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このアイテムから新しい物語が始まる! 2025年の最旬ベストバイ

2025年のファッションシーンは、開放感や華やかさ、装飾性へと目が向けられ、再びポジティブなムードが湧き上がっている。ファッションジャーナリストの渡辺三津子さんに聞いた「今、何を買うべきか?」を紹介。

「唯一無二のクリエイション」を選ぶ時代へ

2025年の幕開けを飾る言葉は明るいものばかりではなかった。環境問題、収束の見えない戦争、日本経済の混迷……。しかしそんな時でも、ファッションには何かを語る力がある、と思わせてくれるクリエイションとの出会いはかけがえのないものだ。「ボッテガ・ヴェネタ」のマチュー・ブレイジーは、「子供の冒険心」をテーマに、自由な発想と高度なクラフツマンシップを融合させて「ファッションがもつ救いの力」を表現した。“使い捨て”に見える買い物袋は上質なレザーで仕上げられ、変身や再生を象徴するカエルやウサギのモチーフがコレクションの随所に飛び跳ねる……。常識を覆す遊び心が世界を変えるヒントと希望を与えてくれることを優れた創造性が教えてくれた。ブレイジーは昨年末に「シャネル」への移籍が発表されたが、今後の飛躍も楽しみな次世代の才能だ。

ボッテガ・ヴェネタ
子供時代にインスパイアされ、クラフツマンシップと遊び心溢れるルックが話題を呼んだ「ボッテガ・ヴェネタ」の2025Summerコレクション
© BOTTEGA VENETA
ボッテガ・ヴェネタ
「ボッテガ・ヴェネタ」の2025Summerコレクション。多彩なデザインのバッグも登場し、中には買い物袋風の革のバッグも
© BOTTEGA VENETA

「ボッテガ・ヴェネタ」が見せた“創造性”と“クラフツマンシップ”は、私たちが今後「買うべき」価値の基本を示しているといえるだろう。先シーズンまでの“クワイエットラグジュアリー”ブームは「ラグジュアリーの意味」を考えるきっかけとなったが、2025年には、「唯一無二のクリエイション」とは何なのか、そしてそれを選ぶことが私たちをどこへ導くのか、というその先の問いが投げかけられた。不屈の創造性においてデザイナーたちの尊敬を集める「コム デ ギャルソン」は、「不確実な世界の現実」に対しての「ある種の希望」を“透明性”に託した。その透明なオーガンジー素材のドレスを着るとき、私たちは川久保玲さんのメッセージを一緒にまとうことを感じる。

コム デ ギャルソン
「コム デ ギャルソン」の2025年春夏コレクションで披露された、造形的なフォルムを透ける素材で表現したドレス。強いメッセージ性を感じるルックが見る者の感覚を刺激し、惹きつけた

また、2025年1月に再登場した「LOUISVUITTON × MURAKAMI」のリエディションは、約20年前に試みられた「アートによる伝統の革新」が、どんな新しい物語を生んだのかを示してくれる。若い世代にとってはまさにY2K(2000年前後の流行)の新鮮なアイテムであり、一方、当時を記憶する人々は、20年という時の流れが生む「新しさと不変性」の価値を再発見することになるだろう。

ルイ・ヴィトン
現代アーティスト村上隆とコラボレーションした「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」のリエディション・コレクション。バッグ「オンザゴー BB」[W18×H15×D8.5cm]¥416,900(ルイ・ヴィトン/ルイ・ヴィトン クライアントサービス)

そして、もうひとつ付け加えるとすれば、今年は個人的にも「日本のラグジュアリー」に目を向けたいと感じている。有松鳴海絞りを世界に広める「suzusan」は、伝統的な職人技を継承し、現代的なデザインによって再生させる試みで注目を集めるブランドだ。江戸時代から400年以上続くもの作りの技は、唯一無二の手仕事の価値をもつ。その時間と人間が紡いできた美しさを「買う」ことは、この先の未来の人々へと物語をつなぐ行為となるだろう。高価だから価値があるのではなく、本物のクラフトとクリエイティビティには必ず人の心が宿っている。やはり、それを感じる「買い物」がしたい。「心」は簡単には棄てられない、最もサステナブルなものだから。

スズサン
デュッセルドルフ在住の村瀬弘行のディレクションにより、有松鳴海絞りの伝統的な染色技法を使ったアイテムがそろう「suzusan」の2025年春夏コレクション。カーディガン¥123,200(suzusan)

モードに魅せる雪山スタイル
気分は白銀のスノーリゾートへ

お問い合わせ先

コム デ ギャルソン tel: 03-3486-7611
suzusan tel: 052-825-5636
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン tel: 0120-60-1966
ルイ・ヴィトン クライアントサービス tel: 0120-00-1854

関連情報

Profile

渡辺三津子(わたなべ・みつこ)

資生堂『花椿』や『フィガロ ジャポン』『エル ジャポン』編集部を経て、2000年にコンデナスト・ジャパンに入社。2008年から13年にわたり『ヴォーグ ジャパン』編集長を務めた。2022年に独立し、エディトリアル・ディレクターやファッション・ジャーナリストとして活躍。

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