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真のクリエーションを教えてくれるパリ【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記】

2025-26年秋冬パリ・ファッションウィークが3月3日から11日まで開催されました。期間中、公式スケジュールで100余のブランドが最新作をショー形式やプレゼンテーションなどで発表しました。この期間はファッション関連のイベントも行われていました。ファッションだけでなく、街で見かけた面白いモノやコトをつづっていきます。今回はDAY 8。

サカイ

朝一番にいいショーが見られると、うれしい。ショーや展示会で駆け回っても元気が保てるからです。

会場に到着すると、飲み物が用意されていました。飲んだのは抹茶ラテ。体が温まりました。

サカイのコレクションノートには「ONE TENDER MOMENT」というキーワードがありました。「優しい瞬間」。今シーズン、デザイナーの阿部千登勢は体を包み込むということを探求していたようです。さまざまな形や素材で「包み込む」というのが新しく、優しい。包み込むことで、その人らしさが出てくるのだなあと、通り過ぎるモデルを見ながら思いました。また、官能的なマン・レイの作品が使われていたのが印象的。

ロエベ

クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソンが別ブランドに移るのではないかといううわさがずっと流れていた中での発表の形は、ショーではなく、プレゼンテーション。「ショーではないのか」という若干の落胆気分の中、会場に足を踏み入れたら、そんな思いがすべて吹き飛びました。

会場は、かつてカール・ラガーフェルドの邸宅だった場所。しかも17のテーマごとに分かれている部屋で最新作などが展示されています。「アイデアのスクラップブック」のように構想を考えたというプレゼンテーションは、 ジョセフ・アンド・アニ・アルバース財団とのコラボレーションがメインです。ジョセフ・アルバースやアニ・アルバースの作品が服や雑貨へと反映していきます。

ほかにも過去のショーやキャンペーンに登場したものなどが展示されており、「最新」とか「過去」とか関係ない、見事な世界へと昇華されていました。ジョナサン・アンダーソンは才能あるクリエイティブ・ディレクターであると同時に、優秀なキュレーターでもあるということを感じさせる展示でした(その後、4月17日にディオールのメンズのアーティスティックディレクターに就任したことが発表されました)。

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック

新作の展示会はいつも左岸にあるお店で。楽しく飾られたウインドーディスプレーが私たちを迎え入れてくれます。

石の持つ自然の力や色を大切にするマリーエレーヌのジュエリーは、その色遣いやデザインがほかのどこにもないのが魅力です。22金を使うところも個性的。今回もまた期待を裏切らないものが並びました。パールのバングルもすてき。

服もジュエリーも、何を選び、身につけるかは、自分自身の心持ちともつながっています。

マリーエレーヌさんと話していると思うのは、大切なのは自分らしくあること、自分のスタイルを持つこと。ジュエリーもそう思わせてくれるものです。

ボン・マルシェは犬でいっぱい

ボン・マルシェは左岸にあるデパート。いつもパリコレの期間中、全館をあげてイベントを開催していますが、今回は全館「犬」でした。テーマは、「je t’aime comme un chien!」。ドッグラバーならずとも楽しくなります。1階のメイン会場には犬が描かれたグッズがいっぱい。各ブランドの売り場にも犬に関連したものがあったりして。上階にはドッグカフェも。もちろん犬を連れて入ることができるので、あちこちで犬たちとも遭遇。

何より楽しいのは吹き抜けのエスカレーターのところが骨の形に。みんな写真を撮っていました。

スティーブン・ジョーンズの展覧会

イギリスの有名な帽子デザイナー、スティーブン・ジョーンズの展覧会がパリ市立ガリエラ美術館で開催されていたので、行ってきました。スティーブン・ジョーンズといえば、モードの世界には欠かせない人、というだけでなく、英国王室にも欠かせないデザイナーといったほうがいいでしょう。

ロンドンのセント・マーティンズの卒業作品は白のドレスに鳥の形をした帽子。学生で、こんなに完成度の高い作品を作るとは。ちょっと驚きでした。

スティーブン・ジョーンズのすごいところは、アヴァンギャルドなものからルールが厳しい王室の帽子まで作るところです。

展覧会の後半部分では、様々なデザイナーの服と合わせて帽子を展示。特に、日本のコム・デ・ギャルソン、イギリス人のジョン・ガリアーノの服に合わせた帽子の数々は見事でした。

総数400点あまりの帽子が展示されていましたが、あれほどの数の帽子を見る機会はなかなかありません。

イギリス人でありながら、パリ・モードの世界で仕事をする。パリにおいてエトランジェ(外国人)としての視点を持ちながらのクリエーションだからこそ、あのような独創的な帽子が生まれるのでしょう。

text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)

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