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ガーナのカカオ農家でみてきたこと

チョコレートジャーナリストの市川歩美さんは2023年11月末から112月初めにかけて、西アフリカの国、ガーナを訪れました。日本はチョコレートの原料となるカカオ豆の7割以上をガーナから輸入しています。連載の3回目は現地の報告です。

ガーナは日本最大のカカオの輸入元

日本は年間約27万トンのチョコレートを消費する、世界第3位のチョコレート消費国です(2019年、チョコレート・ココア協会)。そしてチョコレートの原料となるカカオ豆の7割以上をガーナから輸入しています。チョコレート好きなら、ガーナに感謝しなくてはなりません。日本が輸入する多くのカカオがガーナ産。この国からカカオがなくなれば、チョコレートをこれまでのように楽しめなくなってしまいます。

私たち日本人はチョコレートが大好きですが、ガーナのカカオ農家の現状をよく知りません。私たちは現実を見過ごしているのでは、と、感じていました。

カカオ農家の児童労働

カカオ農家の児童労働

私が訪れたのは、ガーナ第2の都市、クマシから車で3時間ほどの2つの村です。カカオ栽培で生計を立てる、ほとんどの家には、電気も水道もありません。

多くのカカオ農家は、小規模な家族経営です。水をくんでは運び、火をおこすために木の枝を集める――。ご自宅を訪ね、ご家族と話すと、生活のために十分な収入が得られないようで、子どもたちが家計を支える農業を手伝わざるをえない現状が、痛いほどわかりました。

ガーナ

子どもたちは、教育を受ける機会を失っていました。私が目の当たりにしたのは、児童労働は今も続いている、という現実です。2020年のデータでは、ガーナで77万人が児童労働をしていると報告されています。

ずっと教育をうけたい

一方で、学校を訪ねると、元気な子どもたちに会いました。2009年からガーナで活動を続ける認定NPO法人 ACEのプロジェクトによって、コミュニティに「子どもには教育が必要」という意識が広がり、学用品や給食が支給されていました。

ガーナ ずっと教育をうけたい

子どもたちは、学校にいるのがうれしそう。小さな女の子に、ねえ、ひとつ願いがかなうとしたらどんなこと? と尋ねたら「ずっと教育をうけたい」と言いました。

ガーナ ずっと教育をうけたい

一年中カカオを育てても、得られる収入はごくわずか、生活の苦しさがよくわかりました。しかも、カカオ栽培は重労働です。

カカオ農家の方と直接話し、必要な人に、必要な支援を届けるのがいかに大切かも、痛感しました。

ガーナ ずっと教育をうけたい

チョコレートの消費国と、カカオの生産国の間には、大きな差があります。

SDGsはイメージでもスタイルでもありません。現状はシビアです。解決策はすぐに見つからないでしょう。しかし、私たちが協力しあい、一人一人ができることを自分で考え、行動に移すのが、第一歩となります。

私の体験が、ガーナの農家のみなさんに光を当てるきっかけとなり、バレンタインがカカオ産地にも愛を送る日となることを、願っています。

text&photos: Ayumi Ichikawa 

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Profile

市川 歩美(いちかわ・あゆみ)

チョコレートジャーナリスト
日本で唯一のチョコレートに特化したジャーナリスト、コーディネーター。365日、日本国内やカカオ生産地をはじめ世界各地を取材し、最新のトレンドをメディアで発信する。チョコレート愛好家歴は約30年。

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