週末は、「NIESSING GINZA(ニーシング銀座)」で名残の花見を
葉桜も終わりを告げ、寂しい気持ちになっている頃。銀座にあるドイツの名門ジュエラーのブティックで春の息吹を感じるアート×ジュエリーのイベントを開催。出雲大社にも奉納されている作家の作品を目にして、ブティックを一歩出た後には、きっと温かな幸福感に包まれる体験を、ぜひお見逃しなく。
葉桜も終わりを告げ、寂しい気持ちになっている頃。銀座にあるドイツの名門ジュエラーのブティックで春の息吹を感じるアート×ジュエリーのイベントを開催。出雲大社にも奉納されている作家の作品を目にして、ブティックを一歩出た後には、きっと温かな幸福感に包まれる体験を、ぜひお見逃しなく。
銀座一丁目に、白壁に三角と丸の窓が開いた、一見ミュージアムか和菓子店のような一軒があるのをご存じだろうか。 実は、こちらは2024年7月に“Organic & Harmony(オーガニック&ハーモニー)”をコンセプトに誕生した、バウハウスの潮流を汲(く)んだドイツのジュエリーブランド「ニーシング」のブティックなのだ。

4/21(月)まで、コンセプトにふさわしく、春の終わりのひとときに、生命や自然を崇拝する精神性の高い透明な作品作りを行う伊藤咲穂さんによる“咲み(えみ)”と題した展示会を4月21日(月)まで開催している。

ブティックに足を踏み入れて、最初に目を引くのは「桜の慈雨」という作品。
ほんのりと色づくピンクの奥に見え隠れする色や気配に語りかけられるようで、思わず足が止まる。
「表現したのは、厳しい冬を乗り越え、春を迎えた生命と乗り越えられなかった生命、すべてを象徴する存在としての桜。日本人のスピリットとしての桜です」と伊藤さんは語る。
奥行きを感じる理由は、2層になった和紙で構成された作品だからとのこと。
伊藤さんは、大学で独自に和紙を研究した後に、1年間、故郷である島根県の石州和紙の工房で、原料となるこうぞを育てるところから職人体験をした経歴を持つ。
「自分で漉(す)いた和紙に、日本画のテクニックを融合させています。2層の和紙を組み合わせて、そこに和紙を漉く技法にある“落水”という技法を使って水滴を落とすことで、下層の和紙の色が見えるようにしています。岩絵の具も使い、ピンクをベースに緑青や群青の色を加えながら、“朦朧体(もうろうたい)”という日本画にある技法を目指しました」
「朦朧体」とは、明治時代に確立された日本画の技法だそうで、抽象画に近く、輪郭線は使わずに色彩をぼかしたり重ねることで光や空気を表す手法とのこと。
横山大観や菱田春草などが好んで使用していたようだ。 じっと見ていると、抽象的なのに、蝶々(ちょうちょう)が飛んでいるような光景や春雨の中に佇(たたず)む柳の桜の姿が浮かんできた。そのことを伊藤さんに伝えると、「目にする人の心にある春が投影されるとうれしい。色々な人生の春があるように、皆違う光景が見えるのではないでしょうか」。

もう一つ、奥にある情熱的な真っ赤な作品にも注目してほしい。「火継(ひつぎ)」という名前がつけられている。
「鍛治師がテーマ。時代を取り入れながら、伝統を守りゆく大切さを表現しています。繁栄を祈る気持ちも込められています」
ニーシングにはさまざまな色合いのゴールドがそろうが、加工を全て自社で行なっているのが特徴。
ジュエリーの地金を工房で手作業で溶かして、独自の配合で美しい色合いの多彩なゴールドを生み出す。まさに、火継のように、時代を超えて、その技術を受け継いでいるブランドなのだ。
伊藤さんが描きたいのは、具体的な物事ではなく、そこから感じるエネルギーだという。「日本人は、自然に宿る霊性を感じ取れる素晴らしい感性の持ち主だと思っています。私も、それに応えられるような、エネルギーを表出しています。今回の作品も、桜であって、桜そのものではない。桜のエネルギー、春の息吹を、作品を通して届けています」


春のエネルギーに取り巻かれた中にディスプレイされた春色のジュエリーやフラワーモチーフのジュエリーも、ぜひ手に取ってほしい。
バウハウスの精神を受け継ぐジュエリーだけあって、オブジェのようなデザインが多い。2025年の名残の春を閉じ込めて、持ち帰るのも楽しい。
text: Rica Ogura
・人気コレクションが進化した「ビー ドゥ ショーメ」。洗練を極めた新作が多数登場
・「ヴァン クリーフ&アーペル」丸の内で大規模なインスタレーション開催。架空の庭園が出現
ニーシング銀座
住所:東京都中央区銀座 1-7-5
銀座小柳ビル 1 階
TEL:03-6264-4971
営業時間:11:30〜19:30 火曜日定休日
https://niessing.jp/ja-JP/merchant/NIESSING-GINZA
伊藤咲穂

1989 年に島根県で生まれ、2014 年に武蔵野美術大学を卒業後、アート活動を開始。彼女は支持体として日本の文化遺産である和紙を用い、金属、土、岩絵の具、顔料などを独自の漉き方で和紙に混ぜ込む手法を用いる。幼少期からの「死生観」を基に、伝統的な「営み」と素材が持つ「日本的霊性」をテーマに、自身の芸術活動を『礼拝』と捉えながら神道的アプローチにより抽象的発現を試みている。2023年には出雲大社へ作品《命の礼拝》を奉納。2024年には東京・麻布台に新規開業した ラグジュアリーホテルに《青の礼拝》シリーズが常設展示されるなど、国内外で活動の幅を広げている。
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