰からも“すぐにいなくなるヤツ”と思われていたグレだったが、社員採用を決める発表会で機転をきかせたプレゼンを行ったことで、2年間の契約社員として採用される。

職場の先輩キム代理(キム・デミョン 写真右)に仕事を教わりながら必死に働くチャン・グレ

会社は出世競争と派閥争いとあらゆるハラスメントのるつぼ。そんな中で学歴も職歴も特技もないグレが悪戦苦闘しながらもひたむきに仕事に取り組み成長していく姿は瑞々しい。囲碁で培った洞察力と勝負師としての勘が、仕事を理解するにつれて有効に活用できるようになる過程には胸が熱くなる。

共感できるのはグレに対してだけではない。「ハラスメント」なんて甘っちょろい言葉で片付けられないレベルの女性蔑視がはびこる部署で苦悩する女性。自己評価と与えられる仕事とのギャップに不満を募らせるエリート。功績は奪いミスはなすりつけてくるクズ上司に抑えつけられ絶望する若手。仕事はできるが社内政治に馴染めないため出世できない中間管理職。仕事と家庭の両立に悩むアラフォー女性——。このドラマには、誰もが自分を投影したくなる登場人物がてんこ盛りなのだ。原作のWEBコミックが韓国サラリーマンのバイブルと称され、ドラマが2014年の韓国コンテンツパワー指数ランキングの2位に輝いたのも納得である。

オ次長(イ・ソンミン 左から4人目 後方)のセリフでタイトルの「ミセン」の意味が明らかに。ぜひ作品内で確かめて! (C)STUDIO DRAGON CORPORATION

最初のうちはオドオドしていたのに、経験を積むにつれて少しずつ自信をもっていくグレを丁寧に演じるのは、アイドルグループZE:Aのメンバーとして人気を集め、俳優としても数々のヒット作に出演しているイム・シワン。キュン♡とさせられるイケメンなのに、『パラサイト 半地下の家族』(監督:ポン・ジュノ)でロサンゼルス映画批評家協会賞の助演男優賞を受賞したソン・ガンホをして「素晴らしい素質をもった俳優」と言わしめた演技力は必見だ。ラストのグレは「惚れてまうやろーっ!」の一語に尽きる。

『ミセン-未生-』DVD-BOX1&2発売中 各13,750円 発売・販売元:エスピーオー (C)STUDIO DRAGON CORPORATION 

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Profile

香月友里

かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る

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