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【アカデミー賞2026】歴史的な瞬間や心揺さぶるスピーチを振り返る

Jeff Kravitz / Getty Images

2026年3月15日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された第98回アカデミー賞授賞式(通称オスカー)。ハリウッドスターをはじめ映画界の関係者が一堂に会したこの華やかな式典では、受賞者たちによる心揺さぶるスピーチの数々も注目を集めた。マリ・クレール インターナショナルのメキシコ版デジタル記事よりお届け。

映画界にとって最も重要な夜、ドレスやカメラ、金色のオスカー像だけが輝いていたわけではなかった。第98回アカデミー賞授賞式では、言葉もまた舞台の中心を占めた。

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感動的な謝辞や思いがけず深いメッセージが入り混じるなか、いくつかのスピーチは芸術、記憶、そして私たちが生きる世界についての力強い声明となっていた。戦争の終結を訴える呼びかけから、家族や未来についての個人的な告白まで、この祝典は単なる映画の祭典にとどまらない瞬間を残した。

芸術の力について語ったスピーチとは?

2026年アカデミー賞で最も話題になった瞬間の一つは、短編実写映画賞のカテゴリーで起こった(ディストピア映画『Two People Exchanging Saliva(原題)』とミュージカルコメディ『歌うたい』の2作品が同時受賞という、アカデミー賞史上13年ぶりのサプライズもあった)。

(ナタリー・ムステアタ監督とともに)『Two People Exchanging Saliva』の共同監督を務めたアレクサンドル・シン監督は同賞の受賞スピーチで、芸術が社会に与え得る深い影響についての考察を述べた。

退場の音楽が流れ始めていたにもかかわらず、彼は自身の考えを最後まで述べることにこだわり、映画はそれを作る人々が変化をもたらす力があると信じているからこそ存在すると語った。シン監督によれば、芸術は人の魂を変えることができ(たとえその変化に何年もかかっても)、その確信こそが映画制作を続ける原動力なのだ。

ポール・トーマス・アンダーソン監督は受賞スピーチで何を語ったのか?

米ポール・トーマス・アンダーソン監督が『ワン・バトル・アフター・アナザー』で脚色賞(監督賞、作品賞など、最多6部門を受賞)を受賞した際のスピーチは、この夜、最も個人的な場面のひとつとなった。

アンダーソン監督は壇上で、この物語に20年以上取り組んできたと説明し、この賞を自分の子どもたちにささげた。感情と内省が入り混じるなか、彼はこの映画を、今の世代が未来の世代に残す世界に対する、ある種の謝罪として書いたと告白したが、同時に若者たちがより意識的で、まともで、常識ある未来を築くことができるという希望も表明した。

銃暴力についてどのようなメッセージが語られたか?

最も感動的な瞬間の一つは、短編ドキュメンタリー賞のカテゴリーにおいて、米ジョシュア・セフテル監督が『あなたが帰ってこない部屋』で受賞した際に起こった。この作品は、アメリカの学校での銃乱射事件で亡くなった、学生たちの残された部屋を描いたドキュメンタリーである。

セフテル監督は自らがスピーチの主役になる代わりに、マイクをジャッキーの母親に譲った。ジャッキーとはこれらの事件の一つで命を落とした9歳の少女である。深く感情的なメッセージのなかで、彼女は銃による暴力が子どもや若者の主要な死因になっていると指摘し、もし世界があの空(から)になった部屋(突然断たれた命の後に残された空間)を目にしていれば、アメリカはおそらく今とは違っているはずだと語った。

どのような反戦への呼びかけがあったのか?

反戦メッセージもまた、ステージ上で重要な位置を占めていた。『Mr. Nobody Against Putin』(2026年秋、日本公開決定)で長編ドキュメンタリー賞を受賞した際、ロシア人教師であり、作品の主人公でもあるパヴェル・タランキンは、武力衝突が日常生活をどのように変えてしまうかについての考察を語った。

彼は、多くの場所で人々はもはや星を探したり、願い事をしたりするために空を見上げるのではなく、見上げれば、ドローンや爆弾が見えるのだと説明した。彼のスピーチは、未来とすべての子どもたちのために戦争を止めるべきだという、世界に向けた直接的な訴えで締めくくられた。

その数分前、(国際長編映画賞のプレゼンターとしてステージに立った)俳優ハビエル・バルデムも、「戦争にNOを」という力強い言葉でスピーチを始めることで、この問題にふれた。

なぜオータム・デュラルドのオスカー獲得は2026年の歴史的な瞬間となったのか?

米撮影監督オータム・デュラルドの受賞は2026年アカデミー賞において歴史的な瞬間となった。なぜなら、彼女は『罪人たち』での仕事により、撮影賞を受賞した初の女性となったからだ。彼女の勝利は、何十年にもわたり男性に支配されてきたカテゴリーにおける大きな節目となった。

ステージに上がると、彼女はこの機会に業界の他の女性たちの支えに感謝し、会場にいるすべての女性に立ち上がるよう呼びかけ、自身の功績は彼女たちのものでもあると強調した。こうしてオータムのスピーチは、業界の女性たちへの称賛を示すと同時に、映画業界が変わりつつあることを印象づけるものともなった。

EJAE(イジェ)は歌曲賞を受賞した際、K-POPについて何を語ったのか?

Netflixのアニメ映画『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』の主題歌「Golden」でアカデミー歌曲賞を受賞した際、韓国系アメリカ人アーティストのイジェ(劇中のグループ、ハントリックスのメンバー、ルミの歌唱と主要楽曲の作曲を担当)はK-POPとの関係について、誇りと感動に満ちたスピーチを行った。

イジェは幼少期、この音楽ジャンルを聴いていることで多くの人にからかわれていたと振り返った。当時、K-POPは世界的にはそれほど人気ではなかった。だからこそ、いまや世界中のファンが受賞曲を歌っているのを見ると、そういう瞬間はほとんど現実とは思えないと明かした。イジェにとってこの賞は単に芸術としての功績ではなく、K-POPを愛して育った人々を正当に評価するものでもある。彼女はこの栄誉が成功以上に、忍耐とあきらめない強さを意味するものだと述べた。

芸術についての考察、反戦メッセージ、共感への呼びかけ、そして業界にとっての歴史的な瞬間など、さまざまな要素が盛り込まれたこの式典は、言葉もまた主役になり得ることを明確に示した。

※(  )内編集部注

translation & adaptation: Akiko Eguchi

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