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神秘的な美しさでクチュールの本質を見せた、「ヴァレンティノ」の2024春夏オートクチュール

ヴァレンティノが2024春夏オートクチュールコレクション「ル サロン」を発表。1998年以来ヴァレンティノのパリの住所として知られるヴァンドーム広場のオートクチュールサロンが会場となり、観客の足元にドレスの裾が触れるほど親密な空間で服が披露された。

マリア・カラスの歌声が響く中、モデルたちが紫色のらせん階段を色とりどりのガウン、スーツ、ドレスをまとい駆け下りていく。今回のショーは、古き良き時代のクチュールショーを彷彿とさせ、一瞬夢の世界にいるかのような錯覚を覚える神秘的で感動的なものだった。

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そこには難解なコンセプトや荒唐無稽なサブテキストはなく、クリエイティブ・ディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリが常に挑戦する実験的な服のボリューム、シェイプ、シルエット、カッティング、素材への追求が見られる。一つ一つの服は現代の日常的なワードローブになるのだが、アトリエの卓越したテクニックと虹のように鮮やかな色彩のスタイリングがドラマチックなシルエットを作り上げる。会場の席にはアトリエチーム名とそれぞれのルックを担当した職人、さらに素材や使用したメーター数、制作時間が詳細に記された小冊子が置かれ、何よりも作り手を大切にし、オートクチュールのサヴォワールフェールを継承するメゾンの強い意志が感じられた。

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ファーストルックは、ヴィヴィッドカラーのパンツにシルクシフォンのフェザーをあしらった軽やかなシースルーのトップスが印象的。

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87mものシルク素材を使用して赤いバラを刺繍した大胆なロングケープに、ミントグリーンのシルクウールのパンツをあわせる情熱的なルック。

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ショルダー部分に立体的なフェザーをあしらったジャケットに、ボリュームのあるターコイズ色のタフタスカートをあわせる。

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マスタードカラーのモヘアのコートに、ペールピンクの繊細なラップドレスを合わせたルックは制作時間に1000時間を要したという。

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ピンクのオーガンザを筒状にして刺繍したジレに、イエローのキャミソールとワインレッドのウールパンツを合わせたルック。

コレクションはブレザー、マスキュリンなコート、パーカーといったワードローブの基本を元に、思いもよらぬカラーミックスとアトリエのクチュール芸術が加わり、時代を超越した本質的な服の価値を改めて見せ付けた。人工的でセンセーショナルなものに取り憑かれたこの時代に、本物を見せることで私たちの目を奪い、感情に訴えてきた。

text: Keiko Suyama

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