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都心の日常にはないすべてがここに「星のや東京」で感じる日本旅館の進化形

超高層のオフィスビルが林立し、人々が慌ただしく行き交う東京・大手町。日本でも有数のビジネス街、その中心部に「星のや東京」は開業した。そこから世界を魅了する「シン・日本旅館」のありようを発信する。さあ、進化し続ける日本の宿がいざなう非日常に身を委ねてみよう。

大手町1丁目と2丁目の面積は計約45万平方メートル。東京ドーム約10個分の広さになる。2016年の経済センサスによると、そこに876の事業所が集まり、計9万1278人の従業者が働く。近年、再開発も進み、30階以上の超高層ビルが林立する。

大手町駅には地下鉄5路線が乗り入れ、20年度の1日平均乗降人員は30万人を超え、パンデミック前は50万人に迫る勢いだった。一方、今年1月1日時点の住民基本台帳によると、人口は14人。大手町は、国際経済をも左右する巨大ビジネス街である。

星のや東京

2016年7月20日、その中心部に「星のや東京」は開業した。地下2階、地上17階。「塔の日本旅館」がコンセプトだというが、漆黒のシンプルな外観から「日本」と「旅館」を連想するのは難しい。ところが、青森県産ヒバの一枚板でできた扉を通り抜けた瞬間から、慌ただしい外界とは異なる静謐な世界に包まれる。

扉から季節の室礼で彩られた縁台までの距離が約20メートル、高さ6メートルの大空間が宿泊客を迎える。ここが玄関。上がり框で靴を脱ぎ、畳の廊下を踏みしめ、エレベーターで客室に上がってチェックインの手続きをする。そこまでの短い時間に「日本」と「旅館」を体感させる。「星のや」ならではの贅をこらした演出なのだ。

星のや東京

客室数は84。部屋は3タイプあり、調度に竹や栗の木をふんだんに使い、太鼓張りの障子を開けると、外壁にあしらわれた「麻の葉くずし」柄の格子を通して隣接するオフィスで働く人たちの様子もうかがえる。フロア中央部に「お茶の間ラウンジ」と呼ばれる、宿泊客が居間のように利用できる空間も設けられている。

客室に留まらず、日本旅館ならではの「圧倒的な非日常」を演出する仕掛けは至る所に。最上階に設けられた天然温泉もその一つ。地下1500メートルから湧き出る温泉は赤褐色の強塩泉で体がじんわりと温まる。内湯から続く、高さ15メートルの浴室は露天になっていて、ジェームズ・タレルの作品の中にいるような幻想的な雰囲気。併設のスパでは心身が癒やされるトリートメントも。ここは本当に大手町なのだろうか?

星のや東京
夜には星空も眺められる天然温泉。

浜田統之総料理長による、発酵食品とフレンチとの融合を楽しめる「Nippon キュイジーヌ ~発酵~」も滞在のハイライトだろう。夏メニューでは鮎や岩牡蠣などを使い、宿泊客だけが旬の恵みを味わえる。

館内外で行われるアクティビティも楽しい。早朝、地上160メートルのオフィスビルに設けられたヘリポート上で行う剣術の動作と深呼吸を組み合わせた「天空朝稽古」、館内2階の畳の間で行う「茶の湯」や「今様香り合わせ」などは、江戸情緒を感じられる貴重な機会になるはずだ。

パンデミック前、海外からの宿泊客も目立った「星のや東京」。「(海外の)大都市に世界を魅了する実力を持つ『日本旅館』がある時代を創っていきたい」という星野リゾートの星野佳路代表の熱い思いが込められた都心の宿で、ゆったりと憩いたい。

発酵とフレンチの幸福なマリアージュを味わう

「Nippon キュイジーヌ ~発酵~」夏メニュー
時間: 17:30~20:30 料金: 1名 ¥21,780(税・サービス料込)
予約: 前日まで受け付け ※9月中旬以降、秋メニューに変更予定

星のや東京
〈左から〉五味(酸・塩・辛・苦・甘)を小さな料理に詰め込んだ「五つの意思」はコース料理のスペシャリテ。
星のや東京
都心の絶景も一望できる「天空朝稽古」。

「星のや東京」
東京都千代田区大手町1-9-1
tel: 0570-073-066
星のや総合予約 : https://www.hoshinoya.com/tokyo

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