いにしえの面影を感じる台北と北部の街へ
2025.4.2
歴史が息づく街並み、異国情緒漂う港、山間に佇む幻想的な町。台北とその周辺には、時を超えた美しい風景が広がる。ノスタルジックな風景に、今の台湾を感じて。
2025.4.2
歴史が息づく街並み、異国情緒漂う港、山間に佇む幻想的な町。台北とその周辺には、時を超えた美しい風景が広がる。ノスタルジックな風景に、今の台湾を感じて。
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台北から電車で約40分。かつて貿易の拠点として栄えた街には、日本統治時代の建築が今も点在。潮風が心地よい基隆は、どこか懐かしい港町の雰囲気が漂う。基隆といえば、市場や海鮮料理の店が軒を連ね、新鮮な魚介を味わうのも旅の醍醐味。以前は夜市の屋台が注目されていたが、近年は海辺の公園が整備され、台北から気軽に訪れられる観光地として魅力を増している。
そんな美しい港町を一望できる絶好のビュースポットが、山上の基隆中正公園。公園の最高点には高さ22.5メートルの白い観音像がそびえ立ち、その展望台からは街並みと海が一望できる。とりわけ、夕暮れ時に港がオレンジ色に染まる光景は、思わず息をのむほどの美しさだ。
さらに足を延ばせば、台湾屈指の絶景スポット、野柳地質公園も。風と波が生み出した奇岩群は、まるで自然が創り出したアートのよう。港町のレトロな風景とダイナミックな自然、どちらも味わえる北部台湾へ、ショートトリップに出かけてみては?

山あいに広がるレトロな街並みと、夕暮れとともに灯る赤い提灯。そのノスタルジックな風景を求めて、多くの旅行者が訪れる九份。小さな村は、1989年の映画『悲情城市』の舞台となり、一躍有名になった。
かつて金鉱の町として栄えた九份には、当時の建物や石畳の坂道が今もそのまま残り、どこか懐かしい空気が漂う。メインストリートの基山街には、個性豊かな土産屋やローカルグルメの店が並び、歩くだけで旅気分が高まる。迷路のような路地を進み、階段を登ると、その先には青い海が。夢中で歩き疲れたら、風情ある茶屋で台湾茶を味わいながら、ひと休みするのもまた贅沢な時間だ。
日が暮れると、提灯の灯りがともり、一帯は幻想的なムードに包まれる。まるで映画のワンシーンのような情景を、心に刻みたい。

迪化街は、歴史とトレンドが交わる独特のエリア。19世紀後半に建設されたバロック様式の建物が多く残り、日本統治時代以降は漢方薬や乾物、布問屋の問屋街として栄えてきた。そんな伝統的な街並みに、近年、スタイリッシュな雑貨店やカフェが続々とオープン。買い物や散策が楽しいスポットへと進化している。
ここはお土産探しにもぴったり。可愛らしいパッケージのお茶やドライフルーツ、職人が手がける台湾雑貨や茶器、オーガニックのコスメが並び、どれも魅力的でつい手に取ってしまう。
朝のゆったりした時間を楽しむなら、大稻埕慈聖宮の前に広がるブランチスポットへ。廟の前の広場には、麺粥や魯肉飯の屋台が並び、地元の人たちがのんびりと、朝のひとときを過ごしている。古き良き文化と洗練されたセンスが共存する下町で、ゆったりと街歩きを楽しもう。

1952年の開業以来、台北のランドマークとして君臨する 圓山大飯店(グランドホテル)。丘の上にそびえる、赤と金を基調とした宮殿風の壮麗な建築は、どこから眺めても圧倒的な存在感を放つ。
台湾初の5つ星ホテルとして、時のトップ・蒋介石の夫人 宋美齡氏によって建てられ、これまでに数多くの要人を迎え入れてきたこのホテルには、長く隠されていた秘密があった。それが、地下に隠された「脱出トンネル」だ。1973年の改修時に完成したものの、一度も使われることなく封印されていたが、近年になってそのベールが解かれ、一般公開されるようになった。
見学ツアー(有料・予約制・日本語ガイドつき)に参加すれば、歴史に彩られたエピソードを聞きながら、トンネル内部を歩くことができる。追跡を逃れるために設けられた複数のカーブ、音の反響を抑えるための凹凸加工が施された壁面……。細部にちりばめられた工夫に好奇心がくすぐられる。
もちろん、このホテルの最大の魅力は、クラシカルで優雅な空間そのもの。伝統と格式を感じる館内をじっくり堪能した後、秘密のトンネルを巡る。そんな非日常の冒険は、台湾の旅をいっそう思い出深いものにしてくれるだろう。

text: Kazumi Serizawa
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