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タイムレスな美しさを見た【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記③】

2026~27年秋冬のパリ・ファッションウィーク(パリコレ)が3月2日から10日まで開催されました。期間中、パリ市内各所でショーや展示会なども行われました。ファッションだけでなく、街で見かけた様々なモノやコトをつれづれなるままにつづります。

ロジェ・ヴィヴィエの展示会(現地時間3月5日)

ロジェ・ヴィヴィエの展示会は本社で。ドレスのように主役になる、華やかでカラフルな靴。それがゲラルド・フェローニのデザインする靴です。新作を見るたびに心が弾みます。

今回は1959年に登場したショックヒールが新作として再登場していました。このバランスのヒールを生み出したということは当時とても画期的だったはず。それがゲラルド・フェローニの感性で現代的に進化し、洗練されました。

また、ブランドの象徴ともいえる存在であるベル ヴィヴィエのバックルがサイハイブーツに。会場では、職人の手仕事をあらためて伝えるためにスタッフが実際に作業をしている様子も見られました。

前回同様、見応えがあったのがアーカイブの数々です。創業者のロジェ・ヴィヴィエが手がけた靴が展示されていました。当時としてはまさに斬新というべきデザインと色遣い。靴の世界をぐっと広げたことが見てとれます。

そして、私がいつも楽しみにしているのが会場のフラワーアレンジ。毎回、華やかで見事です。

ジュンコ・シマダ(3月5日)

ジュンコ・シマダの新作発表が今回でなんと90回目なのだそうです。浮き沈みの激しいファッションの世界で、45年にわたって服を作り続けているのはすばらしいことです。

「私の服を着てくださる人がいて、幸せです。仕事を続けられるということを神様に感謝」と島田さん。

親にパリに行くお金を出してもらった時には「3か月しかいられないわよ」と言われたそうです。でもあこがれのパリは道を歩くだけでも楽しくて、どうしたらもっといられるかを考えた末に住み込みで家事や育児の手伝いをするオペアをしたとか。

島田さんにとってパリは「家も店も、誰の助けもなく手に入れた場所。だから大切なんです」。

新作を発表する展示会も「私は身の丈にあった見せ方で。それが幸せだから」。この日、服とともに窓のところに飾ってあったのは咲き始めたモクレンの枝。自宅の庭のモクレンを切ってきたのだそうだ。「春らしくていいでしょ。芽が出て花が咲いて。人生が始まるみたいで」

84歳の今もパリと日本を行ったり来たり。長年フランスで生活してきたからなのか、どこかコケティッシュな雰囲気。白い髪をふわっと結い上げ、ファッションに関しても自分のスタイルを持っていて、とにかくすてきなのです。

アズディン・アライアギャラリー(3月5日)

「ラ ギャラリー ディオール」で開催されていた展覧会で「ダブル・エキシビション」と書かれていたもうひとつの展覧会が、アズディン・アライア財団で開催されている「ふたりの巨匠」という展示でした。ふたりとはクリスチャン・ディオールとアズディン・アライアです。服のコレクターでもあったアライアが収集した服の中から、「ニュー・ルック」を生み出したクリスチャン・ディオールと、そのアトリエで短期間ながら修業したアライアのクリエイションの神髄を見せたものです。

世代が違うふたりの作品を対比するように並べて展示してあると、どちらの服も美しい。ウエストを絞り込むスタイルなどは、アライアがいかにディオールのスタイルに大きく影響を受けていたかがわかります。ただ、一点一点見ていくうちに、どちらのデザイナーの作品かわからなくなる瞬間がありました。これが時代を超えた美しさというものなのかもしれません。

この財団がある場所はかつてのアライアのアトリエでした。アライアはスタッフらと食事も共にしながら服作りをしていたそうです。アトリエの当時の様子も残されています。

text : Izumi Miyachi

こんな時代だからこそ美しいものを見たい【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記①】
ショーの会場が多彩!【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記②】

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