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ハワイアン航空が次のステージへ 広がる利便性と守り抜くアロハの精神

日本就航15周年を2025年に迎えたハワイアン航空が、新たなフェーズに入った。2024年のアラスカ航空グループとの統合を経て、ネットワークやロイヤリティプログラムの拡張、機材やラウンジへの投資など、旅の選択肢はどう広がるのか。来日したCEO、ダイアナ・バーケット・ラコウ氏に話を聞いた。

日本就航15周年「今が重要なタイミング」

2010年11月に羽田―ホノルル直行便を開始して以来、ハワイアン航空は昨年、日本就航15周年を迎えた。累計約700万人を運び、約3万2000便を運航してきたという数字は、日本市場との関係の深さを物語っている。

「15年間、日本に飛び続けてこられたことは、私たちにとって非常に誇らしいことです。今は、その歴史の上に次の段階を築くタイミングだと感じています」

そう語るバーケット・ラコウ氏にとって、この節目は記念年というだけではない。2024年のアラスカ航空グループとの経営統合という大きな転換点も重なったからだ。規模の拡大は、私たち旅行者にとっての変化も意味する。

「いま一番強く感じている責任は、ハワイアン航空がアラスカ航空グループの一員になることが、『お客様にとって良かった』と実感してもらえる形にすることです。そして同じように、従業員にとっても良かったと言ってもらえること。それが私の使命です」

アラスカ航空とハワイアン航空はいずれも90年以上の歴史を持つ航空会社。統合後は一つのオペレーションとロイヤリティプログラムを共有することになった。

「大きくなることで、投資できる範囲は確実に広がります。フライトも増え、ロイヤリティプログラムも拡張できます。でも同時に、ハワイアン航空のブランドとしての独自性であるハワイとのつながりや、受け継いできたヘリテージは必ず守らなければならない。そこに最も大きな責任を感じています」

統合で変わる3つの領域

ハワイアン航空とアラスカ航空の統合による変化を、バーケット・ラコウ氏は「3つの領域」に整理する。

第一は、ネットワークの拡大。現在、日本からは羽田―ホノルルが1日2便、関西―ホノルルが1日1便、成田―シアトルが1日1便。アラスカ航空の路線網と組み合わさることで、北米各都市への接続がよりスムーズになった。

「2社の路線網が組み合わさることで、より広いネットワークを提供できます。航空機の配置も柔軟になり、運航の効率も高まります」

昨今は、日本からシアトル経由で北米各都市へ向かうビジネス需要も回復傾向にあり、利便性を実感する利用者はさらに増えそうだ。

第二は、ロイヤリティプログラムの進化。両社のプログラムを統合した新しいマイレージ制度の導入、さらに2026年にはoneworld加盟が予定されている。

「多くの加盟航空会社でマイルを獲得・利用できるようになります。選択肢が広がることは、日本のお客様にとっても大きなメリットになるはずです」

ハワイアン航空 CEO

そして第三が、体験価値への投資。今後5年間で総額6億ドル超を投じる計画のもと、機材や客室、空港施設の刷新が進む。

日本路線で使用されるA330型機では、ビジネスクラスをスイート仕様へ刷新。そして、新たなプレミアムクラスキャビンを導入。新しい食事も取り入れ、機内エンターテインメントのシステムも強化。さらに、ホノルル空港ラウンジの刷新も予定されている。

「私たちが目指しているのは、すべてのゲストにとって『ワンランク上の体験』を提供することです。温かいホスピタリティ、機内サービス、そしてハワイならではの体験を。さらに、価格帯や旅のスタイルに合わせた選択肢も増やしていきたいと考えています」

利便性の向上だけでなく、移動時間そのものをより豊かな体験へと変えていくための投資となると語る。

守り抜くハワイアン航空らしさ

統合の話題のなかで、バーケット・ラコウ氏が強調して語っていたのは「ハワイアン航空らしさ」を守ることだった。

「ハワイアン航空は、『アロハで人と人をつなぐ』ことを大切にしてきました。飛行機に一歩足を踏み入れた瞬間から、そこにはもうハワイがあります。クルーの温かいホスピタリティ、ローカルの味、音楽、ハワイ語のアナウンス。それらは私たちの文化そのものです」

2026年2月のハワイ語月間には、羽田―ホノルル便でハワイ語を取り入れた特別フライトを実施。さらに、3月からはホノルルの人気シェフ、デル・ヴァルデス氏が国際線ビジネスクラスの機内食を監修する。

「私たちはアラスカ航空グループで一つのチームになりますが、ハワイアン航空はこれからもハワイアン航空であり続けます」

つまり、統合したこれからも、ブランドはそれぞれ独自性を保つ。規模が拡大しても、文化はそのまま。その姿勢がブランドの軸になっていくのだろう。

Mauka Concourse 2022

多様性と「備える」リーダーシップ

2025年10月、バーケット・ラコウ氏はハワイアン航空初の女性CEOに就任した。これまで政府、医療、そして航空業界など、キャリアは一直線ではなかったそうだ。現在の立場についてたずねると、笑顔を見せてこう答えた。

「私が常に心がけてきたのは、自分が興味を持てる仕事を選ぶこと、そして新しい可能性にオープンでいることです」

ハワイアン航空 CEO

また、リーダーとして重視しているのは、安心しすぎない姿勢だという。

「航空業界で最も重要なのは安全です。そしてリーダーとして大切なのは、一つの正解に安住しないこと。常に予測し、備え、学び続けることだと思っています。そして、旅行の多くは女性が意思決定に関わっています。だからこそ、組織の中にも多様な視点が必要なのです」

同社では取締役会の約45%が女性で、女性パイロット比率は10%超(米国平均より高水準)。多様性は理念ではなく現実の数字として示されている。

より良い体験提供へ

「15年間の歩みに心から感謝しています。そして私たちは、これからも日本市場に長期的にコミットしていきます。ハワイアンらしさを守りながら、統合によってさらに強くなり、より多くの選択肢と、より高いゲスト体験を提供していきたいと考えています」

2020年以降、日本からの渡航者数は一時的に減少したが、年末年始やゴールデンウィーク、夏休みなどの長期休暇シーズンには予約が集中するなど、着実な回復が見られている。多くの日本人にとって、ハワイは今も変わらず特別な旅先だ。

ハワイへ、そしてその先へ。

拡大するネットワークと、変わらないアロハの精神。その両立を掲げて進むハワイアン航空から、これからも目が離せない。

text: Tomoko Komiyama photo: Tomoko Hagimoto

お問い合わせ先

ハワイアン航空 https://www.hawaiianairlines.com/ja-jp/

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