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パリの新名所、現代美術館ブルス・ドゥ・コメルス・ピノー・コレクションが誕生

マリ・クレールの特派員が現地からお届けするパリの最新情報! 今回は日本を代表する建築家が手掛けた新スポットをご紹介

歴史的建造物に安藤忠雄が込めた思いを感じて

何年も前から大きな話題になっていた現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス・ピノー・コレクション」が5月22日、満を持してオープンした。安藤忠雄が改装を手がけて、フランスの実業家、フランソワ・ピノー氏が個人所蔵する1万点に及ぶ現代アートコレクションから厳選された作品がお披露目されるというだけあり、開館後は予約が取れない状態だ。

ブルス・ドゥ・コメルスを正面から臨む 
©Studio Bouroullec Courtesy Bourse de Commerce – Pinault Collection Photo Studio Bouroullec

場所はパリの中心地レアール地区にある元商品取引所。神殿のように美しい円筒形の歴史的建造物の外観も内観もそのままに、安藤氏のミニマルな鉄筋コンクリートの世界が見事に空間に調和しているのに驚く。

まず最初に扉を抜けると、天井からの自然光が宿る巨大なクポールのある円形型メインホールが出迎える。この印象的な空間には現在、スイスのアーティスト、ウルス・フィッシャーの作品が展示されている。中央にそびえ立つ「サビニの女たちの略奪」のレプリカ、ホール内に点在している椅子や飛行機の座席などは、なんとすべてロウソクでできているのだ。半年の展示期間に少しずつ溶け、最後には跡形もなく消えていく儚くも大胆なインスタレーションだ。

安藤氏は「古い建物の中に新しいものを入れる。その中に現代美術を置くことで、現在、過去、未来の時を繋ぎ、歴史を意識し、自分自身は何者なのか? ということを考える場所にしたい」と語っている。

美術館の内部。天井から自然光が差し込む
© Tadao Ando Architect & Associates, Niney et Marca Architectes, Agence Pierre-Antoine Gatier
Photo Maxime Tétard, Studio Les Graphiquants, Paris

美術館は地下1階、地上4階で、10の展示室に加え、最上階には三つ星シェフ、ミッシェル&セバスチャン・ブラスによるカフェ・レストランも併設されている。ピノー氏の文化プロジェクトの集大成として、見応えのある美術館とその建築は、まさにパリの新名所といって過言ではない。

最上階にあるレストラン ©BRAS LA HALLE AUX GRAINS PHOTOS LAIRENT DUPONT

お問い合わせ先

ブルス・ドゥ・コメルス・ピノー・コレクション 住所:2 Rue de Viarmes, 75001 Paris tel:+33 1 55 04 60 60

関連情報
  • 開館時間:11:00〜19:00(金、第1土曜日は〜21:00) 休館日:火曜日 料金:一般 14euro / 割引 10euro / 第1土曜日の17:00~21:00は入場無料

Profile

須山佳子

すやま けいこ marie claireパリ特派員。東京生まれ、パリ在住20年。大学を卒業後パリに渡り、INSTITUT FRANCAIS DE LA MODEでファッション経営のMBAを取得。ファッション界で働いた後、日本の美容とライフスタイルブランドを欧州市場へ紹介するコンサルティング会社と、ECサイトhttp://www.bijo.parisを立ち上げる。高級デパート「 ル・ボンマルシェ」に定期的に招待され、年に数回ポップアップを開催している。公式Instagram: @keikosuyama_paris

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