×
'柳楽優弥/シャツ26,400円(MORRIS & SONS/Bshop)インナー13,200円(unfil)撮影: 米田 渉 スタイリスト: 長瀬哲朗〈UM〉ヘアメイク: 佐鳥麻子'

Culture

シネマ

柳楽優弥/シャツ26,400円(MORRIS & SONS/Bshop)インナー13,200円(unfil)撮影: 米田 渉 スタイリスト: 長瀬哲朗〈UM〉ヘアメイク: 佐鳥麻子

30代、柳楽優弥が見据える未来<Cinema>

今年、31歳を迎えた柳楽優弥。映画『HOKUSAI』で葛飾北斎の青年期を演じている。自分自身の表現を追い求める、若き日の北斎に共鳴した点は。

自らを「画狂人」と呼び、90年の生涯で3万点を超える作品を描いた葛飾北斎。独創的な浮世絵は海を渡り、ゴッホやモネなどにも影響を与えた。その人生を描いた映画『HOKUSAI』で、北斎の青年期を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じている。絵師としての地位を確立した『冨嶽三十六景』は、70歳を過ぎてから描かれた作品。青年期の資料はほとんど残されていないため、さまざまに想像することができる。柳楽は、若き日の北斎をどう演じたのだろうか。

「天才というイメージが強かったんですが、若い時は努力家で、葛藤していたのではないか。ただひたすらに描き続けた結果、自分らしい絵の表現を見つけて、世界の北斎になっていったのではないか。そういうイメージを持ちながら、現場に入りました。監督と北斎についてのいろいろな資料を調べたりしたのですが、知れば知るほど謎が深まる不思議な人。今で言うバンクシーのような印象を持ちました」

 北斎は晩年に波を描き続けている。柳楽が気になったのは、「なぜ北斎は、波を描くことが得意だと気づいたのか」ということだった。

「北斎が波を描いたと思われる場所に、僕も釣りで訪れることがあります。あの景色を見て思うのは、いかにしてあれだけのダイナミックな波を描くことができたのかということです。北斎は喜多川歌麿や東洲斎写楽などの同時代に活躍する絵師たちと比較され、なかなか認められないなかで、自分を追い込んでいく。挫折と苦労を味わって、死を思うほどのギリギリのところにまで追い詰められて、海に向かったんだと思うんです。だからこそ”あの波”の表現を見つけられたのではないかと想像しました」

 柳楽自身は、14歳の頃、映画『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たした。以降、悩みながらもさまざまな役を演じ、30代の今に至っている。表現するうえでの葛藤とどう向き合ってきたのだろうか。

『HOKUSAI』 5月28日(金)より、全国ロードショー 配給: S・D・P (c)2021 HOKUSAI MOVIE

「自分の表現を見つけられたと思える瞬間があっても、すぐにそれが逃げていってしまうという感じです。これで大丈夫なんだという安心感はないですね。10代前半に賞をいただいたので、それを超えていきたいというプレッシャーはずっとあります。北斎を演じて感じたのは、焦らなくてもいいんだなということ。あきらめずに突き進んでいく北斎の生き方に、この映画をご覧になる方たちも元気をもらえると思います」

 今年は、原爆の研究開発に携わる物理学者を演じた『映画 太陽の子』、ビートたけし役のNetf lix映画『浅草キッド』など、公開作がいくつも控えている。

「作品が自分自身にとっての新たな挑戦という感じです。30代になったので、いろんな視点を持てるようになりたいと思うようになりました」

 この1年は、コロナ禍で自分を見つめる時間になった。

「自信を持てたことと失ったことの両面がありました。船や食養生の資格を取るための勉強などは、充実した時間でした。今は発酵食に興味があって、お味噌も自分で作っています。一方で、俳優の仕事は作品の延期なども多く、いろんなことを考えさせられました。そのなかで、自分が好きなものにもっと関わりたいという欲も出てきました。演じるだけではなく、短編を撮ってみるなど、違う角度からもアプローチしてみたい。自分の中で燃えるものを探しています。30代の努力は、40代に向けた先行投資だと思うので」

 近頃、坂本龍一が過去に出演したドキュメンタリーを観ることが習慣になっているという。

「音楽はもちろん大好きですし、俳優としての一面も尊敬しています。世界を舞台に挑戦し続けていく姿は憧れです。僕も海外にチャレンジしていきたい気持ちはあるけれど、追えば追うほど逃げていく感じもあって。俳優はそこまで考えすぎず、クールに構えていたほうがいいのかな。そういうところは悩みますね。まずは日本で、自分に合う役柄に出合えたらいいなと思います。20代は個性の強いキャラクターを多く演じてきたので、今は家族や恋愛をテーマにした作品で、”普通”を演じてみたいですね」

■プロフィール
柳楽優弥
俳優。1990年、東京都出身。2004年に映画『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。近年の出演作に、映画『泣くな赤鬼』『ザ・ファブル』『今日から俺は!!劇場版』『ターコイズの空の下で』、今後の作品に、『映画 太陽の子』、Netflix映画『浅草キッド』などがある。

映画情報
『HOKUSAI』
5月28日(金)より、全国ロードショー
配給: S・D・P

関連情報
【無料ダウンロード】marie claire style PDFマガジンをチェック!
(c)marie claire/interview & text: Saya Tsukahara/Video:Tomoya Takano / Video interview:Miyuki Kikuchi

Recommend

Pick Up

リンクを
コピーしました