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柚木麻子、人生の転機になった会社の先輩の一言「小説家になるといい」

「とりあえず外に出て、外を知る」女友達から受けた影響

オープンマインドで、切れ味鋭い軽快なトーク。柚木さんの話には、作家仲間だけでなく多くの友人が登場する。ラーメン作りやボイストレーニングなど、興味あることはすぐにトライする精神も、友人たちの影響が大きいとか。

「『作家になれ』って言ってくれたS先輩は、プランナーとしてすごく優秀なんですけど、すぐにどっか行っちゃうんですよ。企画室でくよくよ考えない。流行っている店の客層を見たり、新作のお菓子を全部買って食べ比べたり。すぐ外に出ていくのは、S先輩の影響があると思います」

また、公私にわたって親交がある作家、山内マリコさんが読んでいる本もまた、柚木さんの視野を広げてくれた。

「私が知っている小説家の中で、山内さんほど新書を読んでいる方をほかに知りません。山内さんは『小説以外のことも知らないとダメな気がする。新書はいいサイズなんだ』と言って、たくさんノンフィクションも読んでいるんです。物語の世界を愛してはいるけれど、そうやって外を知ろうとする同世代の女性の作家に出会えたことも、私にとっては大きな経験でした」

柚木麻子 ゆずきあさこ

映画『恋人たちの予感』を丸暗記して、いざ海外へ

現在は、仕事で海外へ行く予定があるため、柚木さん流の英語の勉強にトライ中だそう。

「英語教室に通うのはムリだし、Zoomで決まった時間にオンライン英会話するのもムリ。iPhoneのアプリを使いこなして英語を勉強する自信も全くない。でも、映画を1本丸暗記するんだったらできると思ったんです。

そこで選んだのが『恋人たちの予感』(原題:When Harry Met Sally…)。メグ・ライアンとビリー・クリスタルのラブコメが以前から大好きで、なんと英語の台本も持っているという。

「メグ・ライアンが、レストランでやたらと細かく注文するところとか、覚えたところで絶対に使わない箇所もあると思うんですけど(笑)。映画を1本丸暗記したら、英語ができるようになるという実験を、身をもってやってみたいと思います」

作家・柚木麻子さん、「らしさの押し付けにNO!」実体験がベースの短編集に込めた想い
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interview & text: Akiko Yoshida  photo: Tomoko Hagimoto

Profile

柚木麻子(ゆずきあさこ)

1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『オール・ノット』などがある。Ⓒ新潮社

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