和光がパリで魅せた「日常の中のアート」。庭崎紀代子社長が語る唯一無二の価値とは?
©Camille Lemonnier
銀座・和光が、パリにて期間限定ポップアップストア「L’art du quotidien(日常の中のアート)」を10月6日~11日に開催。竹工芸や江戸切子、陶磁器、漆器など、日本の美と職人技を象徴する作品の数々を通じて、「日常に息づくアート」を紹介した。和光が銀座を飛び出し、国外でイベントを行うのは今回が初めて。庭崎紀代子社長に、その狙いと手ごたえを聞いた。
日本の美と職人技が息づく工芸の名品が集う
会場となったのは、建築家・隈研吾さんが設計を手がけたグランドセイコーブティック パリ ヴァンドームの2階サロン。障子を通した柔らかな光が満ちる和の空間には、竹工芸、江戸切子、陶磁器、漆器の逸品が並んだ。
竹細工では、飯塚琅玕斎氏(いいづか・ろうかんさい、1890~1953)や二代 田辺竹雲斎氏(たなべ・ちくうんさい、1910~2000)ら名工による、力強い造形の花籃(はなかご)が来場者の目を引いた。古来より日用品として暮らしに根づいてきた竹工芸は、いまや現代アートやラグジュアリーブランドとも融合し、欧州でも高く評価されている。
長倉健一氏(1952~2018)の「籃花入 蝕月盛」。月が欠けていく様子を表現した幻想的な一作
若手職人の作品も来場者を魅了した。江戸切子職人・青山弥生さんの作品には、透明感と柔らかさをもって自然の美しさを表現する、独特の感性が光る。天気雨の一瞬の美しさを捉えたロックグラス「光雨」(こうう)は、上部のフロスト加工が雲を思わせ、下部の深く繊細なカットが光を受けてきらめく雨粒を表現している。
青山弥生さんの作品。ロックグラス「ソーダ」(左の一対)、「光雨」(中央の一対)、花器「羽化」(右) ©Camille Lemonnier
庭崎紀代子社長に聞く、和光が発信する唯一無二の価値
銀座・和光の地階フロアは2024年7月に「アーツアンドカルチャー」としてリニューアル。日本の文化や感性を世界に発信する場となっている。「リニューアルの際に大きな反響をいただきました。その延長として、造詣の深い海外の方々に『本物』を見ていただきたいと考えたのです」と語るのは、庭崎紀代子社長。グランドセイコーブティック パリ ヴァンドームという最高のおもてなし空間があり、「アール・ド・ヴィーヴル」(芸術のように美しく楽しい生き方)が息づくパリが最初の発信の場になったのは、自然なことだ。「見たことのないものだ」といった来場者の驚きの声に、庭崎社長も手ごたえを感じる。
和光・庭崎紀代子社長
「銀座・和光ほど、クリエイターや作り手と近い場所はありません。それが日本の中心、銀座4丁目にある。唯一無二の価値が和光にはあります。海外へ出ていくのではなく、海外から銀座の和光に足を運んでいただき、特別な体験をしてもらう──それこそが、私たちの考える『グローバル化』です」。唯一無二の価値を届ける存在として、「WAKO」の名が、いま世界に広がりつつある。
interview: Izumi Miyachi(マリ・クレールデジタル編集長) text: Shunya Namba @Paris Office
・「ブレゲ」250周年記念エキシビション。ミュージアムピース展示や新作モデルなどを紹介 ・ブシュロン、「新時代のヴィーナス!アール・デコ 100 年展」に26点のアーカイブ作品を出展