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ハーブと漢方でケアをする。薬草薬店「ドラッグストア フィトリート」ができるまで

フランスではちょっとした不調を感じた時の駆け込み寺として、ハーブ薬局(エルボリストリ)が存在する。相談をすると、心身のコンディションをととのえるハーブティーや精油を提案してもらえるのだ。薬剤師でフランス植物療法士のガロン カオリさんはパリの老舗薬草店「エルボリストリ デュ パレロワイヤル」で4年間働き、帰国後の2022年に日本でもエルボリストリの機能を持つ場所作りを目指して「ドラッグストア フィトリート」をオープン。その道のりをたずねた。

植物の力を用いるセルフケアに目覚めて渡仏

──およそ200種類ものハーブを扱い、漢方薬もそろえる。植物由来のアイテムに特化したドラッグストアを立ち上げるまでの経緯を教えていただけますか。

フランスの植物療法と日本の伝統的な漢方を受け継いでいきたいという思いからです。私がこの世界に魅せられたのは、国内の薬局勤務をしていた頃にさかのぼります。店頭の片隅にハーブや精油が陳列されていたんです。ハードに働く日々の中で、植物がもたらす香りに癒やされて。いろいろと調べるうちにフランスにルーツがあると知りました。

──原点に触れるためにフランスへの留学を決意されたのですか?

学ぶならば本場を見たいと思ったからです。資金をためるためにがむしゃらに働きました。日中は管理薬剤師として職務をこなし、夜間は病院の救急外来で仕事をしていました。体力のある20代半ばということもあり、無理がきいていました。でも、心療内科に行って、無理をしていることに気がつき目が覚めたんです。そこからは仕事をセーブし、日常的にハーブや漢方でメンテナンスをするようにしました。ただ、私のようにすぐに切り替えられるとは限らないですよね。また、頑張らざるをえない状況の方もいる。そういう方々に寄り添えるような存在になりたいと考えました。あと、フランス語にのめり込めたのも大きいです。

──習得の難易度が高い言語を楽しめるなんて、フランスに呼ばれていますね。

それまでは薬やハーブの知識を詰め込む勉強をしていました。それぞれの世界は豊かではありますけれど、視野は狭くなっているかもしれないという危機感がありました。フランス語を学ぶことでいろんな文化に触れられるような気がしたんです。シニカルなコメディもすごく面白いし、別世界に連れていってくれるから。植物療法の現場で働くには日常会話だけでなく、専門用語が理解できるレベルに達していないといけません。その目標もあったので貪欲に吸収していました。そうして30歳の時にフランスへと渡りました。

──そうして、パリ第5大学で植物療法専門講座を学び、薬草店「エルボリストリ デュ パレロワイヤル」で働くことになります。

熟考を重ね「エルボリストリ デュ パレロワイヤル」に日本人向けのイベントがしたいとメールを送ったんです。そうしたらすぐに「限定したイベントではなく、働いてほしい」という電話をいただき、採用が決まりました。怒涛(どとう)の日々の幕開けです(笑)。カウンターには毎日行列ができているんです。それぞれの悩みを聞いて症状に応じたハーブや精油などを紹介していきます。その内容はダイエットから重篤なものまで幅広く、専門的な言葉も多かった。植物療法士としての知識はもちろんのこと、語彙(ごい)力も鍛えられましたし、即決力も磨かれました。すごくいい経験になっています。

日々のメンテナンスがカラダをつくる

──2021年に帰国し、翌年には神宮前に「ドラッグストア フィトリート」を開きます。パリへ渡った頃から計画されていたのでしょうか?

実は戻ってくるつもりはなかったんです。このまま現地で過ごすつもりでいました。それが妊娠とコロナ禍で一変します。4年間勤めた「エルボリストリ デュ パレロワイヤル」を退職し、ロワール地方へと移りました。

──大きな決断を下されましたね。

ロックダウンと出産で知らぬ間に気持ちが張り詰めていました。自然豊かな環境に身を置くにつれて平常心を取り戻し、間もなく日本人向けのオンラインカウンセリングやオンラインセミナーを始めます。調合したハーブをフランスから発送していたんですけれど、予想よりも多くの方が興味を持ってくださって。だったら東京に戻って、日本でもエルボリストリでやっていることができる場所をつくろうと思ったのです。

──そうして植物の個性を活かす相談型薬店が生まれたわけですね。こちらに並ぶハーブはフランス産が中心なんですか?

産地はさまざまですが、半分以上をフランスから輸入しています。信頼のおける日本の生薬メーカーの品も扱っていますが、基本的には顔の見える付き合いがあるところにお願いをしています。

──メディカルの視点を持つガロンさんに話を聞いてもらえるのは、とても心強いです。カウンセリングはどのように進めるのでしょうか?

まずは改善したい状態やハーブに期待することをはじめ、普段のハーブの取り入れ方などをお伺いしています。体質や生活習慣などを聞き取り、性格も加味して、バランスをとってくれるハーブを独自の調合理論で10種前後ブレンドします。なかでも私は「香り」」と「味」を重視していますね。体調を改善するためには必要であっても、飲む方の嗅覚がNOを出していたら意味がないので。好きだと感じる方がいいですし、おいしくないと続きませんよね。

──ハーブの調合と聞くとどうしても構えてしまうところがあったので、安心しました。

むずかしく考える必要はないんです。メンテナンスとして毎日飲むも良し、運動時の渇きを潤すドリンクとしてもいいですし、ひと息つくときの一杯とか、生活になじむ方法で楽しんでもらえれば。そうやって習慣を積み重ねていくことで、徐々にととのえられていきますから。

photo: Genya、interview & text: Mako Matsuoka、Edit: Mio Koumura

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ドラッグストア フィトリート
住所:東京都渋谷区神宮前4-26-27 ルシード神宮前 1F
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日、月曜
https://dgsphytreat.com/

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