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'我が家のジンファンデルたち。数か月前に撮影したこの写真を撮り直そうと思ったら、大半を飲んでしまっていてかなわなかった(撮影・高橋直彦)'

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我が家のジンファンデルたち。数か月前に撮影したこの写真を撮り直そうと思ったら、大半を飲んでしまっていてかなわなかった(撮影・高橋直彦)

【what to do】ジンファンデルを選ぶべき理由について、非ワイン通が知っている二、三の事柄

”what to do”は知的好奇心あふれる『マリ・クレール』フォロワーのためのインヴィテーション。今回はワインを取り上げる。注目したいのがカリフォルニア名産のジンファンデル。ワイン通の間で話題になる機会は少ないが、実は多彩な魅力があり、最近のマイブームでもある。家庭での食事に合わせやすく、価格もリーズナブルなものが多い。それに休日の午後、運動後に飲る、冷えたホワイト・ジンファンデルの爽快さといったら!

たわわに実ったジンファンデル。地域によって造られるワインのスタイルはさまざま(カリフォルニアワイン協会提供)

ワイン通の話題にはあまり上らないけれど……

アメリカ人がBBQの時、スーパーで買ってきて飲むワインだよね――。フランスの知人がジンファンデルについてそう話す。その話し方がいやらしい。赤ワイン用のブドウ品種といったら、カベルネ・ソービニヨン、メルロー、そしてピノ・ノワールあたりが「ワイン王国」出身の彼らの相場で、「アメリカで飲まれているジンファンデルなんて」とでも言いたそうだ。実際、身近なワイン通と話していても、ジンファンデルが話題に上ることはほとんどない。

ところが、正直に告白すると、ジンファンデルが大好きだ。プラムのジャムをそのまま液体にしたような濃厚なワインから、ブルゴーニュの特級畑のピノ・ノワールと間違えそうな繊細なものまで実に多彩。マーボー豆腐やビリヤニのようなスパイシーな料理にも合うし、甘いタレをたっぷりとまとった焼き鳥とも相性がいい。ハンバーガーやピザなどのファストフードともいける。試したことはないけれど、鰻の蒲焼きとだって、きっと合うはずだ。

ワインのスノビズムにうんざりの人にもおすすめ

しかも、造り手を選り好みしなければ、2000円前後で、その魅力を十分味わえる。もちろん、テロワールの持ち味を注意深く引き出し、手間暇かけた高級なジンファンデルもあるが、概して「お高く」とまっていないのがいい。味わいの好き嫌いはともかく、ワイン通のスノビズムにうんざりしている人にもおすすめできそう。カベルネにしてもピノにしてもワインを飲み慣れていれば大体味わいを想像できるが、ジンファンデルはいい意味で期待を裏切ってくれる。

カリフォルニアで優れたジンファンデルのワインを造ることで知られるリッジ・ヴィンヤーズの畑。ヘッド・プルーニングの株が整然と連なる(Ridge Vineyards提供)

ジンファンデルは飲む人を選ばない。カジュアルで、プラグマティックなアメリカで、「明朗」とでも形容したくなるジンファンデルが長年愛飲されてきたのもうなずける。カリフォルニアでは1990年代に赤ワイン用ブドウの作付面積が最大だったこともある。当然、アメリカ固有の品種だと思っていたが、DNAを解析したところ、イタリア南部のプーリア州(イタリア半島のかかと部分)で造られているプリミティーヴォと同じなのだとか。19世紀前半にヨーロッパから持ち込まれ、株仕立ての際に支柱やワイヤーを必要としないヘッド・プルーニングで安上がりに栽培できることもあってカリフォルニアで作付けを広げた。

イタリアの温暖な地域の要素が詰まったプリミティーヴォ。自宅にあった。これはこれでおいしい(撮影・高橋直彦)

イタリアにも”ジンファンデル”があるらしい

ジンファンデルとプリミティーヴォも両方飲んだことがあるが、恥ずかしながら同じ品種から造られたワインだとは気が付かなかった。地中海の温暖な地方で造られるプリミティーヴォの方が概して酸味が際立ち、どっしりしているような気がする。クロアチアのツールイェナック・カステランスキーという品種とも同じことも分かっている。まあ、地域の気候や土壌などによって、同じブドウ品種から造られたワインでも、味わいは大きく異なってくるのだろう。だから、ワインは面白い。

愛飲しているホワイト・ジンファンデル。自宅近くの量販店の特売で「2本1100円(税込み)」で売っていた(撮影・高橋直彦)

ホワイト・ジンファンデル、甘いですけど、それが何か?

さらに「ホワイト・ジンファンデル」と呼ばれるブラッシュ(ロゼ)ワインもやけに楽しい。黒ブドウのジンファンデルを醸造する過程で、果汁が美しいピンク色になったところで果皮を引き上げて発酵させる。やや甘口で、スイカジュースのようなさわやかな風味がある。造り手によっては、口に含んだ時にフリザンテのワインのような微炭酸の刺激のあるものも。アルコールの度数も赤に比べて低めで飲みやすいものが多い。これを何もすることのない休日の夕方、自宅近くを10キロほど走って、シャワーを浴びてから飲る時の幸せと言ったら! ただ、ホワイト・ジンファンデルを常備している酒販店が少ないのが残念だ。ワイン専門店で「ホワイト・ジンファンデルありますか?」と尋ね、ソムリエのバッジを付けた店員から「(そんなもの)ありません!」と自信たっぷりに言われたこともある。価格も1000円しないものが多く、デザートにも合いそう。店に置いておけば結構売れると思うのだが……。

関連情報

Profile

高橋直彦

『マリ・クレール』副編集長。自宅に小さなワインセラーを備え付けているが、貴重なものはほぼない。仮にあってもすぐに飲んでしまう悪い(?)癖。庫内はスカスカで、代わりにこの夏はスイカや野菜を冷やしておくことが多かった。

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