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「クロエ」のガブリエラ・ハーストがCOP 26で講演「地球と未来の世代のために行動する」

(左より)ダニエル・ハム、ガブリエラ・ハースト、ダスティン・イェリン Chris Morgan Photography

「クロエ(CHLOE)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるガブリエラ・ハーストが、イギリス・グラスゴーで開かれていた第26回気候変動枠組条約締結国会議(COP 26)で講演した

一貫してサステナビリティを追求

今回、ハーストはニューヨークの高級レストラン「イレブン・マディソン・パーク」のチーフオーナー、ダニエル・ハム、現代アーティストであり非営利文化センター「パイオニア・ワークス」の創設者であるダスティン・イェリンと「ファッション・フード・アート領域におけるサステナビリティについて」というテーマでパネルディスカッションを行い、共通のゴール──地球と未来の世代にプラスとなるよう、それぞれの分野をもっと環境に配慮したモデルに変換していくこと──について意見を交わした。

ガブリエラ・ハーストは、自身の名を冠したブランドを立ち上げて以降、NPO団体と組んだ数多くの取り組みやサステナビリティに配慮した活動で知られる。2015年には農村部の女性に仕事を提供するために設立されたNPO「マノス・デル・ウルグアイ」との協業を開始。17年にはコレクション全体の30%をデッドストックのファブリックによって構成し、ショーの全ての要素が再利用というランウェイショーを実現した。さらに、20年の春夏コレクションではファッション業界初のカーボンニュートラルなショーを披露した。

また、18年には環境負荷の少ない素材を使用したフラッグシップをニューヨークにオープン。建設過程で出る廃棄物の90%をリサイクルし、店舗で使用する包装もコンポスタブル(堆肥化可能)なものを使用、店舗や倉庫でもプラスチックフリーを達成した。その後、ロンドンのメイフェアにオープンした店舗では環境低負荷型素材を使用。さら020年2月にはQRコードを商品のライフサイクルに結びつけて、顧客に対して衣服の製作工程における情報の公開を開始、ブランドの透明性を高めている。

Chris Morgan Photography

20年12月、「クロエ」のクリエイティブディレクターに就任すると、22年春夏コレクションでは使用する素材の環境低負荷型素材の割合を58%に拡大。また、「クロエ」自体もホームレス支援のための非営利団体「シェルタースーツ」や、ケニアのビーチや河川に打ち上げられたビーチサンダルをアップサイクルする事業「オーシャン・ソール」とのコラボレーションを行うなど、社会的な事業に積極的に取り組んでいる。その結果、21年10月に「クロエ」は、環境や社会に配慮した事業により、公共性が高いと認められた企業に与えられる国際的な認証制度「B Corp認証」を取得した。

パネルディスカッションで彼女とともに登壇したほかのふたりも、それぞれの活動を報告。三ツ星レストランのシェフであるダニエル・ハムは、現在の食料システムが多くの点で持続可能でないことを感じ、「イレブン・マディソン・パーク」では肉や魚などを使わないプラントベースメニューに変更したという。自身の動きを「アンチ・ミートではなく、プロ・プラネット(地球にやさしい)である」と定義づけている。

アーティストのダスティン・イェリンは、人間の世界と自然の世界がどう絡み合いネットワークを作っているかを考察。そこで紡いだストーリーをオブジェクトメイキングやアニメーション、教育学や組織形成といった活動で表現している。近年は絶滅危機に瀕した種をテーマにした教育的ARアプリ「Procession」を開発。また、現在は超巨大タンカーを使った大型作品「The Bridge」に取り組み、よりクリーンな未来を見出すことを目指している。

「たとえ私がもたらすことのできる変化が些細であれ、誠心誠意取り組んでいきます。サバイバルのために、参加するのです」と述べたガブリエラ・ハースト。「クロエ」と彼女の取り組みに今後も注目したい。

クロエ 公式HP http://www.chloe.com/ text:Takumi Hanya

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