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冨永愛がいま、SDGsに向き合う理由

blouse, skirt, earring, belt: Chloé(Chloé Customer Relations)(c)marie claire/photos: Yasutomo Ebisu / hair: KENSHIN〈EPO LABO〉/ make-up: NOBUKO MAEKAWA〈perle management〉/ direction: Naoko Kikuchi / styling assistant: Haruka Kato

17歳でNYコレクションにてデビュー以来、世界のトップモデルとして活躍してきた冨永愛。同時にWFP(国連世界食糧計画)の顧問や、ジョイセフ(女性の命と健康を守るために活動している日本生まれの国際協力NGO)のアンバサダーとして社会貢献活動に携わり、2019年からは消費者庁エシカルライフスタイルSDGsアンバサダー、そして今年、ITOCHU SDGs STUDIOのエバンジェリストに。そんな彼女がいま考える、SDGsとの向き合い方について。

日常生活で最近始めたサステナブルなこと、これから取り入れてみたいことは?

毎日の生活のなかで意外と気づいていなかった!ということがいくつかあったんです。例えば食器洗い用のプラスチック製スポンジ。洗うたびにマイクロプラスチックを水に流しているんですよね。それで私はヘチマ素材のスポンジに変えました。それから、アルミホイルは、月に2回しか回収に来ない不燃ゴミを家に溜めておくのもどうかと思い、再利用できるものを使用することで、極力減らすようになりました。小さいことだけれど、こういうことを一人ひとりが心掛ければ、ずいぶん環境汚染が少なくなると思って、続けています。そして、以前実施していたけれど、再びちゃんと始めたいと思っているのは生ゴミを堆肥に変えるコンポスト。いまは種類が豊富で、簡単なキットもあるので、かなり取り入れやすくなっているみたいですね。

サステナブルファッションをリードする「ステラ マッカートニー」の新作をまとって。リサイクルポリエステル100%のエコ素材を使用したアウターとパンツは、今の気分を表すエフォートレスなデザインをモードに昇華。アウター¥171,600 パンツ¥102,300 ネックレス¥137,500 ブレスレット¥94,600 サンダル¥111,100(すべてステラ マッカートニー/ステラ マッカートニー カスタマーサービス)

ファッションにおけるサステナブルな取り組みについて、消費者側の私たちはどういう行動ができるでしょう?

まずは、サステナブルな取り組みをしているブランドや企業が生産している服を選べばいいと思います。そして簡単に捨てない、捨てるような服をなるべく買わないこと。私自身も洋服を買う前に、その服を10年着るかどうかを考えて買うようにしています。デザインもそうですが、生地自体が「10年もつのかな?」という面もチェック。そうすると服自体の単価が高いものになってしまうのですが、そのぶん何着も買わないようになりましたね。そして、いらなくなったものはドネーションやリサイクルを活用する。捨てるよりも気持ちがいいですよね。エシカルな生活をしていくことによって自分自身も豊かになれる、という視点を持つことが続けていく鍵だと思います。

ITOCHU SDGs STUDIOでは、6月5日の「世界環境デー」に先んじて、5紙の新聞に広告を掲載。エバンジェリストに就任した冨永愛が、「食品ロス」「日用品」「ファッション」「再生可能エネルギー」「サステナブルフード」の切り口でSDGsアクションを紹介した

ITOCHU SDGs STUDIOのエバンジェリストとして、このプロジェクトの意義はどういうところにあると思いますか?

まず、大企業が大々的にSDGsの拠点を作り、発信したことに大きな意義があると思います。日本はペットボトルの回収率が世界最高水準であることや、地域によってはゴミの分別が徹底しているところなど、実は細かいところでは進んでいます。でも小さな努力が大きなアクションや発信力に結びついていないために、日本は海外に比べて取り組みが遅れているように見えてしまうのだと思います。そこで、こういう大規模なプロジェクトをたくさんの企業が着手していけば、ずいぶん変わっていくでしょうね。それから、ITOCHU SDGs STUDIOの拠点である青山にオープンした「エシカルコンビニ」は、SDGsに関わりたい人たちの発信の拠点になると思いました。ここに行けば我々ができるSDGsを発見できるという場でもあるので、もっと日本全国に広がっていくといいですね。

これまでの活動を通して感じた、SDGsを進めるうえで大切なことは?

現地を見に行って知ることがいちばんだと感じています。私の体験でいうと例えば、消費量の多いパーム油の原料となるアブラヤシのプランテーションが問題になっているボルネオ島の取材。大規模農園が広がりすぎたせいで、原生林が削られてしまい、住処を失った動物が絶滅しそうだという現状を知ってショックだったこと。自然と共生している沖縄の作家の取材では、自然は人間に欠くことができないものだという気づきを与えてもらったり、ジョイセフの活動ではタンザニアやザンビアで出産における女性の死亡率の高さを、WFPの活動では飢餓に苦しむ子供たちの現状を目の当たりにしたり。結局のところ、すべてが繫っていて、ひとつの問題が自然、人間、地球に影響を及ぼすということなんですよね。SNSではなく、実際に行ってこの目で見ると、自分のことだと思うようになると思います。でも日本人はすでに知っているし、実行していますよね。震災があると寄付だけではなくて、現地へボランティアに行ったりしていますから。これからまた旅行に行けるようになったら、SDGs的な視点を持って、旅するのもいいですよね。

外出時には2個持ち歩いているという愛用のエコボトル。ステンレス製ストローも持参。「飲み物を外で買うことはなくなりましたね。少し重いけど、それくらいの努力は必要だと思っています」

日本で今後取り組むべきSDGsのアイデア、何かありますか?

いま、東京のオフィスビルはずいぶん空いているところがあると聞きました。それなら、ビル一棟をぜんぶ空にして、アクアポニックス(水耕栽培と養殖を掛け合わせた次世代の環境保全型農業)の拠点にしたらどうかと思っているんです。きっかけは先日、新潟でアクアポニックスを取り入れている農家を取材したこと。水耕栽培には興味があったのですが、化学肥料の代わりに魚のフンを肥料に使用するエコなシステムを拝見して、これを東京でやってみたいと思い、空いたオフィスビルで作れるのでは? と。今度、小泉進次郎環境大臣に会う機会があったら「ひとつ作りません?」と提案してみたいです(笑)。

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©︎marie claire/photos: Yasutomo Ebisu / hair: KENSHIN〈EPO LABO〉/ make-up: NOBUKO MAEKAWA〈perle management〉/ direction: Naoko Kikuchi / styling assistant: Haruka Kato / interview & text: Atsuko Kobayashi / cooperation: The Tokyo EDITION, Toranomon

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