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右も左も敵だらけ! ? 選挙前に見たい 政界に足を踏み入れた女性のドラマ3選 【1】

「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステイン© 2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA

いよいよ10月31日の衆院選の投票日に向け、選挙戦がスタートした。コロナ禍が長引くなか、政治に関心を持つようになった人も少なくないのでは? そこで、選挙を前にぜひおすすめしたい、政界に生きる女性たちを描いた映像作品をご紹介!

10月31日に投開票が行われる衆議院選挙。じつは、女性の進出がもっとも遅れているのが政治の分野で、今年3月に発表された「ジェンダーギャップ指数2021」で、調査の対象となった世界156ヵ国中、日本は147 位という体たらくなのだ。その数字を裏付けるかのように、今回の選挙の立候補者に占める女性の割合は2割に満たない。

そんな日本の現状を踏まえて、今回ご紹介するのは女性が主人公の政治ドラマ。時代もシチュエーションもさまざまだが、3作とも舞台はアメリカである。ちなみにさきほどのジェンダーギャップ指数・政治分野で、アメリカは37位にランクされている。そんなアメリカの政界に生きる女性たちの姿は、あなたの目にどう映るだろうか。

ラストまで一瞬たりとも目が離せない! 『女神の見えざる手』(2016年)

国内外の企業や団体から依頼を受け、依頼主の利益となる政治的決定を導き出すために、議員や官僚などに働きかけるロビイスト。『女神の見えざる手』の主人公エリザベスは、アメリカ随一の大手ロビー会社に勤める敏腕ロビイストである。

ある日、エリザベスは銃擁護派のクライアントから銃規制強化法案を廃案に持ち込むよう依頼を受けるが拒否。さらに、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社からの誘いを受け、部下を引き連れて移籍してしまう。そして、古巣との熾烈な戦いへと突入していくのだ。

銃擁護派が巨大な金と力で議会をコントロールしている以上、法案を通すのはまず無理だと誰もが諦めている中、エリザベスは緻密かつ攻撃的な戦略を駆使して形勢を逆転させていく。しかし、味方をも道具のように利用する彼女の“奇策”が思いもよらない事件を誘発。さらに、敵陣営がエリザベスを潰すべく過去の不正を暴き、窮地に追い込まれていく──。

二転三転する物語がハイスピードで展開し、一瞬たりとも飽きさせない。政界裏工作がテーマの映画って難しそう、という先入観を裏切ってあまりある面白さだ。随所に伏線が張られていて、それがすべて回収されるどんでん返しのラストはお見事。最後まで観終わった後、どこに伏線が潜んでいたかを見つけるためにもう一度観るのも一興かも。

もう一つの見どころはエリザベスのファッションだ。演じるジェシカ・チャステインはハリウッドのファッショニスタとしても知られ、本作でもサンローランはじめハイブランドの衣裳を颯爽と着こなし、真っ赤なルージュも相まって「戦闘的なキャリアウーマン」を体現している。

モラルから逸脱してまで勝つことに執着するエリザベス。彼女をあそこまで突き動かすのは何なのか。考えさせられる作品だ。

『女神の見えざる手』Blu-ray&DVD 2018/4/3 発売 Blu-ray:5,280円 DVD:4,290円 発売元:キノフィルムズ/木下グループ 販売元:ハピネット・メディアマーケティング/
Amazon Prime Videoで配信中 © 2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA

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Profile

香月友里

かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る

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