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パリでしかできない体験【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記】

© ISSEY MIYAKE INC.

2025-26年秋冬パリ・ファッションウィークが3月3日から11日まで開催されました。期間中、公式スケジュールで100余のブランドが最新作をショー形式やプレゼンテーションなどで発表しました。この期間はファッション関連のイベントも行われていました。ファッションだけでなく、街で見かけた面白いモノやコトをつづっていきます。今回はDAY 5。

レオナール

ショーは凱旋門にほど近い本社で行われました。いつもはパレ・ド・トーキョーで行われており、無機質な空間でみる装飾的でカラフルなレオナールであるのに対して、今回、装飾的な部屋で見るレオナールはまた雰囲気が違いました。テーマは「シティ・ノマド」。ウォン・カーウァイ監督の映画「In the Mood for Love(邦題:花様年華)」のセンシュアルなムードからインスピレーションを受けた色彩となっているそうです。

今シーズン、登場する花はバラ。また黒地に金色の点描で描かれた花は、都市の夜景を思わせます。

イッセイミヤケ

© ISSEY MIYAKE INC.

ショー会場は、ルーブル美術館の地下にある多目的ホール「カルーセル・ド・ルーブル」。足を踏み入れると、不思議なオブジェが。そして、ショーの序章のようにダンサーたちが踊っています。

今回のテーマは「[N]either [N]or」。形態や質感、意味合いまでにおいて、相反する二つの物事を結びつけ、「どちらかである(either or)、どちらでもない(neither nor)」というあいまいさを描き出しているとコレクションノートに記されていました。このように衣服をつくる発想は、オーストリア人アーティスト、エルヴィン・ヴルム(Erwin Wurm)の作品から学んだ、「見慣れたものを意外で独創的な方法で見せれば、見え方が変わり、見方が新しくなる」というアプローチに基づいているのだそうです。

ニットの写真をプリントしたり、彫刻のように見える服があったり。また「どんなものでも、体を通せば衣服になるか」という問いをたて、紙袋に身体を通すということもやっていました。今コレクション発表のために、架空の展覧会ポスターをイメージして制作した柄を、紙袋の形に模した衣服にプリントしています。「Abstract, Concrete, and In-Between(抽象と具象とその間)」という展覧会タイトルと共に、コレクション発表の日時や場所も記されています。これはなかなか面白い。このバッグ、ほしいかも。人気が出そうです。

私たちは実はとても常識というものに縛られています。特に毎日着ている服については何の疑問もなく着ていることが多いのです。イッセイミヤケのショーを見ていて、服は人間の体と気持ちを自由にし、解放してくれるものなのかもしれないと、ふと思いました。

ショパール

2022年、ショパール共同社長兼アーティスティック・ディレクターのキャロライン・ショイフレが、数年前にザンビアで採掘された6,225カラットにのぼる見事なエメラルド原石をパリで初披露しました。採掘した鉱夫たちが驚き、ゾウの鼻を思わせるその形状と巨大な大きさにちなんで、地元のベンバ語で「ゾウ」を意味するインソフ(Insofu)と名付けた原石です。そこから出来上がったハイジュエリーの数々を拝見しました。

会場は、ヴァンドーム広場1番地。ショパールのお店からエレベーターに乗って通されたのは、なんとホテル「1, Place Vendôme」のスイートでした。まさか店の上がホテルになっているとは知らなかった。

ジュエリーに圧倒され、すてきすぎるお部屋にも入れて、ちょっと感動。パリでしかできない体験でした。

ヨウジヤマモト

ヨウジヤマモトの会場はいつもと同じパリ市役所。毎回、足を踏み入れるたびに、「こんな空間がパリ市役所にはあるんだ」とちょっと感動してしまいます。

今回も異素材の組み合わせが目を引きます。また、随所に結び目があるデザインが美しかった。それがアシメトリーに配されても、全体ではなんともいえないバランスで美しく見えます。そして、今回、はっとさせられたのが紫を使っていたこと。そして、モデル同士が服を着せてあげるというパフォーマンス的な見せ方がやさしい雰囲気をも醸し出し、印象的でした。

バックステージで耀司さんにひとこと、なぜ紫を選んだのかを聞きたかったですが、入れず。デザイナーが服を語るとき、その人にしか言えない言葉があるだけに、残念。

text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)

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