原田マハさんが案内するアートを巡る旅

アートを題材にした小説を数多く手がけ、キュレーターとしての経歴も持つ原田マハさんが、この秋に訪れたい地方のアートスポットを紹介。地域の風景や文化と調和したアートや、個性あふれる美術館のストーリー、そして近隣の温泉やレジャーも楽しんで、実り豊かな秋の旅に。

アートを題材にした小説を数多く手がけ、キュレーターとしての経歴も持つ原田マハさんが、この秋に訪れたい地方のアートスポットを紹介。地域の風景や文化と調和したアートや、個性あふれる美術館のストーリー、そして近隣の温泉やレジャーも楽しんで、実り豊かな秋の旅に。
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北海道の静かな林で個人美術館を訪ね歩く
原田さんが、「疲れた時にふと思い浮かべるだけで心が和む」と語るのが、北海道は帯広近郊にある六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村。敷地面積はおよそ145,000平方メートルと広大で、静かな林の中に美術館やレストランが点在する。
「緑豊かな敷地内を散策しながら個人美術館を訪ね歩く、面白いつくりのアートスポットです。ドイツにあるインゼル・ホンブロイヒ美術館に似ていますね。そこはとても印象的な美術館で、広い草原のような場所にギャラリーが点々とあって、3時間くらいかけてゆっくり観て回るのです」

中札内美術村には、日本画家の小泉淳作美術館、洋画家の百瀬智宏美術館、イラストレーターの安西水丸作品館など、多様な個人美術館がある。
「北海道に縁のある画家や個性的なアーティストの美術館で、観るとぐっと胸に迫るものがあります。たとえば相原求一朗美術館は、かつて銭湯として使われていた歴史的な建物を活用していて、北海道の自然を描いた作品が展示されている。それから、二十歳の自画像を募集する『二十歳の輪郭』という公募展を開催していて、北の大地美術館と名付けられた館で全国から集まった作品を鑑賞できます」

六花亭が運営する施設だけあって、食も魅力的だ。
「レストランの『ポロシリ』は地元の食材を使った家庭料理で、とてもおいしいです。私は子どもの頃から六花亭の詩情あふれるお菓子が大好きなんですが、帯広は六花亭の発祥の地で本店もありますから、あわせて訪ねるのもいいですね」
六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村
住所:北海道河西郡中札内村栄東5線
開館期間:10月27日までの金~日曜日、祝日の10:00~16:00、レストランは土日祝日の11:00~15:00(LO14:30)
入館料:無料(任意による寄付制)
温泉やレジャーも満喫する建築とアートの旅へ
群馬県渋川市にある原美術館ARCは、建築家・磯崎新による設計だ。原田さんは、同じく磯崎建築の群馬県立近代美術館とあわせて車で周遊する、建築とアートの旅を提案する。

「原美術館ARCは、2021年に閉館した原美術館(東京・品川)と別館ハラ ミュージアム アークを統合した美術館です。原美術館は現代アートに特化した美術館として日本では先駆け的な存在で、私も足繁く通いました。邸宅を美術館として再生したモダニズム建築もコレクションも素晴らしかった。そのスピリットが、この原美術館ARCに残されています。明治の実業家である原六郎が集めた古美術のコレクションが現代アートと合わせて展示されることもあり、そういった展示の妙を楽しめるのも魅力ですね」
3つの展示室のほか、書院造をモチーフにした和風の特別展示室「觀海庵」もあり、趣の異なる空間や屋外で、内外の現代アーティストの作品を観ることができる。また、緑あふれる伊香保グリーン牧場に隣接し、ファミリーで出かけるにも最適だそう。

「美しい自然の中で現代アートに触れられる美術館です。芝生の庭は駆けっこができるくらいの広さ。近くの伊香保温泉で1泊し、翌日は牧場でソフトクリームを食べて美術館に行くのがおすすめのコースです。牧場ではバーベキューもできます。心地よい環境で、気持ちをオープンにできることでしょう」
原美術館ARC
住所:群馬県渋川市金井 2855-1
開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
休み:木曜日(祝日と8月を除く)、展示替え期間、1月1日、冬季
問い合わせ:0279-24-6585
入館料:前売りオンラインチケット1,500円、当日券1,800円(ともに一般)
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©︎marie claire/text: Saya Tsukahara
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