深川窯への起点となる長門湯本温泉に、新たなホテル「SOIL Nagatoyumoto」が開業
萩焼の作家が集まる深川窯 への起点となるのは、山口県最古の温泉街、長門湯本。地方創生の先駆事例として全国から注目を集める温泉街に、今春 、絶景サウナやレストランを備えるホテル「SOIL Nagatoyumoto」が開業した。客室でも楽しめるオリジナルの萩焼や、オプショナルで主催する窯元見学ツアーなど、深川窯への導線ともなる「SOIL Nagatoyumoto」を紹介する。
行政×地元事業者が公民連携で再生した、長門湯本温泉
2020年にリニューアルオープンした「恩湯」。ガラス張りの休憩スペースも併設。建物が泉源の真上に立っているため、入浴時に、岩盤から湧き出る温泉を見ることができる、全国でも珍しい自然湧出泉をもつ温泉施設
「恩湯(おんとう)」を街のシンボルとする、長門湯本温泉。
600年の歴史をもつ温泉街はかつて、昭和の観光ブームで団体バスが行き交い、1983年には年間39万人の宿泊者数を記録したが、現代の旅行スタイルの変化や人口増加時代の終わりから、宿泊者数が大きく減少。2014年には老舗ホテルの廃業で年間18万人まで落ち込んだ。
老舗ホテルの廃業を契機として行政と地元事業者が公民連携のもと温泉街を再生しようと「長門湯本みらいプロジェクト」を発足させたのは、2016年のこと。
音信川(おとずれがわ)にせり出すようにしつらえた川床テラス
語り尽くせぬほどの紆余曲折を経て、この取り組みは地方創生大賞やグッドデザイン賞、土木学会デザイン賞最優秀賞、土地活用モデル大賞の最優秀賞(国土交通大臣賞)などを次々に受賞。全国的に注目を集める温泉街となった。
6階にリバービューサウナを有する「SOIL Nagatoyumoto」開業
2025年3月15日、音信川添いに開業した6階建ての「SOIL Nagatoyumoto」
そして今春、130年の歴史に幕を閉じた老舗旅館「六角堂」の地で、その想いを引き継ぎつつ開業したホテルが、「SOIL Nagatoyumoto」だ。24の客室以外に、絶景サウナやレストラン、アクティビティセンターなどを備える。
客室は、3人まで宿泊可能な「ツイン・ダブルルーム」や、ファミリーや友人など最大4人まで宿泊できる「グループルーム」、「スイートルーム」のほか、ドミトリースタイルの「ボックスグループ」まで、さまざまなタイプを設けた。
最大3人まで宿泊可能な「ツインルーム」(1室26,290円~)。こちらはリバービュータイプ
客室の壁に飾られたアート作品は、「坂倉善右衛門窯」十代 坂倉善右衛門氏が作陶した萩焼。「SOIL Nagatoyumoto」の客室のテーマである“間(あわい)”に合わせて、形や色のニュアンスを一つ一つ変えているそう
最上階の6階には、「リバービューサウナ」を設置。眼下に流れる音信川のせせらぎと美しい景観を眺めながら、心身を整える特別な体験が約束されている。
サウナは日帰り利用も可能。料金は90分1,500円(宿泊客は無料)。宿泊客は「恩湯」を何度でも無料で利用できる
これほどに絶景のサウナを設えながらも、温泉施設をあえてホテル内に併設しなかった理由は、長門湯本温泉全体が掲げる「オソト天国」というテーマにある。音信川をのぞむベンチや飛び石、幻想的なライトアップ、レストランやカフェなど、客室を飛び出して温泉街を思い思いにたのしんでもらうことで街と共生していこうという、「SOIL Nagatoyumoto」の心意気だろう。
「SOIL Nagatoyumoto」オリジナルの萩焼のマグカップ
各客室でのティータイムにたのしめる、坂倉善右衛門氏作のマグカップ
また、今回の開業に際し、「SOIL Nagatoyumoto」オリジナルのマグカップを、深川窯で坂倉善右衛門氏が作陶。
「客室のテーマである“間(あわい)”に合わせて、色味も柔らかく、フォルムも緩やかで、あたたかなグラデーションになるよう意識しました」と善右衛門氏。「SOIL Nagatoyumoto」の1階ショップでは、マグカップとともに、モダンな湯呑みも販売中だ。
こちらは坂倉善右衛門氏作のモダンな湯呑み
「SOIL Nagatoyumoto」では、オプショナルのアクティビティとして、「萩焼の窯巡り」も主催。客室のアートやマグカップで萩焼に興味を持った人は、窯巡りを通して、作り手のストーリーに触れてみるのもおすすめだ。
text: Aki Fujii photo: Masayo Ito
知って、使って、選べる萩焼。全国から注目を集める山口・長門湯本で出逢う「深川萩」とは?