『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のナタリー・ポートマン© 2016 Jackie Productions Limited
いよいよ10月31日の衆院選の投票日に向け、選挙戦がスタートした。コロナ禍が長引くなか、政治に関心を持つようになった人も少なくないのでは? そこで、選挙を前にぜひおすすめしたい、政界に生きる女性たちを描いた映像作品をご紹介!
2作目の「『レボリューション—米国議会に挑んだ女性たち—』に続き紹介するのは、政治家ではないが政治家以上に注目を集めた“史上最も有名なファーストレディ”の物語だ。
今の時代、政治の世界で女性が活躍する方法は多種多様。大統領選にだって立候補できるし、大統領を動かす参謀にもなれる。しかし半世紀以上遡ってみれば、女性が政治の中枢で存在感を示すなんてほぼ不可能だった。ただひとり、大統領夫人を除いては。
『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』は、1960年代初頭、自身は政治とは無縁だが大統領夫人としてその名を知らしめた女性が主人公。史上最も有名なファーストレディといわれ、当時はファッションアイコンとしても人気を誇った“ジャッキー”ことジャクリーン・ケネディの、夫の死から葬儀までの4日間に焦点を当てている。
1963年、米国テキサス州ダラスでジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された。夫の亡骸とともにワシントンへ戻る飛行機の中で、ジャッキーは夫の血も拭いきれないまま後継者ジョンソンの大統領就任宣誓に立ち会わされ、帰り着いたホワイトハウスでは、早くも新大統領を迎える空気が漂い始めていた。
このまま夫が過去の人として忘れ去られていくことが許せないジャッキーは、墓地や葬儀の演出方法にこだわり、ケネディ家や閣僚との衝突も恐れず主張を貫いた。それは、夫の名前と功績を印象づけて後世に語り継がれるようにするための尽力だったのか。それとも、突然奪われた輝かしい栄光の日々への未練がそうさせたのか。おそらくジャッキー自身にもわからないに違いない。ホワイトハウスを去る日を間近に控えた彼女が、クローゼットにズラリと並んだ高価な服や宝石を取っ替え引っ替え身につけて彷徨い歩くシーンは怖くて哀しい。
主演のナタリー・ポートマンは、喪失感と虚栄心と将来の不安で揺れ動くジャッキーを熱演。そして、注目すべきは彼女のファッションである。アカデミー賞衣裳デザイン賞にノミネートされた衣裳の数々は、当時のジャッキー本人の服を完全再現している。仕立てのよいスーツやドレスはどれもコンサバで可憐で、60年代セレブ社会の妻らしくもあり、その後経済的庇護と身の安全を確保するため海運王オナシスと再婚した彼女の人生観を表しているようにも見える。

【1作目はこちら】ラストまで一瞬たりとも目が離せない! 『女神の見えざる手』
香月友里
かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る
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