“好き”を集めて家を心地良くするのは自分を愛すること『家が好きな人』
2024.8.25

天気予報で「命に関わる異常な暑さ」と連日伝えられる今夏も、ようやく終わりを迎えそう。コロナ禍から外出を控える生活が続き、多くの人にとって、家にいる時間がより長くなった。ならば、この巣をもっと心地良くしようと意気込むものの、どうやって? と立ち止まってしまうことも多い。そんな疑問にヒントをくれるのが、コミック&イラスト集『家が好きな人』だ。
2024.8.25

天気予報で「命に関わる異常な暑さ」と連日伝えられる今夏も、ようやく終わりを迎えそう。コロナ禍から外出を控える生活が続き、多くの人にとって、家にいる時間がより長くなった。ならば、この巣をもっと心地良くしようと意気込むものの、どうやって? と立ち止まってしまうことも多い。そんな疑問にヒントをくれるのが、コミック&イラスト集『家が好きな人』だ。
著者の井田千秋は書籍の挿絵・装画などを手掛けてきたイラストレーター。2023年にデビュー作として発表したオールカラーの『家が好きな人』は、「このマンガがすごい!2024」オンナ編の第7位を受賞。緻密(ちみつ)で温かい描写は読む人をほっこりとつつ包み込むと定評がある。
『家が好きな人』は、一人暮らしの5人の女性のおうちとそこでの過ごし方を描いたもの。登場するのは、インテリア雑誌のような洗練された部屋ではない。おしゃれな部屋もあれば、床にも棚にも物がたくさん置かれ、買い物してきたレジ袋はそのままという部屋もあり、自分にとっても“あるある”な描写にぐっと親近感が湧く。
「2軒目 カエさん宅」を見てみよう。こたつを中心に、テレビ、デスクやハンガーラックがひしめき合う和室。こたつテーブルの上にはティッシュ、お菓子、本、リモコンと、おうち時間の“いつものメンバー”が勢揃い。

言ってみれば、彼女はずぼらな方だろう。ただ、心地良く、好きなことをするためのカエさんの行動は、無駄がない。部屋のレイアウトから生まれる流れるような動作は、怠けたいゆえの効率化として肯定されているような気持ちになってくる。

「3軒目 ナナコさん宅」は、日常に少しの非日常を取り入れるインテリア。リラックスタイムにはケープをはおり、部屋を暗くしてプロジェクターで投影しながら、クッキー缶をおともに映画鑑賞。初めての一人暮らしを描いた「5軒目 アキラさん宅」は、こじんまりとしたワンルームに、小物や器など少しずつ“好き”を増やしていく姿が描かれる。


家を心地良くするのは、気合を入れてやることではない。ふと、そこにある“好き”を気軽に取り入れた結果、気づいたら囲まれているもの。ここに登場する彼女たちのようになりたいと思った時、あなたはすでに“好き”に囲まれて、家が好きな人であるはずだ。
もちろん、部屋を整理し、新しい食器やファブリックを見つけにいくのもいい。作者でイラストレーターの井田千秋の描く家と日常と人々。読むだけで身の回りのものも、それらと一緒に生活を送る自分も、愛おしくしてくれる。心地の良いおうち時間を見直す前に、一度彼女たちの生活を覗いてみてほしい。
text: Ayaka Kawamata
・夫と死別し65歳で映画の道へ。漫画『海が走るエンドロール』で触れる、人生を変える力
・カンヌ国際映画祭で話題のあの作品がついに日本公開!
リンクを
コピーしました