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「見る」から「所有する」へ。アートとともに暮らす、初めての購入案内

アートを所有したことがあるだろうか。美術館を巡るだけではなく作品を購入することは、生活を彩り、アーティストの支援にもつながる。アートフェアとオークションの専門家に購入の心得や魅力を聞いた。

Art Fair
世界各国のギャラリーが一堂に会する

アートを購入するには、ギャラリー、百貨店、オークション、オンラインサイトなど、さまざまな方法がある。中でも気軽に参加しやすいのが、アートフェアだ。ギャラリーが多数出展し、数百点もの作品を一度に見ることができる。世界各国からギャラリーが出展する国際的な現代アートフェア「Tokyo Gendai」のフェアディレクター・高根枝里さんに、「Tokyo Gendai」の特徴や作品購入の仕方について尋ねた。

「Tokyo Gendaiが始まったのは2023年です。今年の9月にパシフィコ横浜で第4回が開催されます。毎回、選考委員会の審査を経て、70軒ほどのギャラリーが参加していますね。そのうち5~6割が海外、4~5割が日本のギャラリーで、国内のお客様、海外のお客様、双方にとって新鮮なアートフェアになっているのではないかと思います」

Tokyo Gendai
昨年、パシフィコ横浜で催されたTokyo Gendai。2026年も9月に開催予定
©Tokyo Gendai, 2025

広大な会場は、主要ギャラリーが集まる「Galleries」、若手のギャラリーや作家による「Hana」、アジアの歴史的に重要な作品を展示する「Eda」など、複数のセクターに分かれ、会期中にトークセッションなども開催される。

「アートフェアには“ドア”がないので、各ギャラリーのブースにふらっと入って見ることができます。気になる作品を見つけたら、ギャラリストの方に『どんな作家さんなんですか?』などとお尋ねしていろいろと学べる。作品を売買するための場ですから、価格を聞きやすいのも魅力ですね」

Tokyo Gendai
大竹利絵子(小山登美夫ギャラリー)によるインスタレーション
©Tokyo Gendai, 2025
Tokyo Gendai
世界各国の現代アートギャラリーがブースを構える
©Tokyo Gendai, 2025

気になる作品を見つけたら、もちろんその場で購入できるが、すぐには決められない場合も多いだろう。

「予約や値段交渉ができることもあるので、ギャラリーに相談してみてもらえたらと思います。その日は購入に至らなくても、気になる作家のSNSなどをフォローしておけば、また別のタイミングがあるかもしれません。ただ、作品はその一点限り。私も後になって『あの時、買えばよかった』と悔やむこともあります」

高根さん自身、もう15年くらいアートを購入しているという。

「家に置いてみると、見え方が変わるのが面白いです。たとえばフランシス真悟さんの作品が自宅にあるのですが、彼の作品は光の加減で色が変わり、朝と夕方で違って見えるのです。忙しない毎日の中で、作品を見ることで空白が生まれる。それは私にとってすごく大切なことですね。人生のタイミングによって惹かれる作品も変化するので、思い出の音楽みたいに『ああ、この作品を買った時はこうだったな、あの人に会ったな』と振り返ったりもします。購入する時、自分の中に何か物語があると面白いのかもしれません」

高根さん自宅にある作品
高根さんの自宅に飾られた作品。フランシス真悟《Seven Reflections》
高根さん本棚
本棚の一角。Larry Clark、Takeshi Miyazawaなどの作品が並ぶ

同じ作家が好きな人たちでコミュニティが生まれることもある。

「ギャラリーの展示やパーティに招かれたり、『こういうコレクションをしているので、家に来てみませんか』と集まったり。共通の趣味がある仲間と出会えるのも楽しいですね」

作品との出会いが新たな出会いへとつながっていく。初めの一歩にアートフェアを覗いてみてはいかがだろうか。

高根枝里
高根枝里
「Tokyo Gendai」フェアディレクター

Tokyo Gendai
https://tokyogendai.com/

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