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「色彩の魔術師」マティスが生み出した自由自在な「切り紙絵」の世界へ

国立新美術館で、マティスの「切り紙絵」に焦点を当てた「マティス 自由なフォルム」が2月14日から開催予定だ。大作《花と果実》が本展のための修復を経て、初来日する。

マティス 自由なフォルム
《花と果実》1952-1953年 切り紙絵 410×870cm ニース市マティス美術館蔵
©Succession H. Matisse
Photo: François Fernandez

20世紀美術を代表するフランスの巨匠の一人、アンリ・マティス(1869-1954)。60年以上におよぶ長い画業において、切り紙絵という新たな技法を生み出したのは、晩年のことである。「色彩の魔術師」と呼ばれる画家が到達した、自由自在に色と形を生み出す表現。本展はニース市マティス美術館の全面協力を得て、この切り紙絵を主軸に置く日本初の展覧会だ。

マティス 自由なフォルム
《マティス夫人の肖像》1905年 油彩/カンヴァス 46×38cm ニース市マティス美術館蔵
©Succession H. Matisse
Photo: François Fernandez

展示は、《マティス夫人の肖像》など初期の作品から始まる。マティスは目に見える色彩ではなく、心が感じる色彩を表現するフォーヴィスム(野獣派)の画家として知られ、ここから「色彩の道」を歩んだ。創造の現場であり絵画の主題でもあった「アトリエ」にまつわる作品も多数展示される。例えば《ロカイユ様式の肘掛け椅子》は思い入れの深い椅子を描いた代表作で、実際の椅子とともに出品される予定だ。さらに、舞台装置から衣装デザイン、大型装飾に至るまで、領域を広げていくマティスの仕事を展望する。切り紙絵の技法を最初に用いたのは、1930年代、巨大な壁画に取り組む最中だった。

マティス 自由なフォルム
《ロカイユ様式の肘掛け椅子》1946年 油彩/カンヴァス 92×73cm ニース市マティス美術館蔵
©Succession H. Matisse
Photo: François Fernandez

1941年、マティスは大病を患い、手術で一命を取り留める。一日の大半を車椅子やベッドで過ごしながらも、切り紙絵の技法で創作を続けた。制作方法は、まず絵の具を吟味し、アシスタントが紙に色付けする。それをマティスがハサミで切り取り、ピン留めして図案を作成。作品のサイズが大きい場合は、指示のもと、アシスタントがスタジオの壁に固定した。トレースや取り付けを経て、切り紙絵が完成する。色を塗った紙をハサミで「デッサン」するこの手法によって、マティスは色彩と線描を結合する表現に到達した。

マティス 自由なフォルム
《ブルー・ヌード IV》1952年 切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵(ニース市 マティス美術館寄託)
©Succession H. Matisse
Photo: François Fernandez

注目すべきは、ニース市マティス美術館のメインホールを飾る4×8メートルの大作《花と果実》。本展のために大規模な修復が行われ、初来日する。そのほかにも、《ブルー・ヌード Ⅳ》や、切り紙絵による図版とテキストで構成される書物『ジャズ』など、多彩で躍動感あふれる切り紙絵が揃う。

マティス 自由なフォルム
《白色のカズラ(上祭服)のためのマケット(正面)》1950-1952年 切り紙絵 126.5×196.5cm ニース市マティス美術館蔵
©Succession H. Matisse
Photo: François Fernandez

晩年を過ごしたニースの郊外ヴァンスに立つロザリオ礼拝堂は、マティス芸術の集大成だ。建物の設計から什器に至るまで、ほぼすべてを自身が指揮し、切り紙絵を応用して室内装飾や祭服をデザインした。今回、ステンドグラスや祭服にまつわる作品、資料だけでなく、礼拝堂を体感できる実物大のインスタレーションが展開される。色の光が静かに移り変わる空間で、マティスが生涯の終わりに作り上げた総合芸術を心に留めたい。

マティス 自由なフォルム
制作中のマティス 1952年頃
©photo Archives Matisse / D. R.
Photo: Lydia Delectorskaya

謎多き抽象画家、シモン・アンタイ。世界初公開作品を含む回顧展で創作を辿る

Exhibition data
「マティス 自由なフォルム」
会場: 国立新美術館 企画展示室2E
住所: 東京都港区六本木7-22-2
会期: 2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間: 10時~18時 ※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日: 毎週火曜日 ※4月30日(火)は開館
問い合わせ: 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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