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【大阪・関西万博】夜景&美味ビールNo.1のチェコ館。ミャクミャクのお友達も

閉幕まで残りわずかの大阪・関西万博。かけこみでも、リベンジでの再訪でも、思い残しがないように会場内のさまざまなNo.1をご紹介。

ライトアップされた建築物の美しさが際立つ万博の夜。水上ショーやドローンショーなども開催され、盛り上がりを見せる。その最高の特等席との呼び声が高いのがチェコ館だ。館内も見どころ満載のパビリオンの魅力に迫る。

次世代の技術で建てられたパビリオン

らせん状の建物が目を引くチェコ館。現代の技術と伝統的な技術が融合したものとして、専門家たちも注目している。それは最新のCLTを用いた大きな建築物だから。

CLTとはCross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、素材はラミネと呼ばれる木材を使用した工法だ。ラミネは木材を重ねた板のことだが、重ねる際に各層の繊維が縦横交互になるように重ねているのが特徴。軽量なうえに免震性も期待でき、木材の有効活用やCO2排出量の削減にもつながるサステナブルな工法のため、未来をテーマにした万博には最適な工法ともいえる。

さらに外観にはチェコを代表する芸術であるボヘミアン・クリスタルが用いられているため、昼は光を受けて輝き、夜は内側のライトによって全体がランプのように明るく浮かび上がる。

会場内で唯一、地元の材料と職人でパビリオンを完成させたという点も話題に。材料も85パーセントはチェコから輸入し、3か月で完成。CLTの利点の一つである、短い工期で建てられるという利点を実証した。

実はこの建築デザインは、1970年に同じく大阪で開催された万博で日本の主催者側から建築賞を受賞したチェコスロバキアパビリオンへ敬意を表しているものでもある。

らせんを巡るアートギャラリー

木材とボヘミアン・クリスタルのらせん構造が表現したのは、「生命のエネルギーと成長」。らせんの回廊を4階までゆるやかに上がってきながら、アートインスタレーションを体験する仕組みになっている。

この回廊は260メートルの長さがある。外観だけ見るとコンパクトに見えるが、回廊の壁に描かれたアートを一つ一つ読み解きながら進んでいくと大規模な美術館を訪れたような充実感がある。このドローイングとペインティングを手がけたのは、チェコで人気の若手アーティストであるヤクブ・マトゥシュカ氏。通称Masker(マスケル)で知られている。建物が完成した後、来日して3週間かけて描き上げた。

もともとストリートアーティストだった彼が、世界に向けてさまざまな手法で描き出した芸術的なグラフィティ。意味のない会議や電話が多い世界、社会的混乱・渋滞、山火事などの風刺的物語と、次の世代へ希望を託す意味を込めた物語が融合している。

2023年のWBCで、野球選手の大谷翔平選手がチェコ代表に三振を取られたエピソードもある。チェコの野球団はアマチュア選手の集合で、三振を取ったピッチャーは電気技師。それでも世界的に有名な選手を封じ込めた快挙をたたえた、「やりたいと願えば、なんでも成し遂げることができる」というメッセージになっている。

これらのアートには解説が一切ない。鑑賞する側にじっくりと考えてほしいという思いが込められているからだ。多くの哲学者を輩出し、フランツ・カフカのような不条理文学の作家を生み出した国らしい。人により感じ方も異なる。同じ作品を鑑賞しながら、一緒に出かけた人と意見を交わすのもまた楽しい。作品の意図を知りたい場合には近くにあるQRコードを読みこめばいい。

ところどころに小さなボールが登場するが、これは次世代へ渡す“知識のボール”。作家が未来へ渡したい知識とは何だろう? そう思いながら意識して探してみてほしい。

ガラスのアート

ボヘミアン・ガラスで有名なだけあり、ガラスのアートインスタレーションが多く館内を彩る。

まず会場入り口で迎えてくれるのが、スタジオSINのロニー・プレスルによるガラスの彫刻。スタジオSINの秘伝の製法である「VITRUM VIVUM(生きているガラスの意味)」を駆使した、単一のガラスの塊から作られた大きな樹木のオブジェで、750キログラムあるそうだ。本物の樹木を使って表現された樹皮はリアル。

