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ユアン・マクレガーと実娘クララがW主演! 映画『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』クララと監督にインタビュー

『スター・ウォーズEP1〜3』や『ビッグ・フィッシュ』などハリウッドの第一線で活躍するユアン・マクレガーと実の娘で俳優・プロデューサーのクララ・マクレガーがダブル主演する映画『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』が7月5日に公開された。2023年のサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で上映され注目を集めた本作は、その誕生秘話からあまりにも美しく胸を打つ。

ユアンは実生活で22年間連れ添った妻との離婚、再婚によって、娘クララとの親子関係に問題を抱えていた時期があった。そんなある日、クララからラブレターのような脚本が贈られる。その脚本の美しさに度肝を抜かれたユアンはプロデュースと出演を快諾。実体験をもとに、実の親子で創り上げた奇跡のような作品となっている。

ユアンがエグゼクティブ・プロデューサーを担い始動した映画製作のプロジェクトには、 製作にアカデミー賞 ®︎ノミネート作品 『パスト ライブス / 再会』、『キャロル』 のプロデューサー陣が名を連ね、監督にはグラミー賞にノミネートされた経歴を持ち、本作が長編初監督となるオランダ人の33歳エマ・ ウェステンバーグがばってきされた。今回、共同脚本と主演を務めたクララと、エマ・ ウェステンバーグ監督に本作を通して伝えたい想いを語ってくれた。

「子供の時は、自分にとって親は完璧な存在だった。でも完璧な人間なんて存在しないし、親も完璧ではない、ということを受け入れなければならない」

クララ・マクレガー
エマ・ ウェステンバーグ監督

──本作はクララさんが脚本のベースを書いて始まった企画と聞いておりますが、この物語を書こうと思ったきっかけは?

クララ:私と父親の関係には色々ありました。今はその反対側にたどり着くことができて、つまり乗り越えたという経験があります。また、元々家族ドラマに興味を持っていたんです。なぜなら、家族ドラマというのは誰でも共感できるものであり、それぞれが自分だけのバージョンの、ユニークな家族ドラマを経験していると思うんですよ。なので、このアイデアはずっと私の心の中にありました。家族の物語として表現したいと、脚本家のルビー・キャスターと、プロデューサーのパートナーのヴェラ・バスターに伝えて、3人で脚本開発を始めました。それが私の元々のアイデアよりもずっと大きなものになっていったんです。私だけの経験だけでなく、皆の経験が物語へ影響をもたらしました。さらに、監督のエマが参加したことで、肉付けされてしっかりとした物語になっていきました。本当にエマは素晴らしいアイデアやビジョンをこの作品に与えてくれました。脚本に対しても彼女の中には「こういう物語を作りたい」という思いがあって、結果的に、私たち全員それぞれの物語、それぞれの経験や視点をミックスしたような作品になっています。

──本作は監督や脚本はお二人を含め、20代30代の女性で製作されたとお聞きしました。映画業界ではあまりないことなのでしょうか? また、女性チームだからこそできたことや、いつもの製作過程と違うことはありましたか?

エマ:トータルのスタッフは50/50の男女比だったのですが、各部署のヘッドは確かに全員女性でした。これは素敵な体験だったと思います。ただ私は、年齢的にもジェンダー的にも色んな方に参加して欲しいといつも思っていて、やはり同じような環境・時代に育ったり同じような立場だったりすると、見方に偏りが出てきます。だからこそ、多様なものをもたらしてもらえるよう、色んな方にいつも参加して欲しいという意識で、スタッフィングしています。違いがある人たちと製作をするとなると、自ずとコミュニケーションをしっかり取らなければいけなくなります。物の見方などが違うので、より物語の中で共通していることが見えてきます。その過程がすごく面白いと思っているので意識しています。

──この作品を通して伝えたいことを、どのように考えて製作されたのでしょうか?

エマ:ある程度大人になると、親って思っていた人と違うかも? と気づくタイミングが来る。親との関係を見つめ直す機会を得るのはとても素敵なことだと思います。

クララ:子供の時は、自分にとって親は完璧な存在だったけど、完璧な人間なんて存在しないし、親も完璧ではない、ということに向き合って受け入れなければならない。親も私も、誰もがどこかに短所があって、それでいいんだ、ということに気づく。それが私たちにとって慰めになると思います。この年代で見つめ直せるというのはいいタイミングだと思います。

「素晴らしい俳優というのは聴く力を持っています。相手の言葉をしっかり聴く、常にオープンであること。ユアンにもその力があるけど、クララにもあって、本当に2人はよく似ています」

──クララさんが実際に父親のユアンから受け継いでいるな、似ているなと感じる部分はありますか? 影響を受けている部分や、逆に全く違うなと思うところなど、教えてください。

クララ:父からは本当にポジティブで美しい形で受け継いだものがたくさんあると思っています。映画への愛、音楽への愛、人間としても似ていると思っています。年を重ねる中で彼に自分自身の姿が見えるようになってきました。そのことが素敵だなと思います。

エマ:実は外側から見ると、2人は俳優としての佇まいがそっくりです。クララは名優である父親のユアンと同じようなエネルギーを持っています。素晴らしい俳優というのは聴く力を持っています。相手の言葉をしっかり聴く、常にオープンであること。ユアンにもその力があるけど、クララにもあって、本当に2人はよく似ています。

──父と娘の絆が回復していく物語ですが、実際にお父さん(ユアン)と撮影する前と後で関係性や気持ちに変化はありましたか?

