スタッキングチェアの名品「スツール 60」。90周年限定モデルがついにお目見え!

時流には流されないが、時をしなやかに受けとめ、そして時代を超えて愛される。暮らしを彩るそんな名品の数々を紹介する連載。今回は1933年に完成し、2023年の今年、誕生90周年を迎える「スツール 60」をご紹介。丸い座面と3本の脚からなるミニマルで美しいデザインはまさに名品の名にふさわしい。
時流には流されないが、時をしなやかに受けとめ、そして時代を超えて愛される。暮らしを彩るそんな名品の数々を紹介する連載。今回は1933年に完成し、2023年の今年、誕生90周年を迎える「スツール 60」をご紹介。丸い座面と3本の脚からなるミニマルで美しいデザインはまさに名品の名にふさわしい。
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20世紀を代表する建築家であり、デザイナーでもあるアルヴァ・アアルトがこのスツールの開発に着手したのは1920年代後半。世界中でモダニズム運動が巻き起こり、家具デザインでもスチール使いが一般的になったその時代にあって、森と湖の国フィンランド出身のアアルトは自国に自生し材料として入手可能な木を多用し、温かみのある自然素材を生かした独自のモダン家具を構想した。
多く用いたのはフィンランド産のバーチ材(白樺〈しらかば〉)であり、この強くて美しい無垢材をL字型に曲げる革新的な曲げ木技法の開発に、まずは取り組んだ。1930年代はじめに開発に成功し、当時特許を取得したこの「L-レッグ」を最初に用いたのが「スツール 60」だという。
同時期、アアルトが設計を手がけたヴィープリ(現在はロシア・レニングラード州のヴィボルグ)の図書館が竣工(しゅんこう)し、完成したばかりの公共空間に初めて「スツール 60」が大量に採用、納入された。さらに同年の1933年、ロンドンの百貨店フォートナム&メイソンで開催された展示会「Wood Only」にも出品されて好評を博し、多くの注文が入ることに。それが家具メーカーとしてのアルテック創業の契機となった。
アアルトはL-レッグを「建築における柱の妹分」と呼び、家具を支える“柱”として多くの製品に応用し、アルテックの家具デザインの基礎を築いた。なかでも「スツール 60」はアルテックを象徴する存在であり、場を選ばないシンプルで普遍的なデザインは誕生以来、世界中で親しまれてきた。
スツールとしてはもちろん、サイドテーブルやディスプレイ台としてなど、暮らしの中で自由に使いこなせる汎用性や、使わないときはスタッキング収納ができる機能性もロングセラーの秘密だ。
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