ウランガラス発祥の地であることから、ウランガラスのオブジェも見られる。UVライトの下で黄緑色に輝く様子は幻想的だ。安全性は確保されているとのことなので、安心して鑑賞できる。

1970年の大阪万博にも出品されたチェコ出身のガラス作家、レネー・ロウビーチェクの作品も展示されている。「雲・水、生命の源」という作品で、1960年代後半にチェコで盛り上がった「プラハの春」という民主化運動の流れで自由を表現しているそうだ。

彼は今回の万博のために一つのガラス作品を作り出した。“ミャクミャクのお友達”としても人気を博す、“キモカワイイ”パビリオンのマスコット、レネちゃんになっている。この作品により、レネは二つの大阪万博で作品を展示された唯一のアーティストになった。

他にもユニークだったのは3Dプリンターの実演。「プルーシャ」と呼ばれる会社のプリンターを使用しているのだが、チェコでは各家庭に1台は3Dプリンターがあるほど普及しているという。おもちゃやフィギュア、キッチンツールなどを作って楽しんでいるという。

夜景の特等席、展望デッキ

4階まで上がると展望デッキがあり、目の前に水上ショーの舞台が開ける。ライトアップされた各国のパビリオンも美しく輝き、思わずため息がもれる。

大屋根リングからの夜景も美しいが、水上ショーをこれだけ間近に見られる場所はほかにない。定員があるのでタイミングが合えばという条件つきにはなるが、ここから眺めるショーで一日を締めくくれれば大満足の万博旅になることは間違いない。

ジャズコンサートが行われる日もあるので、チェコパビリオンの公式SNSをチェックしてみては。

本場のチェコビールを堪能

展望デッキのあとは、ぜひ1階にあるレストランへ寄ってみてほしい。

ユニークなのは、レストランへ下りていく途中のらせんの階段がオーディトリウムの観客席として機能していること。週末にはバレエやクラシックコンサートなどが開催されている。会場は音響のよさで評判だ。

そしてレストランへ。パビリオンを通らずに外から直接レストランに入ることもできる。

普段、ビール派ではない人も、ここはぜひビールを頼んでほしい。種類はピルスナーウルケル1種だが、現地の習慣に合わせて注ぎ方が3種類から選べる。違いは泡の量。泡が多い順に「ミルコ(右)」「シュニット」「ハラディンカ(左)」となる。伝統的な注ぎ方はハラディンカで、濃厚でクリーミーな泡がベルベッドのような口当たりと洗練された苦味を生み出している。シュニットはスモールサイズのチェコビールを大きなグラスに注ぎ、泡を多めにしたもの。クリーミーさとビールの苦味のバランス的には、これが日本人の好みに一番合うかもしれない。ミルコは驚くほど甘い、濃厚で純粋なビールの泡が入ったもので、食後に飲むことが多いそうだ。

ビールと合わせていただきたいのは、ダンプリングと呼ばれるジャガイモをマッシュしたものに詰め物をしたお団子のような料理。肉や野菜、鴨(かも)のローストなどさまざまある。写真は燻製(くんせい)ポークを詰めたブランボロヴェ・クネドリーキだ。もっちりしたジャガイモの食感と肉汁たっぷりのポーク。ほどよくスモーキーな香りがソースと合っている。ビールの爽やかな泡を楽しみながら食べるのがおすすめだ。

デザートには伝統的な「デュカ バンズ」を。いわゆるハニーケーキで、ミルコやワインなどとも相性がよい。

レネちゃんをイメージしたグリーンのカクテルも話のネタになる。レストランにはお土産コーナーもあるので、もしレネちゃんグッズを見つけることができたら、思い出に持ち帰ってはいかがだろうか。

photo: Tomoko Hagimoto text: Rica Ogura

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