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アール・デコ期の壮麗な作品が集う展覧会「永遠なる瞬間ヴァン クリーフ&アーペル── ハイジュエリーが語るアール・デコ」

1925年にパリで開催され世界的に大きな話題となった「アール・デコ博覧会」の開催から、今年で100年。その記念すべき年にパリの老舗ジュエラー「ヴァン クリーフ&アーペル」の作品を通じて100周年を祝う特別なエキシビションが東京都庭園美術館で開催中。

アルフレッド・ヴァン クリーフとエステル・アーペルの結婚をきっかけに、1906年、パリ・ヴァンドーム広場22番地に創業した「ヴァン クリーフ&アーペル」。自然やクチュール、ダンスなどの世界が着想源の詩情溢れるデザインと革新的な技巧で独自の「サヴォアフェール(匠の技)」を確立してきた。

1970年代に創業家の一人、ジャック・アーペルが過去の名品を買い戻し始め、今日までに、3,000点を超える「パトリモニー コレクション」を形成。1906年から現代までの創造性と職人技の進化を物語る作品群は、世界の美術館などで公開されている。

そんなメゾンが注目を集めたのは、1925年、パリで開かれた「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(アール・デコ博覧会)」への出品。当時の建築やデザイン全般において世界を席巻した装飾様式、アール・デコに焦点を当てた博覧会の宝飾部門で「ヴァン クリーフ&アーペル」はグランプリを受賞。花から着想を得た《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》(1924年)など、メゾンが描いた未来像を今に伝える数々の名品を発表した。

そして今年はパリで「アール・デコ博覧会」が開催されてから100周年。その節目に東京都庭園美術館で祝祭的な展覧会「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ─ ハイジュエリーが語るアール・デコ」が開かれている。本展では「パトリモニー コレクション」や個人蔵から選ばれた約250点のジュエリーや時計、工芸品、さらにアーカイブ資料約60点を4つのチャプターに分けて展示。1910~1930年代に制作されたアール・デコ期の作品に加え、現在まで継承され続けるメゾンが誇るサヴォアフェールにも触れることができる。

Chapter1
アール・デコの萌芽

1925年に開かれた「アール・デコ博覧会」でグランプリを受賞した作品も展示。アール・デコ期を象徴するバラのモチーフが並ぶ。

ヴァンクリ 絡み合う花々、赤と白のローズブレスレット
《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》(1924年)はグランプリを受賞した記念すべきハイジュエリー
ヴァンクリ ローズブローチ
一輪のバラを表現し、つぼみや葉、棘なども巧みに組み込んで。自然のモチーフを幾何学的に様式化するアール・デコの美学を体現している。《ローズ ブローチ》(1925年)
ヴァンクリ ロングネックレス
カラフルな宝石を飾ったネックレスは東洋のイメージが着想源に。幾何学模様と生け花を想起させるモチーフが調和し、東洋の精神性とアール・デコの様式美が見事に融合。ペンダントを外し、チェーンだけでも着用できる仕様。《ロングネックレス》(1924年)

Chapter2
独自のスタイルへの発展

1920年代以降、メゾンが追い求めた立体感のある新たな造形的展開にフォーカス。ダイヤモンドやプラチナを巧みにあしらったホワイトジュエリーを中心に展示。

ヴァンクリ コラレット
ネックラインに壮麗なダイヤモンドをあしらい、視線を奪う鮮やかなエメラルドは総計165カラットにも及ぶ。1935年のブリュッセル万国博覧会のフランス館で展示され、大きな注目を集めた。立体感と素材の多様性を追求した作品は、大胆さと洗練さを兼ね備えたスタイルとして今もなお輝きを放っている。《コルレット》(1929年)
ヴァンクリ ブローチ
ユリのモチーフを様式化。アール・デコの美学を体現するブローチは、バックルベルトから着想を得たデザインで、連結部の精巧な技によるしなやかな着け心地と、チョーカーやブレスレットとしても使用可能な多用途性を実現。《ブローチ》(1927年)

Chapter3
モダニズムと機能性

こちらでは社会の変化に応じて、メゾンが制作した抽象的かつ幾何学的造形と機能性を備え、モダニズムの魅力が詰まった作品を紹介。

ヴァンクリ カメリアミノディエール
鏡や口紅、パウダーコンパクトなど外出に必要な小物を収納できるケースは、1933年に特許を取得。カメリア部分はブローチにもなる洗練された美しさと高い機能性を兼ね備えた象徴的な名作。《カメリア ミノディエール》(1938年)
ヴァンクリ カデナリストウォッチ
1935年に誕生したリストウォッチは、南京錠を象った大胆でモダンなデザインが特徴。一見、ブレスレットに見えるデザインながら、文字盤がわずかに傾き、女性がさりげなく時刻を確認できるよう創意工夫を施した、メゾンを代表する人気コレクション。《カデナ リストウォッチ》(1943年)

Chapter4
サヴォアフェールが紡ぐ庭

メゾンが現代まで継承し続けているサヴォアフェールの数々を5つのセクションに分けて紹介。草花や動物をモチーフにしたジュエリーが織りなす、5つの庭園が登場。

ヴァンクリ シャンティイジップネックレス
1938年に特許を取得し、1950年に誕生したジュエリー「ジップ ネックレス」はファッションの影響が色濃い作品。ジッパーからの着想でタッセルをスライドさせると、ネックレスがブレスレットに変わる革新的デザイン。《シャンティイ ジップ ネックレス》(1952年)
ヴァンクリ クリサンセマムクリップ
1937年パリ博覧会に出品された菊の花をかたどったクリップ。ルビーの花びらには1933年に特許を取得した「ミステリーセット」技法によって石留めの爪を隠して滑らかな輝きを実現。日本の芸術からも影響を受けた傑作。《クリサンセマムクリップ》(1937年)

アール・デコの美学を今に伝える邸宅

本展の会場となった東京都庭園美術館は1933年、朝香宮邸として建設され、戦後は迎賓館などとして使われた後、1983年に美術館に。施主の朝香宮夫妻は1922年から約3年間パリに滞在し、1925年のアール・デコ博覧会を訪問。帰国後、主要な部屋の設計を同博覧会で活躍した装飾美術家アンリ・ラパンに依頼し、ガラス工芸家ルネ・ラリックらを起用して当時の真髄を取り入れた。竣工時の意匠は現在もほぼ完全に残り、1910~1930年代 にヨーロッパを席巻したアール・デコ時代の空間を体感できる希少な建築となっている。

東京都庭園美術館
東京都庭園美術館 本館 正面外観
photo: Tokyo Metropolitan Teien Art Museum
東京都庭園美術館
東京都庭園美術館 本館 大客室
photo: Tokyo Metropolitan Teien Art Museum

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永遠なる瞬間 ヴァンクリーフ&アーペル
Timeless Art Deco with Van Cleef & Arpels High Jewelry

永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル── ハイジュエリーが語るアール・デコ
会期:2026年1月18日(日)まで
会場:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
開館時間:10:00 ~18:00(入館は閉館の30分前まで)
※11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)、12月5日(金)、6日(土)は夜間開館のため20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日および年末年始(12月28日~1月4日)
※祝日の月曜日(11月3日、24日、1月12日)は開館、翌日の火曜日(11月4日、25日、1月13日)は休館
観覧料:一般¥1,400、大学生(専修・各種専門学校含む)¥1,120、高校生・65歳以上¥700、中学生以下は無料(予約不要)
*日時指定予約制
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://art.nikkei.com/timeless-art-deco/

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