クララ:より絆が深まったと思いますし、楽しむことができました。元々、私たちの関係自体は、撮影に入る前からかなりソリッドに固まっていました。良い形で堅固なものだったので特段変化はなかったけれど、一緒に時間を過ごすことができて、共演という形で父が仕事をするのを見るのは初めてだったので、改めてすごいなと感じました。父の仕事の姿勢に対して、よりポジティブな印象になりましたね。

──クララとユアンが実際の親子だからこそ演出面で心がけたこと、また撮影において通常と異なったことがあれば教えてください。

エマ:2人が実際の親子であるということが、もしかしたら2人が何か控えめになってしまう、あるいは少し過剰になってしまう結果になるのでは、という心配はなくもなかったのですが、元々クララのことは知っていましたし、役のキャラクターについても彼女と話し込んでいました。初期段階でユアンにお会いした時も、2人は密にコラボするプロフェッショナルなのでそういった心配はすぐに消えました。むしろ現場では実際の親子だからこそ、より重層的になったような気がします。なので、実際の親子であることはとにかくプラスに働いていたと思います。

──撮影中の2人の親子の絆が感じられるようなエピソードはありますか?

エマ:たくさんありました! 車内のシーンが多い作品だったので、テイクの間、リセットする時に2人は車の中で待っていることが多かったのですが、ご存じの通りユーモアあふれる2人なので、よくふざけあっていました。すごく素敵だなと思って眺めていました。そして撮影中には、2人の間の愛情をものすごく感じることができたのと同時に、1人のプロデューサーとして作品を作り上げている娘、さらに役者として主演も務めている彼女を支援しているユアンの姿から、誇らしさを感じ取ることもできて、それも素敵だなと強く感じています。

「そばに一緒にいるだけで充分なんだ、ということを感じてほしい」

──本作はセリフに重きを置くというよりも、目には見えない空気感だったり、目線で2人の間にある複雑だけど愛おしい溢れる愛を感じました。特にラストシーンは、言葉を超えたものがありました。日本ではセリフで説明過多な作品が増えている傾向にあるのですが、本作を作る上で大切にしたことなどはありますか?

エマ:娘は薬物の過剰摂取をしたばかりで、父親との関係も複雑なもの。いろんなものに対する防御(バリア)を張っている状態で、自分の本心以外のことは話したくないと思っている。バリアをなくすには時間がかかってしまうから、父親がシリアスなことを言ってもジョークで返したりする。そこからの道のりを考えていきました。

クララ:実際はセリフがあるシーンも撮っていたけれど、編集の段階でカットしました。父親が娘を見ている時、娘は父を見ていないなど、ちょっとした視線でたくさんのことが語れることに気づいたので、セリフは必要ないと思ったんです。ぎこちなかったり、沈黙の中でもたくさんの感情を伝えることができる映画だと思います。セリフだらけの作品もありだと思いますが、本作は車中なのでボディーランゲージや視線で語る作品になりました。

──私自身、父親との関係に長年悩み続けているので、この物語を自分のことのように感じてラストシーンでは涙が溢れて、私の心も癒やされたように感じます。私のように父親との関係に悩んでいる人に向けて、何かメッセージをいただけるとうれしいです。

エマ:こんなに美しい褒め言葉はありません。ありがとう。

クララ:映画をどんなふうに感じてほしいかとよく聞かれるけど、一番嬉しいのがその言葉です。なんらかのヒーリングを感じていただければすごく嬉しいです。ただ、父親との関係性は人によって違うと思います。どんな関係であるにせよ、観てくれた人にとって何か希望を持てるような作品になったら嬉しいです。

エマ:誰にでも失敗したり、よくないことをしたりしてしまう時はあります。その時にそばに居るだけで、居続けるだけでいいと思います。そばに居続ける力、というものを感じていただけたら嬉しいです。

クララ:すごく素敵な言葉(監督の言葉)だと思う。つらい時、そこに一緒にいるだけで充分なんだという力を感じてもらえたら嬉しいですね。

interview&text: DIZ

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『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』
新宿ピカデリー他全国公開中
©2024 SOBINI FILMS,INC. All Rights Reserved.
監督:エマ・ウェステンバーグ
脚本:ルビー・キャスター、クララ・マクレガー、ヴェラ・バルダー
出演:ユアン・マクレガー、クララ・マクレガー
公式サイト:longride.jp/bleedinglove
2023年/アメリカ/英語/102分/シネマスコープ/5.1ch/カラー/原題:Bleeding Love/日本語字幕:岩辺いずみ/PG12/配給:ロングライド

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