資生堂ギャラリーが、資生堂関連のさまざまなデザインや、同社の企業文化誌『花椿』のアートディレクションを手がけた仲條正義の「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」展を開催
日本を代表するグラフィックデザイナーである仲條正義(1933〜2021)が資生堂と共に手がけたポスターやパッケージ、初出品となる貴重な原画などが展示される「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」展が、資生堂ギャラリーにて開催される。会期は、3月3日(火)から6月28日(日)まで。
仲條正義は、資生堂の多岐にわたるデザインやアートディレクションに従事するとともに、松屋銀座(1978)や東京都現代美術館(1995)のロゴデザインなどでも知られるグラフィックデザイナー。時代に対する鋭い感性と、アヴァンギャルドな精神から繰り広げられる唯一無二の世界観は、国内外のグラフィックデザイン界において、今もなお異彩を放っている。
仲條は生前「デザインはうたになる方を選ぶ」と語っており、その特徴は「おどっている」とも評されることがあった。「文字」を巧みにつくる、あるいは組み上げ、自らの手で「画」を描き、またイメージを写真で創り上げる。それらが仲條の手で組み合わされると、「文字」はリズムをもってうたいだし、「画」はたちまちおどりだすように見えた。
そこには、「文字」を造形として扱い「画」と一体化させる日本美術の特徴的な造形感覚や、和歌や百人一首、琳派、浮世絵などにおいて脈々と受け継がれる、日本の美意識の今日の姿を見て取ることができるかもしれない。
『花椿』表紙 1983年1月号 撮影/冨永民生、スタイリング/檜山カズオ、ヘアメイク/マサ大竹
本展では、日本美術のこうした特色を踏まえながら、仲條が資生堂とともに手がけた数々の作品を通じて、そのデザインの本質の一端に迫ろうと試みる。資生堂社にて収蔵されている作品を中心に、化粧品の広告ポスター、資生堂パーラーのパッケージや包装紙、時計などのプロダクト、展覧会初出品となるイラストの原画など、約200点が展示される。
また、仲條が40年にわたり手がけた資生堂の企業文化誌『花椿』のうち、1982年から2011年まで、同氏がアートディレクターとして采配をふるった約350冊が閲覧できるライブラリーコーナーを設置。本誌に見る、同氏の真骨頂ともいえるグラフィカルなエディトリアルデザインからは、「文字と画」の響き合いの真価を見いだすことができるはずだ。
仲條正義(なかじょう・まさよし)。東京藝術大学図案科(現デザイン科)を卒業、1956年に株式会社資生堂宣伝部に入社。1959年同社退社、株式会社デスカ入社。1960年フリーとなり、1961年に仲條デザイン事務所を設立。資生堂パーラーでは現在も仲條デザインの商品が販売されているなど、その精神は資生堂社に生き続けている。紫綬褒章、旭日小綬章ほか受賞多数
さらに、仲條の作品から影響を受けたと語るグラフィックデザイナー 山口崇多(コル)によって制作された映像作品を展示。仲條デザインのエッセンスが再解釈された本作を通じて、仲條の「うた」や「おどり」、その造形感覚を次世代につなげようと試みる。
前衛的であり、かつ色あせない仲條のデザインは、同氏が歴史の中から普遍的な美をすくいあげ、新たなかたちで表現し続けていたからともいえる。価値観や美意識が多様化している現代だからこそ、仲條の仕事に向き合い、新たな時代に向けた美の可能性を探っていく。
text: Tomoe Tamura
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