×

【ル・クルーゼ】290回を超えるテストで究極の茶碗蒸しに到達! 藤﨑聡子のémoi style (エモワ スタイル)

ワインジャーナリストの藤﨑聡子が送る「émoi style (エモワ スタイル)」。なるほど、これは面白そうと思わせてくれる意外な発見や情報をご紹介する連載。290回を超える茶碗(ちゃわん)蒸し作りから学んだ器選びのコツを見つけ出す。

ビギナーズラックで成功した茶碗蒸し作りはル・クルーゼのおかげ

2023年11月、とあるシャンパンメゾンの醸造最高責任者が来日、ニューアイテムのシャンパンをテイスティングしながら豆腐と出汁とのマリアージュを勉強する会が開かれた。シャンパンのテイスティングではあったが、この時脳天を突き破るおいしさだったのが茶椀蒸しだった。

まったく気にもしたことがなかったメニュー・茶椀蒸し。翌日このおいしさを再現しようと思い手順や方法を調べた。材料もそろえた。そこで気づいたこと。器をどうするか。そこは盲点だった。今まで作ったことのないメニューゆえそのようなものはない。

その時キッチンをひっくり返して発見された大量の「蓋つき」の食器はル・クルーゼ ミニ・ココットだけだった。見つけたら購入!を繰り返し全く使用していなかった。なぜこんなに購入してきたのかわからないが、「蓋つき」食器はこれしかない。とにかく茶椀蒸しが作りたくてたまらなかった。

1925年に誕生したオレンジカラーの定番ココット・ロンドをモチーフにしたミニ・ココット ¥4,400

ビギナーズラック、という言葉通り素晴らしくつややかでなめらかな仕上がりの茶碗蒸しができた。でも改良の余地はたくさん残っている。今回は「す」が立たなかったけれど、「す」が立つ理由ってどのくらいあるのか? 蓋のしまり方って大事なのではないか? 食材の組み合わせってどうなのか? 出汁と卵を合わせる順番を意識するべきか? 等々初めてのことだけに考えるべき課題が山積みに。

何から手をつけていこうか。いろいろ考えた結果、初心者ゆえ器を変えて試すことはやめようと思った。何かひとつ共通していることがないと何がダメなのか分からなくなるからだ。このロジックで、私は器を変えずに計算しながら挑戦していくことを決意した。ル・クルーゼ ミニ・ココットは初心者が作る茶碗蒸しでもきちんと仕上げてくれたからだ。

50回目くらいだったか、なんとなく「蒸し」の感覚がつかめてきた。このミニ・ココットの蓋をじっくり観察、器にぶつかる縁の部分は完璧に密閉されていないことがわかった。ということは蒸気が茶碗蒸しの液面と蓋のわずかな隙間を対流できている、この空間ができるから常に空気が動けるのかも、と思った。密閉ではない、本当にわずかな隙間、それが蓋の縁全体に均一に施されている。これは茶碗蒸しをきれいに完成させる重要なポイントなのではないかと感じた。

デザート使いにも映えるセンスのよさ

器選びは細かいこだわりを見つけ出し理解すること

ある日、ようやく他の器で茶碗蒸しを作ろうと思い立った。80回目くらいだったと思う。私の注目ポイントは「蓋」の重要性である。それを手掛かりに台北出張の際、食器の街を訪問、100店ほど見て回った。中華圏だし蒸し料理多いし、絶対何かあるはずという思い。しかし望みはかなわなかった。微妙に隙間が多い。一目見てわかるほど。うーむ、これは私のテクニックではきれいな表面の仕上がりとプルンとした食感が可能ではないかもしれない。その確率の方が高い。ゆえにこの時は断念した。

茶碗蒸し製作150回目くらいのタイミングに京都で偶然器を発見。蓋とベースの器とのバランスが期待通りだった。即購入。帰京してすぐに挑戦した。本来ならできるはずだと思う。作ることはできたが、私がこの器でル・クルーゼ ミニ・ココットのような仕上がりになる茶碗蒸しを作れるようになるには相当時間がかかると思った。

なぜならこの150回、ル・クルーゼでしか茶碗蒸しを作ったことがなかったから。ここで器の厚みと火加減、そして蒸し時間のバランスを研究する日々が始まる。これは器が変わるとすべてが変わる。茶碗蒸しってそのくらい繊細なものなのだと気づかされた瞬間でもあった。

現在、日本にいる時はほぼ毎日茶碗蒸しを作り続けている。間もなく作り始めて1年8か月、290回を超えると思う。パートナーはル・クルーゼ ミニ・ココット。料理をしていて完璧な仕上がりが約束されているというのは本当に気持ち良い。しかもなぜか10個以上あるので色を変えて楽しむ余裕も出てきている。よって他の器に浮気をするのはやめた。せっかく自分の中に茶碗蒸しとル・クルーゼのミニ・ココットの黄金比ができているのだから。それをさらに完璧なモノにしたいのだ。

フランス本国ではこのチェリーレッドが一番人気

information
ル・クルーゼ ジャポン
https://www.lecreuset.co.jp/

text: Satoko Fujisaki

エルメスに学ぶ14㎝プレートの美学【藤﨑聡子のémoi style】
イタレッセ・プリヴェのグラスがシャンパンを美味しくする【藤﨑聡子のémoi style】

Profile

藤﨑聡子


ワインジャーナリスト・撮影構成ディレクター。世界中の食とワインのペアリングについて編集者歴25年以上ならではの目線で追求し続けている。わかりやすい言葉をつづることで長年のファンが多い。SM Entertainmentグループの韓国を中心としたカルチャー情報サイト・PIVImではスーパーバイザーとしても活躍中。
pivim.jp

リンクを
コピーしました